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AIが対話で旅行先をおすすめしてくれる新サービス、「goo旅行」で開始

IoTにも拡がる最新のAI戦略も発表

 NTTレゾナントは、旅行比較サイト「goo旅行」において、AIがユーザーとの対話を通じて気分を察し、旅選びをサポートしてくれるサービスの提供を開始した。同時に、AIを活用した同社の2017年度下半期の戦略も明らかにされている。

 「goo旅行」はさまざまな旅行サイトの情報を比較できるサービス。Webサービスとしてスマートフォン、PC向けに提供されている。今回の新サービスは、旅行先が決まっていない人や、なんとなく旅行を考え始めた人に対し、「今の気分は?」で始まるAIとの対話を通じて、AIがユーザーの気分を察して旅先の提案を行うというもの。選択肢を選んでいく方法のほか、自由に言葉を入力することでも利用できる。

 このサービスは「gooのAI」の取り組みの一環。対話のデータベースのほかに、「教えて!goo」「gooブログ」「goo地図」など複数のデータベースをディープラーニング(深層学習)により学習し、これまで取り扱ってきた旅行情報に、旬やトレンドも踏まえてプランが提示される。ユーザーは、気分や希望が反映された旅行先や、今まで気が付かなかった旅先やプランを発見できるとする。

「goo旅行」の旅行相談AI。スマートフォンから利用している様子

gooのAI戦略

 NTTレゾナントはAIに注力し、自社サービスを順次刷新していく方針を明らかにしており、今回の旅行AIサービスは、興味や気分を判別できる、第3弾のAIと位置付けている。NTTレゾナント 代表取締役社長の若井昌宏氏は、「今年度はAIの活用・強化に取り組んでいる。さらに発展させていく第4弾のAIでは、IoTの技術も導入していく。一歩前に踏み出し、すべての生活シーンをアシストしていく」と、既存の事業領域にとどまらずAIを中心にサービスを拡大させていく方針を明らかにしている。

NTTレゾナント 代表取締役社長の若井昌宏氏

 同社は、AIを活用する時代を迎えるにあたって、gooのサービスすべてを対話型のインターフェイスにも対応させていく方針も明らかにしている。

 加えて、IoTサービスとして、自宅の中のモノ(家電)の制御にも対応し、これも対話形式で行えるようにする。プロジェクトではエアコンやテレビ、照明、センサー、スマートロック、スマートスピーカーなどが制御の対象で、赤外線リモコンを代用する制御ユニットが利用される。

 さらにこれらは、受動的なものではなく、家族の自然な会話に入って、能動的に提案するような、“あうんの呼吸”でアクションを起こすAIになるという。このプロジェクトは「gSntk」(グーエスエヌティーケー)という名称で開発されてきたもので、ユーザーにどのように受け止められるのかを調べる、概念実証(PoC:Proof of concept)の段階に進んだとして、9月20日から首都圏の家族を対象にモニターの募集を開始した。

 なお同社は、AIを活用したサービスとして、「格安スマホ」のプランなどを答える相談サービスも、10月中に提供する予定としている。

すべてのサービスで対話型インターフェイスの搭載を目指す

 NTTレゾナント ポータルサービス部門長の鈴木基久氏は、キーボードから始まるユーザーインターフェイスの変遷を紹介しながら、各社のスマートスピーカーが日本市場でも年末にかけて盛り上がりをみせそうだという観測を示し、「音声はさておき、対話。すべてのサービスを対話型にしていく意気込み」と、AIと対話をサービスや今後開発していくインターフェイスの中心に据えている様子を語る。

 ここでのAIとは、有能な秘書や友人といったイメージで、雑談に応じてくれたり、先んじて個人に最適な提案をしてくれたりするAIがイメージされている。スマートスピーカーの使い勝手にしても、鈴木氏は「いちユーザーとしては、言わずとも動いて欲しい。能動的に働いて欲しいと思った」とユーザー目線の課題は常に持っている様子で、「技術からサービスにおとすのではなく、ユーザーが体験したいことから遡ってサービスにしていきたい」と方針を語っていた。

NTTレゾナント ポータルサービス部門長の鈴木基久氏
「g06+」