ドコモ、第1四半期減収減益も計画進捗は順調

「iPhoneはあきらめていない」と山田社長


ドコモ山田社長

 NTTドコモは、2009年度第1四半期連結業績を発表した。営業収益は、前年同期比7.3%減の1兆848億円、営業利益は15.1%減の2965億円、税引前利益は14.2%減の2884億円、当期純利益は15.1%減の1474億円の減収減益となった。

 山田隆持社長は、「減収減益の決算だが、前年同期には新販売モデル導入という、利益浮揚要因がある特殊な時期だった。そのため、前年同期の営業利益の年間進捗率は35.7%にまであがっていた。それに比べると進捗率は低いが、それでも今年度は30.3%の進捗率であり、計画に対しては概ね想定通りに推移している。解約率の低下や、MNPによる流出の影響が少なくなっている。営業利益目標8300億円に向けては、パケットの収入増加と費用の効率化に取り組む。今後も、変革とチャレンジの旗印のもと、社員が結束して取り組んでいきたい」とした。

 営業利益の増減要因としては、音声収入で797億円の減少。そのうち、バリュープランによる影響が300億円となる。また、パケ・ホーダイダブルの加入者数の増加によるパケット収入の増加が252億円。一方、端末販売収入で498億円の減少、販売端末費用減少で469億円の効果などとなっている。

決算概要決算のポイント

 

 山田氏は、第1四半期のトピックスとして、新たな販売モデルであるバリュープランの契約数が前年同期比で2.7倍にまで増加したことに触れ、累計2400万加入となったことが基本料収入の減少につながり、音声通信収入が減少したと説明した。一方で、パケ・ホーダイの契約率は、5月1日から下限を490円に引き下げたことが影響し、43%にまで拡大。これがパケット収入に繋がったと説明した。さらに、携帯電話端末の総販売台数は前年同期比12%減となる60万台減少の434万台となり、端末販売収入の減少および販売端末費用の減少につながったとした。

 「端末販売台数は、4月は前年同月比プラスで推移し、5月は若干マイナスとなった。6月は前年同月比30%減という大きな落ち込みとなった。例年、6月中旬から新製品が出荷されるが、今年は新製品の不具合もあり、それが影響した。7月から新製品の販売が本格化することになるが、7月は前年同月比10%減程度を見込んでいる」と、販売台数は引き続き減少傾向にあることを示した。


営業利益の増減要因端末販売方式の変更も影響

 

オペレーションデータ

 第1四半期の総合ARPUは、前年同期の5890円から5440円と、450円減少した。そのうち音声ARPUは550円減少の3010円、パケットARPUは100円増加の2430円となった。

 一方、mova(ムーバ)からFOMAへのマイグレーション(移行)では、第1四半期だけで81万契約の移行が完了した。年度末までに95%をFOMAとする目標についても、「年間進捗率は35%に達しており、第1四半期は計画を2割程度上回る実績。FOMAへのマイグレーションは大きな課題であり、着実に取り組んでいく」(山田社長)と、現時点での移行が順調に進んでいることを示した。

ARPU新販売方式の利用率

 

 NTTドコモ取締役常務執行役員財務部長の坪内和人氏は、「mova端末がどの世代に多く使われているかがわかっており、敬老の日などのイベント性のあるところで仕掛けをしていく。その方が、キャンペーン効果が高いこともわかってきた。6月、7月は閑散期であり、あまり力を入れないが、新製品が出るタイミングや催し物がある時期に集中的にやっていく」とした。

ドコモ財務部長の坪内氏

 ファミ割MAX50をはじめとする新割引サービスは、6月末時点で3425万契約に達し、バリューコースの選択率は95%に達したという。また、解約率は0.44%となり、「とくに、6月単月では、0.38%となった。ドコモを長く愛して使っていただいている。さらに解約率を下げていきたい」とした。

 第1四半期の純増数は26万3000契約となり、確実に増加傾向にあることを指摘。MNPによる契約者数の増減についても、2008年度第1四半期では16万件の減少だったものが、2009年度第1四半期では5万件の減少となり、流出数が1/3に減っているとした。

 また、昨年から開始した新ブランドシリーズでの累計出荷が650万台に達したことを明らかにし、STYLE(スタイル)シリーズで40%強、PRIME(プライム)シリーズでは約40%、PRO(プロ)シリーズで5%の構成比になっていることを公表した。

 「STYLEシリーズに宣伝広告を集中しているが、PRIMEシリーズはあまり宣伝をしなくても携帯通の人たちが選択している。PROシリーズは、PCのスキルを持つ人たちを中心に売れている」(山田社長)という。

解約率FOMAへの移行状況

 

