CNNIC、中国における携帯電話からのネット利用調査報告を発表


 中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は10月27日、中国のモバイルインターネットと3Gについての最新事情をまとめた「2009年中国モバイルインターネットと3Gユーザー調査報告(2009年中国移動互聯網与3G用戸調査報告)」を発表した。

 なお、当調査でのモバイルインターネットの定義とは、3Gデータカード内蔵のネットブック、および外付け3Gデータカードによるインターネットの利用、3GケータイによるWAPやHTMLの閲覧を指す。

携帯電話利用者は7億1000万人、3Gユーザーは350万人を超える

 中国において3Gは、中国移動(チャイナモバイル)のTD-SCDMAと、中国聯通(チャイナユニコム)のW-CDMA、中国電信(チャイナテレコム)のCDMA2000の3つの方式が存在する。

 中国政府工業和信息化部の統計によれば、中国の携帯電話利用者は2009年8月末の段階で7億1000万人強。参考までに当レポートには書いていないが、TD-SCDMAは9月末の段階で165万5000人(10月20日発表)、W-CDMAは53万人(9月28日発表)、CDMA2000は上半期で130万人(8月28日発表)となっており、合算すれば348万人となり、10月現在では350万人を超える利用者が3Gを利用していると考えられる。

 今後さらなる普及が期待される3Gについて、携帯電話利用者の64.5%にあたる3億4700万人が「3Gについて聞いたことがある」と回答。3Gの情報源は「テレビ(75.3%)」が最も多く、以下「インターネット(45.8%)」「街頭広告(36.8%)」「新聞(32.0%)」「携帯電話経由の広告(20.2%)」と続いた。

 その見聞きした3G広告について、どのキャリアかという質問には「よくわからない(75.3%)」という回答が7割を超えており圧倒的に多い。以下はいずれも2割を切るが、「中国電信CDMA2000(15.3%)」「中国移動TD-SCDMA(6.8%)」「中国聯通W-CDMA(2.6%)」と続いた。また各キャリアの認知度では「中国聯通W-CDMA(62.2%)」「中国移動TD-SCDMA(49.6%)」「中国電信(42.2%)」となった。

携帯電話によるインターネット利用者数の推移

20代を中心に広まる3G携帯電話

 都市部では携帯電話を持っていない人を探す方が難しく、全世代に普及している。一方で、3Gないし2.5Gでのモバイルインターネット利用者を世代別に見ると、20代が全世代の半数以上を占め、残りの半分のほとんどが10代と30代で、40代以上の利用率は稀少という結果となった。さらに3Gに限定すれば、20代が59.5%、10代が25.0%、30代が13.7%、40代が1.8%という結果で20代がほぼ6割を占める。

 職業別でも、経営者の利用率は1割程度で、対してサラリーマンや学生は2割前後となっている。収入別では、都市部の平均収入より高い2000元台(1元=13.37円で換算すると2万6740円)をピークに山型のグラフとなっており、PCでのインターネットユーザーよりも高所得な利用者が利用する傾向となっている。今後データカードや携帯電話など3G製品を購入したいとする消費者もまた20代が圧倒的に多く、10代30代がほぼ同率でその後に続く。

 半年以内に3Gでインターネットを利用する人は4000万人程度と予測している。3Gを利用したい理由としては「速度が速い(29.1%)」という理由が最も多く、以下「周りの人が利用している(12.7%)」「テレビ電話を利用したい(11.2%)」「値段に納得がいく(8.1%)」「お土産に(6.3%)」「最新のハイテク製品を使いたい(4.8%)」「キャリアがプッシュするから(3.8%)」「広告で惹かれた(3.8%)」「団体でまとめ買いするから(3.3%)」という理由が続いた。

年齢別3Gモバイルインターネットユーザー

携帯電話からのインターネット利用者は1億8000万人

 中国の携帯電話によるインターネット利用者は、2009年8月末の段階で携帯電話利用者の34.2%にあたる1億8000万人。

 携帯電話でのインターネットの頻度は平均で1日2.2回で、「1日1回以上(68.8%)」が7割弱を占めた。一方で「毎週2~3回(9.5%)」も一定数存在する。1日のインターネット利用時間は「3時間以上(25.7%)」が4分の1以上を占め、以下「1~2時間(19.4%)」「30分~1時間(14.2%)」「2~3時間(12.5%)」「15~30分(12.3%)」「15分以下(12.2%)」となった。平均では毎日97分。

 3Gに限定すれば、インターネットの頻度は平均で1日5回で、「1日1回以上(74.2%)」が4分の3を占めた。一方で「毎週2~3回(11.2%)」もまた一定数存在する。1日のインターネット利用時間は「3時間以上(34.9%)」が3分の1以上を占め、以下「1~2時間(17.5%)」「15~30分(12.2%)」「30分~1時間(11.8%)」「2~3時間(11.1%)」「15分以下(9.3%)」となった。平均では毎日105分となり、3Gとなり速度が改善されたことで、一部ヘビーユーザーの利用頻度と時間が増加する結果となった。

