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Xperia初のデュアルカメラ、「Xperia XZ2 Premium」に込められたソニーの本気

 まもなく、Xperiaシリーズで初めてデュアルカメラを採用する「Xperia XZ2 Premium」が登場する。そのカメラは色情報を取得するカラーのCMOSセンサーと、輝度情報を得るモノクロCMOSセンサーという構成だ。

 NTTドコモの「Xperia XZ2 Premium SO-04K」、auの「Xperia XZ2 Premium SOV38」として開発された同モデルに、ソニーモバイルコミュニケーションズはどんな仕掛けを入れたのか。

役割の違う2つのカメラ

 「Xperia XZ2 Premium」のカメラ「Motion Eye Dual」は、約1220万画素で1/2.3型のモノクロCMOSセンサーと、約1920万画素で1/2.3型のカラーCMOSセンサーで構成される。2つのカメラのうち、カラーセンサーでは色情報を、モノクロセンサーでは輝度情報をそれぞれ取得する。

 ソニーのオンラインアルバムへ収録された写真を分析したところ、全体の50%が暗い室内や夕暮れの屋外といった暗さで撮影されたものだった。また5%程度の写真は、これまでのスマートフォンのカメラでは、まったく何も写らないほど暗い場所で撮影されたことも分かった。撮影したくなるシーンとして、夜のレストランや、夜景など根強いニーズがデータで裏付けられた格好だ。

 だからこそ今回、ソニーモバイルでは、ハイエンドである「Xperia XZ2 Premium」で、従来のスマートフォンでは体験できなかった暗い場所で、美しく撮影できるカメラ性能を追求した。

二眼、工夫のポイントは

 色情報をカラーセンサーで、輝度情報をモノクロセンサーで捉える「Xperia XZ2 Premium」のカメラだが、2つのセンサーで記録した写真・動画をそのまま合成してもズレてしまう。近い距離で並んでいるとはいえ、2つのレンズから見える風景は、ごくわずかながら異なるためだ。

 遠い場所にあるものであれば、そのズレはほぼ無視できる程度だが、ごく近い場所にある被写体では無視できないズレになる。そのため2つのカメラを同時に使うデュアルカメラでの撮影をする場合は、1m以上離れた被写体を撮影する形。

手前の被写体ほどズレが大きくなる
1m以内の被写体を撮ろうとすると離れるよう案内される

 少し距離を取ってズレを抑えるものの、それでも残るズレは、画像処理エンジンの「AUBE」で処理して融合する。スマートフォンのチップセットに搭載されるGPUでは処理に時間がかかるため、画像処理専用の「AUBE」が搭載されることになった。

強みは「高感度撮影」

 カラーとモノクロという2つのセンサー、そしてソニーが開発した画像処理プロセッサー「AUBE」という組み合わせにより、Xperia XZ2 Premiumは、特に暗い場所での撮影でその強みを発揮する。

 静止画では最高感度ISO51200で、動画では最高感度ISO12800で撮影でき、夜間や照明のない屋内など、肉眼でも見えにくいような暗所でも明るく撮れる。

 特にソニーが自信を見せるのは動画の撮影だ。モノクロとカラーの2つのセンサーで捉えた映像をリアルタイムに合成し、水辺で夜景を撮る場合でも、水面のさざ波や、建物の窓、木々の葉など、ディテールを残して記録できる。

 ちなみに動画では4K HDRで撮影できる。動画撮影時のフレームレートは、通常では30/60fps、4K HDRでは24fpsになる。この4K HDRの動画撮影機能は、ビデオカメラやレンズ交換型のカメラでも、一部の上位モデルや業務向けモデルしか搭載しない機能だ。レンズ性能は大型カメラに及ばないが、Xperia XZ2シリーズはもっとも安価かつ手軽に4K HDR撮影が可能なデバイスと言える。さらにディスプレイも4K HDR対応であり、単体で4K HDRの撮影・再生を楽しめるユニークな機種でもある。

カメラセンサーにメモリ搭載、4K HDR撮影を実現

 「Xperia XZ2 Premium」のデュアルカメラはメモリ積層型のセンサーが採用されている。

 これにより、一度にキャッシュできるデータ量に余裕ができた。そして、暗い環境、明るい環境の双方にあわせた撮影データを保持して合成する、いわゆるHDRでの撮影も、静止画に加えて、動画で楽しめるようになった。

 今夏に登場する予定とされているが、正式な発売時期や価格は未定。デュアルカメラという点では他のメーカーに遅れる形となり、ディスプレイなどもいわゆる縦型ではないなど、現在のトレンド感とは異なる路線を歩むソニーモバイルだが、今回の「Xperia XZ2 Premium」では高感度撮影や4K HDRなどで大きな違いを打ちだそうとしている。グループ内でカメラやテレビなどを手がけることも「Xperia XZ2 Premium」の開発に活かされており、ソニー全体の力を特徴とする機種として、まもなく登場することになる。