HT-03Aは好調、iPhoneにも意欲示す

HT-03Aが好調という

 スマートフォンについては、Android搭載の“Googleケータイ”である「HT-03A」の販売が好調で、「これまでドコモが発売したスマートフォンのなかで、一番売れているスマートフォンになった。やはりPCの利用スキルを持った人を中心に売れている。今後は、さらに裾野を広げていきたい」と語った。

 なお、発売が噂されているiPhoneの投入については、「NDA契約があり、話すことができないが、諦めたわけではない」と、これまでのコメントを改めて繰り返し、市場投入を否定しなかった。

 法人事業に関しては、前年同期比3割減で推移しており、引き続き厳しいことを示した。山田社長は自ら法人事業を担当してきた経験をもとにコメント。「新たなシステム投資を中止するのではなく、延期という決断をしている。だが、この状況はしばらく続くだろう」と予測した。

 

顧客満足度向上策

 一方、山田社長は、今年度の課題として掲げている顧客満足度向上への取り組みについても言及した。

 「通信エリアに対する問い合わせに対して、原則48時間以内に訪問するといった活動が高い評価を得ており、第1四半期だけで、1万1000件を訪問した。昨年度までの1万3000件をあわせて、2万4000件を訪問した。そのうち、78%の顧客において改善が行われた。さらに、7月1日からは携帯電話を無料で点検する『ケータイてんけん』を実施する」として、顧客満足度を高める活動を加速する姿勢をみせた。

 また、「動画のドコモ」をさらに推進するため、パケ・ホーダイダブルの見直しを行うことを発表。8月1日から390円を下限に利用できるようにする。

顧客満足度向上策定額サービスの利用率が向上

 

 「5月に下限を480円としたところ、現場ではお客の反応がよくなり、入っていただくケースが増えた。そこで加入していただいた方々に、BeeTVやアマルフィ ビギンズなどの動画サービス/コンテンツなどを見ていただいている。上限までいかなくても、利用量が低い人が使っていただくようになり、いい循環になっている」(山田社長)、「従来は月60万契約の増加だったパケ・ホーダイダブルの契約数が、6月、7月は80~100万契約にまで増加している」(坪内取締役常務執行役員)と、下限の引き下げがプラスにつながっていることを示した。390円への下限設定の引き下げも、パケ・ホーダイ ダブルの契約数増加に寄与するものと見ている。

 なお、BeeTVの契約数は、5月1日のサービス開始以来、7月21日までで55万契約を突破。1週間の「お試し期間」利用者の有料会員転換率は75%以上となり、「有料への移行は、これまでの常識を覆す状況になっている」とした。

 山田社長は、「2011年には音声ARPUと、パケットARPUが逆転させたい。そのときには定額制の加入率が70%となり、半分の人に上限まで使ってもらえるようにしたい。100円、200円のパケットARPUの増加が収益増加に大きく影響することになり、それに向けて動画のドコモとしてのコンテンツを揃えていく必要がある」とした。

 

iコンシェル、フェムトセルなど今後の施策も

 パーソナル化を推進するiコンシェルは、7月に180万契約を突破。コンテンツ数は364に達したという。今年冬モデルから、位置情報に連動した機能拡張を行うほか、地域情報コンテンツの充実を図る考えで、セールを行っているスーパーの近くにいると登録している内容であれば情報を提供したり、普段とは別の場所にいても、その場所で終電の時間が近づくと自動的に教えてといったサービスも、iコンシェルで提供されることになるという。

 また、環境・エコロジー事業、健康・医療事業、金融・決済事業を中心にソーシャルサポートを展開していく考えを示し、6月1日から開始したウェルネスサポート、7月21日から開始したケータイ送金、7月24日にCRMソリューションを行う会社として、イオンとともに設立したイオンマーケティングについて紹介。今後、収益に貢献させていく可能性を示した。

iコンシェルに関する施策ソーシャルサポートを展開

 

 今秋以降に導入を予定しているフェムトセルの利用についても触れ、HSPA対応のフェムトセル基地局装置を家庭内に設置することで、動画や音楽などの大容量コンテンツの受信環境、家に帰った際にそれを関知して自動的に情報を配信するサービスなどを今年秋にも実用化。将来的には家電や宅内機器の遠隔コントロールにも活用できるようにするという。

 なお、LTEに関しては、「6月10日に開設計画が認定され、本格実施に向けて始動した」と前置きし、2010年12月に提供を開始する計画を改めて示した。

 「需要の高い地域から順次展開し、2014年度までに約2万局のエリア展開を行い、人口カバー率は50%を目指す。周波数は2GHz帯から導入し、1.5GHz帯に拡大する予定。端末はカード型端末から提供し、ハンドセット型は2011年以降となる。ドコモでは、3GとLTEのデュアル端末を提供する予定である。2014年度までの今後5年間の設備投資は、3000~4000億円を計画しており、需要動向にあわせて、この計画が少し変わることになる」とした。

今秋にもフェムトセルを導入LTEについても

 



(大河原 克行)

2009/7/30 21:31