ソニー・エリクソン、使用済み評価機で金の資源循環を実現


評価機100台。100台から3gの金が取れる
ソニー・エリクソンの高垣氏

 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは、携帯電話の評価用端末から金を抽出し、半導体に加工して新たな携帯電話に再利用する資源循環プロセスを確立した。2010年より、今回のプロセスによるKDDI向け携帯電話が出荷される予定。

 1台の携帯電話が発売されるまでには開発段階で多くの評価用試作モデルが生まれる。ソニー・エリクソンでは、環境負荷の低減に向けた取り組みとして、従来廃棄処分していたこれら評価機から、金を抽出して半導体に利用し、再び携帯電話の部品に再利用する。

 2年以上前の使わなくなった評価機(約5000台)を自主回収し、再資源処理会社を通じてそこから約230gの金を抽出する。抽出された金はソニーによって金線へと加工され、さらにアンテナスイッチ用MMIC(モノリシックマイクロ波IC)の半導体用部材として利用される。230gの金からは約100万個のMMICが製造できるという。この半導体部品はソニー・エリクソン製携帯電話の部材として利用される。

 なお、ソニーの再資源化プロセスでは、携帯電話から銀や銅、パラジウムなども抽出され、備蓄されている。ある程度の量が蓄積されたところで、今後こうした資源についても再利用を検討していくという。

 ソニー・エリクソン常務取締役、環境担当の高垣浩一氏は、ソニー・エリクソンがグローバル全体で環境負荷の低減する宣言を行っていることなどを説明。「我々も自主的に何かできないか? と考えた。ソニーグループと協力したことで資源循環プロセスが実現した。今後、商品の企画段階から環境に配慮していきたい」と語った。

 ソニー・エリクソンでは、年間で1万台規模の評価機が開発されるという。今回の再資源化に伴うコストは総合的に見て従来と同等としており、コスト面での影響は少ない。ただし、環境負荷は明らかに低減されるとしており、現在、そのデータをまとめているという。


今回収集した5000台の評価機からは約230gの金が取れる約230gの金から、10個分の金線に加工される金線は100万個のMMICに使われる
MMICの内部構造海外モデル「C901 GreenHeart」。端末に再生プラスチックや水性ペイント塗装などを施した携帯電話

 



(津田 啓夢)

2009/9/11 14:35