携帯電話によるインターネットの平均利用頻度と1日あたりの平均利用時間3G携帯電話によるインターネットの平均利用頻度と1日あたりの平均利用時間

利用用途では、ニュース閲覧が約9割でトップ

 携帯電話利用者全体での利用用途(複数回答可)としては、ほとんどの利用者が「ニュース閲覧(90.8%)」を利用しているほか、「チャット(47.9%)」「検索(46.9%)」を半数弱が利用している。

 その他の項目では利用率は2割以下となるが、「携帯電話向け読み物サイトの閲覧(18.9%)」「オンラインゲーム(15.6%)」「着信メロディ・音楽ダウンロード(14.1%)」「掲示板(10.3%)」「画像のダウンロード(10.3%)」「(スタンドアロンの)ゲームのダウンロード(9.4%)」「動画視聴(8.8%)」「ソフトのダウンロード(6.9%)」「メール(4.3%)」「株取引(3.7%)」「テレビ電話(3.7%)」「ブログ(2.9%)」「その他(5.3%)」となった。

 なお、3Gに限定すれば「ニュース閲覧(94.8%)」「検索(58.7%)」「チャット(44.3%)」「オンラインゲーム(23.2%)」「動画視聴(18.3%)」「携帯電話向け読み物サイトの閲覧(18.3%)」と続いた。回線速度が速くなったことで、検索やオンラインゲームや動画視聴の利用率が向上している。その他のサービスでも、多くの項目で、利用率が数ポイント程度高くなっている。

携帯電話によるインターネットの利用用途3G携帯電話によるインターネットの利用用途

チャットソフトQQの携帯版サイトが一番人気

 サイトジャンル別では、携帯電話向けポータルサイトが最も多く、続いて検索サイト、SNSサイトと続く。ただし、SNSサイト利用者はまだ少数派だ。

 携帯電話向けポータルサイトではPCではチャットソフトで有名なQQの携帯版サイト「手机騰訊網(54.2%)」の利用者が最も多く、百度(38.2%)がそれに続く。

 検索サイトでは、Google中国(7.8%)もサービスを展開しているが、百度(38.2%)、易査(9.6%)に続く3番目のサイトとなっている。SNSサイトでは、手机校内網(6.9%)と手机開心網(4.1%)が2大サイトとなるが、全体から見ればまだ携帯電話からのSNS利用者が少ないことがわかる。

 なお、利用サイトについては3G利用者限定で見ても大きな差はないものの、いずれのサイトについても、携帯電話利用者全体に比べてそれぞれ数ポイント利用率が高くなっている。

携帯電話による各サイトの利用率3G携帯電話による各サイトの利用率

お金を払ってもいいサービスは「電子ブック」「動画」

 お金を払ってもいい携帯電話向けサービスでは、「電子ブック(23.6%)」「動画サービス(17.6%)」の回答が多く、以下「オンラインゲーム(11.8%)」「セキュリティソフト(11.5%)」「ナビゲーションシステム(10.7%)」「学習ソフト(9.9%)」「フィナンシャルサービス(9.8%)」「Eメール受信サービス(9.5%)」となった。

 また、受け入れられる広告付の無料サービスでは「動画サービス(25.9%)」が「電子ブック(21.5%)」を上回る結果に。その他はほぼ「お金を払ってもいい携帯電話向けサービス」の回答とほぼ同じとなった。

 携帯電話向け動画サービスで見たいコンテンツは、「映画(45.3%)」「ニュース(44.5%)」「エンターテイメント(36.0%)」「スポーツ(31.5%)」「テレビドラマ(30.8%)」「金融情報(9.4%)」「その他(8.4%)」となった。

 ただし、現状の携帯電話によるテレビの映像クオリティには「とても満足(7.4%)」「やや満足(27.8%)」「普通(47.0%)」「やや不満(14.3%)」「不満(3.6%)」という結果で、多くの利用者が品質改善を望んでいる。

 一報、すでに3G携帯電話で動画サービスを利用している利用者では、速度面で「やや満足(37.2%)」が増え逆に「普通(38.2%)」が減る結果になっていて、満足度は高まっている。

 3G携帯電話による毎月の動画サービス平均利用額は21.8元(約300円)。10~20元(150~300円弱。18.8%)の利用者が最も多いが、一方で50元(約700円)以上毎月支払う利用者も少なくなかった。

有料か、または広告付き無料サービスで利用したいサービス

携帯電話でも自分で選んだWebブラウザをインストール

 日本とかなり異なるのが、Webブラウザ環境だ。Webサイトを携帯電話で閲覧しているユーザーのうち、携帯電話にプリインストールされたブラウザの利用者は49.6%と半数を切る。「不明(7.7%)」を除くと、残りの42.7%の利用者は、別途Webブラウザをインストールして利用していることになる。

 自分でインストールするWebブラウザについて、さらにWebブラウザ別に見ると、QQを運営する騰訊が提供するWebブラウザ「騰訊QQ手机版瀏覧器(27.3%)」の利用が最も多く、以下「UCweb(11.2%)」「Opera(1.8%)」となった。なお、この利用率に関しては、3Gに限定してもそれぞれのシェアはほとんど変わらない結果となっている。

(山谷 剛史)

2009/10/30 15:15