ドコモ四半期決算は減収減益、スマートフォンなどに言及


NTTドコモの山田氏
業績概況

 NTTドコモは、2009年第2四半期(2009年4~9月)の連結決算(米国会計基準)を発表した。売上高は、前年同期比5.4%減の2兆1458億700万円、営業利益が前年同期比15.9%減の4852億2300万円となり、税引き前四半期純利益は前年同期比14.3%減の4798億8100万円となった。なお、売上高のうち携帯電話の収入に限ってみると、前年同期比5.6%減の1兆7662億円となっている。

 代表取締役社長の山田隆持氏は、営業利益が減少した要因として、売上高が前年同期から1220億円減少したことをあげた。パケット収入の増加(対前年同期414億円増)はあったものの、音声(1471億円減)や端末販売収入(667億円減)の減少を補完するまでには至らず、売上高は前年同期比で1220億円減少している。なお、端末販売費用を減らしたことで、営業費用は昨年同期より303億円少なくなっている。

 ドコモでは、2009年度上期の営業利益自体は概ね想定通りに推移しているとみている。これは、2008年度上期に新販売モデル導入に伴う利益浮揚効果などがあったためという。

 音声収入が減少に繋がったのが、バリュープランなど新販売モデルの浸透だ。バリュープランの契約者数は2009年9月までの数値で全ドコモユーザーの49%にまで拡大している。また、「ファミ割MAX50」などの割引サービスの加入率は全体の63%にまで伸びた。

 なお、ドコモの長期割引サービスでは、10年を超えると月額利用料が半額になる。現在、10年を迎えたユーザーは約700万ユーザーに上るという。

 パケット定額サービス「パケ・ホーダイ」は、下限値を月額390円にまで下げた「パケ・ホーダイ ダブル」を提供したことで契約率が上昇。パケット定額サービスの利用者は全体の47%にまで拡大した。ドコモでは、2009年度末の達成目標を契約率47%としていたため、当初の目標を2四半期で達成したことになる。山田氏は、契約率が増加した理由を「下限を下げたことで店頭でユーザーにお勧めしやすくなった」などと説明している。



ARPU、解約率、販売数

 2009年上期のARPUは、前年同期比7.5%減の5430円。その内訳は、音声ARPUが前年同期比14.8%減の2990円、データARPUが前年同期比3.4%増の2440円となっている。4月に発表した2009年通期予想では、トータルARPUは5280円とされたが、今回、5300円と通期予想が上方修正されている。

 山田氏は、今後も成長が期待されるデータARPUをいかに伸ばせるかが鍵を握るとしており、動画サービスなど、データARPUを伸ばせる施策を打ち出すことに意欲を見せた。

 解約率は、上期の解約率は0.45%と低水準で推移した。山田氏は、今年9月に、いわゆる2年縛りの割引サービス「ファミ割MAX」のユーザーが契約更新月を迎えたことを紹介。「解約率が高くなると心配されたが、その9月でも0.53%」と想定よりも少ない解約率だったと話した。なお、ファミ割MAXの契約者は約600万おり、このうち解約しているのは6万人という。

 2009年上期の総販売数は881万台で、前年同期比で14.2%の減少となった。ドコモでは、2009年通期の総販売数を1820万台(前年度比9.6%減)としている。発表会ににおいて山田氏は、上期の販売数がふるわなかったが、「後半の落ち込みは少ない」と予測。これは2年前に905i/705iシリーズを投入しており、これらのユーザーの買い換え期にあたるからだと説明した。



2009年通期の業績予想

 決算では、2009年通期の業績予想についても触れた。ドコモは、今年4月の段階で通期予想を発表しており、その際は売上高が4兆3820億円(携帯電話収入3兆4490億円)、営業費用が3兆5520億円、営業利益が8300億円、フリーキャッシュフローが3800億円としていた。

 今回の予想では、売上高を1060億円下方修正して4兆2760億円とし、このうち携帯電話収入については120億円上げて3兆4610億円とした。これはARPUの見直しによるもので、端末の販売収入については1230億円下方修正している。

 営業費用については当初予想から1060億円下げた。これは、総販売数の見直しなどにより、端末機器原価を1260億円減と見積もったため。また、端末保有期間の長期化により、故障対応が増えると予想されることから、ポイントサービス経費は当初より190億円上がっている。

 このほか、フリーキャッシュフローは200億円下方修正され、通期で3600億円となっている。

スマートフォン向け施策やフェムトセルのサービスインに言及

 決算発表では、山田氏よりドコモが掲げる中期ビジョンの進捗なども語られた。山田氏は同社の顧客満足度向上策(ケータイてんけん、電池パック安心サポート)や、動画サービスなどを紹介し、この結果、解約率を低い水準で維持し、純増数も前年同期比6.5%増と改善したことなどを説明した。

 なお、データARPUに貢献する動画サービスについては、「BeeTV」の名前を出して、10月12日に80万契約を達成したことを明かした。BeeTVは体験版の会員から有料会員に転換する率が70%と高水準となっている。さらに、動画サービスが利用者が増えるとパケット定額サービスの加入者も拡大する効果も生んでいるとした。ドコモでは2012年度の目標として、「パケ・ホーダイ ダブル」の加入率70%、このうち上限達成率50%という目標を掲げている。

 このほか、「STYLE」「PRIME」「SMART」「PRO」の新端末ラインナップについては、10月17日にシリーズ累計で1000万台を突破したと語った。なお、シリーズ毎では、STYLEの半数以上のシェアを占め、以下PRIME、SMART、PROシリーズが続いているとした。

 スマートフォンについては、日本人向けにローカライズされたアプリ流通基盤の早期提供が重要とし、2009年度内にもオープンOS向けの流通基盤「ドコモ・マーケット(仮称)」を提供するとした。

 また、Windows Mobile搭載の東芝製スマートフォン向けには「Windows Mobile 6.5」のアップデートソフトを配布する。2009年12月に提供される予定で、一旦パソコン側にソフトをダウンロードした上でアップデートを行う方針が説明された。

 フェムトセルについては、11月にもサービスを開始するとされた。2012年には100万局を設置することなどが語られたが、当初は2万局程度になるという。フェムトセル製品はドコモからのレンタル提供となる見込みで、詳細については今後発表される予定。

 山田氏は最後に、「変革とチャレンジという目標は全社員に浸透し、変革についてはユーザーにも評価いただいていると思う。チャレンジの項目は2012年に向けて新たな種まきをしておりまだ道半ばだ。我々は“PDCA”を心がけて、目標に向かって邁進していきたい」と語った。「PDCA」とは、Plan-Do-Check-Actionの頭文字で、計画、実行、評価、改善の工程をそれぞれ確実にやっていこうというメッセージとなる。



 



(津田 啓夢)

2009/10/30 19:18