日中の団体がTDD方式で協力、技術協力に基本合意


写真左からYRP研究開発推進協会会長の甕昭男氏、TDIAの楊驊氏、XGPフォーラム副議長の若尾正義氏

 中華人民共和国(中国)のTD産業協会(TDIA)と、YRP研究開発推進協会、XGPフォーラムの3団体は、TDD技術の交流に関する覚書を締結し、25日、都内で記者会見を開催した。

 今回の覚書は、日中両国政府による「情報通信分野の協力強化に関する合意」を受けて、民間レベルでの技術交流を図るために実現したもの。TDIAは中国におけるTDD技術の推進団体で、団体には中国企業だけでなくアルカテル・ルーセントなどグローバルのシステムベンダーなども参加しているという。

 TDD技術は、同一周波数帯域で送信と受信を可能にした通信方式で、時間軸圧縮を行うことで、送受信を時間ごとに切り替えて二重通信を実現している。ウィルコムのPHSやXGP、中国のTD-SCDMAなどに採用されている。

 なお携帯電話の通信方式は、受信と送信で異なる周波数を使うFDD方式が主流となっている。XGPフォーラムの事務局長である杉浦正一氏は、FDDとTDDのグローバルでの比率をFDDが8割に対して、TDDは2割と語った。

 無線通信に高速化が求められるようになると、FDD方式では高速化により大きな帯域を上りと下りで用意しなければならない。TDD方式はFDDとは異なり、ペアバンドを用意することなく1つの周波数帯で利用できるため、周波数の利用効率が高いとされている。TDIAとYRP研究開発推進協会、XGPフォーラムでは、日中両国でTDD方式の普及拡大を目指していく。

 来日したTDIAの秘書長 楊驊(ヤン・ファ)氏は、日本への期待として通信関連技術の技術力の高さを語った。TDD方式のOFDMやMIMO、無線機に応じて最適化するマルチアンテナ技術であるスマートアンテナといった高い技術力、そしてウィルコムが十年以上実運用してきたTDD方式の経験を中国でも活かしたい考えだ。中国では現在、TDD方式のHSDPAが提供されており、年内にもHSUPA、2010年にはHSPA+も開始される予定。将来的にはTDD-LTEも控えている。

写真左から、XGPフォーラム副議長の近義起氏、総務省情報通信国際戦略局国際交渉専門官の飯田陽一氏、YRPの甕氏、TDIAの楊氏、XGPフォーラムの若尾氏、中国工業と情報化部の葉林(イエリン)氏、YRP研究開発推進協会副会長の大森慎吾氏


(津田 啓夢)

2009/6/25 20:08