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通信行政のこれまでとこれから、総務省で検討会


 10日、総務省で「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」の合同ヒアリングが開催された。原口一博総務大臣の主導でスタートした同会合は、4つの部会で構成され、今回は「過去の競争政策のレビュー部会」と「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」が合同で、関連事業者から意見聴取するための機会となった。

 有識者で構成される部会構成員のほか、業界動向の説明を受けるため、NTT代表取締役社長の三浦 惺氏、KDDI代表取締役社長兼会長の小野寺 正氏、ソフトバンク代表取締役社長の孫 正義氏らが出席し、各社の主張が繰り広げられた。

 「過去の競争政策のレビュー部会」ではこれまで総務省が行ってきた各種政策について、「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」では今後の通信市場での取り組みについて議論される見込みで、これまで行われた2回の会合では、有識者から料金や国際競争力など、今後議論すべき点が指摘されたものの、具体的にどこまで踏み込み、整理していくかの議論はこれから行われる。従って今回のヒアリングも、特定の課題に対して意見を求めるのではなく、各社が現状、課題と感じている部分を聴き取ることが中心となった。

各社の主張、NTT再編について

 NTTからは、電話の時代を経てインターネットが普及したことでパラダイムシフトが発生しており、「通信分野においては原則自由とする方向へ転換してほしい」(三浦氏)と、ドミナント規制の撤廃を求めるような意見も出された。KDDIからは、携帯市場での競争はある程度行われているものの、固定回線、特にFTTHについてはNTTの寡占化が進んでいるとの指摘がなされた。特に競争政策への取り組みについては、かつてのマイライン制度導入が市場競争の激しい時期とずれたために、むしろNTT以外の事業者(NCCと呼ばれる)のシェアが落ちたと指摘し、政策導入はタイミングが肝要とした。

 ソフトバンク孫氏は「インターネット中継でプレゼン資料も配信してもらおうと考えたが、通信の総本部たる総務省の設備はISDN×2本と聞いて愕然とした」という話題からプレゼンをスタート。韓国メーカーが世界で好調な業績をあげている一方、日本はISDNやPDCを導入したことで世界と隔絶したことを挙げて、「(制度の自由化を求める)NTTがまるで“国内インフラは既に十分であり、その利活用を検討すべき”という議論は、NTTを中心にしろと受け止められても仕方がない」と述べ、インフラ面での競争政策も引き続き必要との見方を示したほか、山間部や離島などへの対応策も議論すべきとした。

 イー・モバイル代表取締役社長のエリック・ガン氏は、同社トラフィックが著しく伸びていることなどを受け、「日本は通信向け周波数が全体的に足りない」と述べ周波数政策の再考を促したほか、「NTTも設備会社を分離するような形にするのも1つのアイデア」などと指摘した。またケイ・オプティコムでは代表取締役社長の藤野 隆雄氏が「ドコモのフェムトセルサービスにケイ・オプティコムも対応しようと協議を申し入れたが、ずるずると引き延ばされている。同じグループのNTT東西を優先するのは問題ではないか」と語り、NTTグループの対応を批判した。

 部会構成員の町田徹氏(ジャーナリスト)からNTT再編問題について問われると、ガン氏が「持株という形態では分離とは言えない」との指摘がなされ、孫氏や小野寺氏もそれに同意。小野寺氏は「かつてNTTコミュニケーションズは中継事業者として県間通信を担う役割になるはずだったが、NGNにおいて県間通信が活用業務として認可された」と批判した。これに対しNTTの三浦氏は、これまでのNTT関連規制は、電話を念頭に行ったものであり、県境や国境をまたいでサービスを提供するインターネット時代にはそぐわないと説明。現在、NTT東西向けコンテンツを提供する事業者は、NTT東と西、両方にサーバーを設置しなければならないとして、規制についても議論を進めるよう求めた。

国際競争力について

 このほか、国際競争力については、今回のヒアリング対象各社が担うインフラ部分(下位レイヤー)と、Webサービスのような上位レイヤーの関係性は薄いといった指摘がなされる一方で、「インフラが発展し、ノウハウを積み重ねたからこそ中国で5億人のユーザーを獲得できた。国際競争力においてサービスとインフラの関連は薄いように見えて、実はきちんと連携している」(孫氏)といった主張も為された。

 国際競争力については携帯電話メーカーが槍玉に挙げられることも多いが、三浦氏は「確かにPDCは結果としてダメだったが、3Gで国際標準に近づけ、LTEでは世界の先頭グループとして他社と足並みを揃え、来年末に導入する。これはチャンスがあると思っている」と述べたほか、小野寺氏は「(欧米などでもプレゼンスを確保したサムスン、LGを挙げて)彼らの進出先は主にGSMだが、韓国内はCDMA。そういった意味で通信事業者と端末は結びついていない。またメーカー間はクロスライセンスが当たり前だが、オペレーターが特許を保有していると、メーカーからすればライセンス料を支払うしかない。特に欧米の事業者からは『オペレーターが特許を持っていながら海外進出すると、現地の競争相手はどう思うだろうか』と指摘を受けた。オペレーターはサービス競争であり技術競争ではない。当社にも研究所はあるがサービスやオペレーションに関する研究をやっている」と語り、オペレーターが技術開発を主導することに異議を唱えた。

 議論の後半は、NTT再編論やユニバーサルサービス料について多くを占め、司会を務めた黒川和美氏(法政大学大学院教授)がそれぞれについて別途機会を設けると述べ、今後の会合へ持ち越しとなった。

 合同ヒアリングは次週、12月17日にも行われ、グーグルなどから意見を聴取する予定。これら2つの部会を含め、ICTタスクフォースは月1回程度開催され、2010年5月〜6月ごろに議論がとりまとめられる見込み。

 

(関口 聖)

2009/12/10 21:16


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