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ソフトバンクとパシコンが「IoT×AI」で提携、防災や社会インフラ改善に

 ソフトバンクとパシフィックコンサルタンツ(パシコン)は、IoTセンサーとAI(人工知能)を組み合わせ、防災や社会インフラに役立つソリューションを共同開発することを目指し、業務提携に合意した。

ソフトバンクの今井氏(左)とパシフィックコンサルタンツの高木氏(右)

 両社が共同開発するのは、防災や社会インフラに関するソリューション。たとえば防災関連では、IoT対応の川の水位を計測するセンサー降雨量計からのデータや監視カメラの映像を5G(第5世代の携帯電話通信システム)で収集し、AIで解析する。災害が発生する可能性が高まれば、即座に通知したり、避難経路を案内したりする、といった使い方を実現させる。

 また社会インフラ分野では、交差点や鉄道駅改札の混雑、空港の待ち時間、クルマの渋滞解消といった課題に対して、これもまたIoTセンサーからのデータや映像から人や交通の流れを導きだし、AIで解析して、混雑しない、快適な街作りや地区の再開発へ活用していくという考えだ。

 ソフトバンク代表取締役副社長 兼 COOの今井康之氏は「人の動きを解析してよりよい社会インフラを提供していく」と説明。

 対するパシフィックコンサルタンツ代表取締役社長の高木茂知氏は、1951年にインフラのコンサルティングエンジニアが結集して設立され、その後、東海道新幹線や国内の高速道路、最近では東京オリンピック・パラリンピックの招致計画などに携わった経験を踏まえ、「インバウンドの急増などもあり、人々が集中する現象が起きている。人とクルマの間で混乱が起きてしまう。リアルタイムでモニタリングして予測を交えてどうコントロールするのかというのも課題の1つ」と両社のソリューションが解消する課題を語る。

5G時代を見据えたソフトバンクの戦略

 これまでも通信モジュールを備えるさまざまなセンサーが活用されてきた中で、なぜ5Gなのか、という疑問にソフトバンクの丹波廣寅IoT事業推進本部長は、用途によってスペックを変えられる5Gの「ネットワークスライシング」や、超多数接続といった機能がある、と説明。2020年ごろの商用化が見込まれる5Gであれば、自動車や人、あらゆるモノが通信できるようになる時代に対応できるという説明だ。

 ただしそれらの特徴は5Gならばどの携帯電話事業者でも当てはまる。そこでソフトバンクでは、センサーなどで得た膨大なデータの収集と分析で強みを打ち出す方針。センサーを繋げ監視するだけでは、いわば後手に回って対応することになるが、AIとの組み合わせにより、予防的な手を打てるようになる。センサーを設置する主体が自治体になるのか、鉄道事業者のような民間になるのか、今のところは未定だが、丹波氏は「いずれは膨大なセンサー数になるだろうが、局所的なインフラ監視・保全がひとつの足がかりではないか」と説明。徐々にセンサー設置箇所を拡大しつつも、それを一元化していく段階が今後、課題になるとの認識を示す。

 2018年、2019年といった5Gの商用サービス開始以前の段階でも、ソフトバンクが2018年2月以降に提供予定というIoT専用の通信ネットワークを活用することで、ソリューションそのものは提供可能と丹波氏。またコンシューマー向けにも、防災アプリなどの提供も視野に入れている。