業界団体ら5団体「モバイルオーディオ推進協議会」設立


モバイルオーディオ推進協議会の設立団体。左から日本レコード協会 情報・技術部部長の畑陽一郎氏、モバイル・コンテンツ・フォーラム 常務理事の岸原孝昌氏、日本オーディオ協会 会長の校條亮司氏、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム 幹事長の畑口昌弘氏、同 Bluetooth推進委員会 委員長の酒井五雄氏

 日本オーディオ協会(JAS)、日本レコード協会(RIAJ)、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)の4団体と、一般社団法人のJasperは、モバイルにおける良質な音楽環境を推進する「モバイルオーディオ推進協議会」(MAPI)を設立したと発表した。

 今回設立された「モバイルオーディオ推進協議会」(MAPI)は、オーディオ業界、モバイル業界、音楽業界、車載機器など複数の業界にまたがった団体で構成される協議会。設立主旨には「いつでも、どこでも、簡単に、良質な音楽を楽しめる環境を目指す」と記されており、より音楽的な感動や、良質な音楽を楽しむ環境に注力した活動が行われる。また、これまで各業界で個別に推進されてきた内容をまとめるなどし、ユーザーの利便性を高めることも目指す。

 具体的には、すでに既存製品で実現されているBluetooth機能を軸に、モバイル機器とBluetooth対応機器を組み合わせたプロモーションや、新しい利用スタイルの提案が行われる。例えば、携帯電話と、家庭のオーディオ機器に接続できるBluetoothアダプターを組み合わせ、家庭でも着うたフルを高音質に楽しめる、といった内容をアピールするというもの。すでに発売されている製品も含めて、携帯電話やデジタルオーディオプレーヤーをより音楽的にリッチな環境でも楽しむスタイルを提案していく。11月13日~15日に東京・秋葉原で開催される「オーディオ&ホームシアター展 in AKIBA」でも、具体的なデモンストレーションが行われる予定。また、ユーザー向けに加えて、流通ルート向けにも啓発活動を行う。

 今後は、ペアリングの操作方法の統一や、取扱説明書における用語の統一、各端末の出力、インピーダンスなど詳細な仕様の違いの平均化、新しいBluetoothの規格策定に向けた提案といった活動も行われる。

「利便性は向上、感動的・エモーショナルな部分は忘れ去られている」

MAPI 会長に就任した、日本オーディオ協会 会長の校條亮司氏

 7日には都内で記者向けに設立説明会が開催された。モバイルオーディオ推進協議会(MAPI) 会長に就任した、日本オーディオ協会 会長の校條亮司氏は、「従来は業界の団体だけで動き出すことも多いが、今回は横断的な組織にすることで、新しい市場の創造を目指す」と意気込みを語った。その背景については、「ながら的に聞く文化は定着したが、感動的に聞く文化は退廃した。ウォークマンに始まる一世を風靡した携帯する音楽の市場も、携帯電話の市場も、国内市場の在り方のままでは世界で戦えないのが現状」と指摘。「Bluetoothなどはすでにできあがっている技術だが、ある意味で放置していたことを重く受け止め、きちんとプロモーションを行っていく」とする一方「利便性は向上しているが、感動的、エモーショナルな部分は忘れ去られている。ここを訴えていきたい」と述べ、業界を横断して協力しながら、より音質にフォーカスした新市場を創り出す必要性を説いた。

MAPIの副会長に就任したMCPC 常務理事の岸原孝昌氏

 MAPIの副会長に就任した、モバイル・コンテンツ・フォーラム 常務理事の岸原孝昌氏は、着うたの市場が1500億円を超えているとする一方で、「携帯のスピーカーは小さく、イヤホンも1人で使うしかなくて、“楽しむ”という面ではプアな環境。携帯コンテンツは、部屋で楽しまれる場合も多い。そういう環境で使える製品をいかにプロモーションしていくか」と語り、ユーザーにメリットのある形をとりながら、産業の発展につなげていくとした。

 同じくMAPIの副会長に就任した、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム Bluetooth推進委員会 委員長の酒井五雄氏は、Bluetoothの既存の規格で補えない要望が出てきたときには、Bluetooth SIGに提案を行っていく方針を示した。また、日本レコード協会 情報・技術部部長の畑陽一郎氏は、パッケージメディア市場の縮小を説明するものの、音楽配信市場はパッケージメディアの市場を脅かすものではなく、相乗効果を生むような施策が重要と語った。

 設立会場ではこのほか、携帯電話などと接続して利用できるBluetooth関連製品が展示され、家庭のオーディオで楽しむというコンセプトのデモンストレーションが行われた。

会場に展示されたBluetooth関連機器のデモ

CAVジャパンの唯一プロトタイプを展示。iPod対応のアクティブスピーカーで、背面にBluetoothアダプターが取り付けられているダイマジックの「KEPLER DK-SBR510」は3chでBluetoothに対応
ソニー「KEPLER DK-SBR510」(アンプ上部の丸い機器)はAVアンプなどに接続できるBluetoothアダプターソニー「SRS-BT100」はBluetooth対応のスピーカーシステム
パイオニアの「PDX-Z10」には、背面に取り付けるBluetoothアダプター「AS-BT100」がオプションで用意されているパイオニア「PDX-Z10」に取り付けられたBluetoothアダプター「AS-BT100」
ソニー「HWS-BTA2WA」は既存の一般的なシステムに接続できるBluetoothアダプターパイオニアのBluetooth対応カーナビの代表的なモデル「AVIC-VH9900」

 



(太田 亮三)

2009/8/7 18:45