首都圏の8都県市がフィルタリング設定でキャリアに要望書


 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市は、8都県市首脳会議で合意された「フィルタリング設定に関する要望」について、国内の通信事業者に要望書を提出した。

要望書を提出する埼玉県知事の上田清司氏(左)。受け取ったのはソフトバンクモバイル 取締役副社長の松本徹三氏(中央)とソフトバンク 社長室長の嶋聡氏(右)

 8都県市がまとめた「フィルタリング設定に関する要望」は、青少年が使う携帯電話のフィルタリング設定について、すべての携帯電話に初期設定でフィルタリングを設定し、青少年の発達段階に応じて保護者がフィルタイリングの度合いを段階的に設定できるようにすることと、年齢確認を徹底し、フィルタリング解除の際には保護者に十分な説明を行うこと、という要望をまとめたもの。ソフトバンクモバイル、ウィルコム、イー・モバイル、NTTドコモ、KDDI(提出順)にそれぞれ書面で要望書が手渡された。

 9日には、8都県市を代表して埼玉県知事の上田清司氏がソフトバンクモバイルを訪れ、応対したソフトバンクモバイル 取締役副社長の松本徹三氏、ソフトバンク 社長室長の嶋聡氏に対し、要望書を提出した。

 提出時の模様は報道陣にも公開され、埼玉県知事の上田氏は要望書の概要や経緯を伝えると、ソフトバンクの松本氏は「真剣に考えています」と答え、嶋氏は「子供向けの新たな機種も開発中で、こういった取り組みに積極的に対応していきたい」と同社の姿勢を示した。ソフトバンクからはこのほか、フィルタイリングのブラックリスト方式について、小学生向け、高校生向けなど年齢区分に応じてフィルタリングの強弱を変更できる仕組みを導入する予定であることが明らかにされた。

8都県市代表としてソフトバンクを訪れた埼玉県知事の上田清司氏

 上田氏は提出を終えて報道陣からの質問に答えた。要望書の提出については「かねてからの世論に対し、各社で取り組みが始まっている」と手応えがあった様子を語った。子供向け携帯を直接要望していた同氏だが、「あまりに機能を限定してしまうと、子供は大人の多機能な物を欲しがる。一時的に制限できるのが望ましいのではないか」との見方を示し、8都県市の「推奨モデル」を表すシールを携帯電話の製品パッケージに記載するといった取り組みも、検討していくとした。

 自治体の携帯電話に対する取り組みに関しては、石川県で小中学生に携帯電話を持たせないとする条例が可決されているが、これに対し上田氏は、「子供から携帯を取り上げるのは、隠し持つ、という行為につながる。また、首都圏では核家族化、都会化が進み、携帯電話を取り上げるのは現実的ではない」との意見を明らかにした。一方で、保護者に対する啓発活動も継続していく姿勢を示した。

ソフトバンク社員、児童買春で逮捕

 一方、神奈川県警は同日、ソフトバンクモバイル 営業戦略部担当課長(38歳・男)を児童買春・児童ポルノ禁止法違反で逮捕したと発表した。容疑者は、6月18日午前10時29分~午後0時10分にかけて、横浜市内のホテルで同市内に住む高校2年生の少女(16歳)に対し、2万円を渡してみだらな行為を行った疑い。

 ソフトバンクモバイルは、逮捕された容疑者が同社の社員であることを認めた上で、「社員が逮捕されたことは誠に遺憾。事実関係を確認した上で厳正に対処したい」とコメントした。また、青少年保護への取り組みについては「これまで継続して取り組んできたことで、方針に変更はない。引き続き積極的に取り組んでいく」としている。

 

(太田 亮三)

2009/7/9 16:06