Androidが1秒で起動、ユビキタスが組み込み向け起動高速化技術


株式会社ユビキタスの川内雅彦社長

 株式会社ユビキタスは10日、組み込みシステムの起動時間を大幅に短縮する「Ubiquitous QuickBoot」を発表した。同日に行われた説明会では、Android端末を電源投入から1秒台でアプリケーションが動作している状態まで復元するデモを披露し、デジタル家電や携帯端末などへの採用を進めていきたいとした。

 Ubiquitous QuickBootは、フラッシュメモリなどからRAMにシステム状態を復元するハイバネーション方式を改良し、起動に必要な部分を優先的にRAMに読み出して復元することで、1秒台での起動を可能にする技術。通常のハイバネーション方式の場合には、読み出すメモリのサイズが大きくなるほど起動時間が長くなるが、Ubiquitous QuickBootであれば最小限の部分のみを読み込んで起動し、その他の部分は後から順次読み出すため、どのような状況でも高速起動が可能だとしている。

 説明会では、Android端末を電源オフの状態から1秒台で起動させるデモを披露。通常のハイバネーションでは起動に十数秒かかるシステムが、Ubiquitous QuickBootによりAndroid上でアプリケーションが動作している状態まで瞬時に起動できることをアピールした。デモではAndroidを用いたが、技術的にはWindows Mobileなど他のシステムでも利用可能なものだという。

 ユビキタスの川内雅彦代表取締役社長は、「現状のデジタル家電などでは、高速起動のためにCPUやDRAMを通電したままのスタンバイ状態にしているものが多いが、スタンバイ状態では無視できない待機電力がかかる。Ubiquitous QuickBootは、コールドブートで1秒台の瞬間起動を可能とすることで、待機電力削減や携帯機器のバッテリー駆動時間延長に寄与し、ひいてはCO2 削減にも貢献する」と説明。今後、パートナー企業などを通じて、デジタル家電や携帯端末などに採用を進めていきたいとした。

 ユビキタスでは、パシフィコ横浜で11月18日~20日に開催される組み込み技術総合展「Embedded Technology 2009」でも、今回のデモ展示を行う。

起動に必要な部分のみを先行して読み出すことで起動を高速化Androidのシステムを1秒台で起動可能

 

(三柳 英樹)

2009/11/10 23:11