生活文化センター、ドコモMVNO接続拒否を総務省に紛争処理申請


 生活文化センターは、NTTドコモとの相互接続に関して、総務省紛争処理委員会にあっせん申請したと発表した。

 総務省には、電気通信事業者間のトラブルや無線局の開設に伴うトラブル解決をサポートする電気通信事業紛争処理委員会が設置されている。生活文化センターでは、2009年12月17日にNTTドコモがMVNOによる通信サービス提供のための相互接続を拒否したとして、この委員会にあっせん申請したと発表した。

 なお、紛争処理委員会では「あっせん」について、「専門家3名程度のあっせん委員が紛争当事者の間に入り、当事者間の紛争について新たな合意点が見つかるよう委員が協力し、紛争解決を図るもの」としている。紛争の迅速な解決を図るもので、強制的な効力はない。

 生活文化センターがあっせんを求めた項目は以下の通り。[1]MVNO発着料金設定権MVNOの直収パケット交換機接続、[2]iモード端末用パケット交換機接続と、パケット交換機接続機能を使ったMVNO発着MVNO料金設定のiモードサービスの接続、[3]MVNO発料金設定MVNOの音声サービス関門交換機接続、[4]関門交換機と接続する他事業者発料金設定他事業者発MVNO着音声サービス、[5]SMS(ショートメッセージサービス)MNO発着料金設定MVNOの仮称ショートメッセージ交換機接続、[6]SIMロック解除、[7]接続約款の改定など。

 生活文化センターでは、無線LANや携帯電話、WiMAXなどを統合し、「国民の、国民により、国民のためのモバイル通信」を提供するとし、2010年6月にもMVNOによる携帯電話サービスを開始すると発表している。また、代理店を募集しており、「事業が続く限り永遠にバックマージンお支払い! 端末不要で在庫0」などと案内している。

 なお、同社のWebサイトでは「NTTドコモとの紛争」と題して、MVNOに絡む経緯を公開しており、NTTドコモ側が相互接続を拒否したとする文書も公開されている。この中でドコモ側は、生活文化センターとMSシステム、メイテックプラントの3社が旧平成電電の佐藤賢治氏(元平成電電代表取締役社長)と密接な協働関係にあるとし、旧平成電電が通信業界に社会的不信を招き、破産によって業界全体に損失をもたらしたこと、さらに、生活文化センターが相互接続料金である1267万1760円を継続的に支払えないと判断したことなどを拒否の理由としている。

 総務省の電気通信事業紛争処理委員会では、当事者間の紛争内容については公表していない。仮に生活文化センターとNTTドコモの和解が成立しない場合、強制力を伴う「仲裁」の申請も行える。同省担当者によれば、多くの案件は「あっせん」によって解決するとしており、「仲裁」にまで進むのはごくわずかという。

 

(津田 啓夢)

2010/1/5 13:36