「ウィルコムが企業再生支援機構に要請」報道、各社がコメント


 債務の私的整理を目指すウィルコムについて、15日、「企業再生支援機構へ支援を要請する方針で、ソフトバンクも支援の一端を担う」と報道されたことを受け、ウィルコムとソフトバンクが「現時点では何も決まっていない」「憶測記事」とコメントしている。

 ウィルコムでは、昨年9月下旬、新データ通信サービス「WILLCOM CORE XGP」を展開する上で、財務体質の抜本的な改善が不可欠と判断し、事業再生実務家協会へ事業再生ADR(産業活力再生特別措置法所定の特定認証解決手続き)を申請した。事業再生ADRは、債務者と第三者(事業再生実務家協会)が金融機関などの債権者に対して、借入金の返済期限延長を要請するというもの。

 今回、当事者間での合意を目指す事業再生ADRではなく、公的資金が導入されている組織である企業再生支援機構へ「ウィルコムが支援要請を行う方針」と報道された。これを受け、ウィルコムでは「事業再生ADRの手続きについて、関係各所と調整を進めており、さまざまな選択肢について検討しているが、何か決まっているわけではない。ADRについては原則非公表であり、協議内容や進捗状況、今後のスケジュールなどは明らかにしない」とコメント。現時点では決定した事項はないとしている。なお、ウィルコム取締役最高顧問を務める、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏は、13日付けで首相官邸に赴き、企業再生支援機構に支援される予定の日本航空(JAL)の新会長兼CEOへの就任を内諾したとされている。

 一方、ウィルコムを支援すると伝えられたソフトバンクでは、「これは報道機関による憶測記事である」とコメントしている。

 また企業再生支援機構では、「個別の案件について、支援が決定するまで一切コメントできない」としている。

 企業再生支援機構は、国によって2009年10月に設立された株式会社。地域や規模を問わず、有用な資源がありながら債務超過に陥った企業を支援する。どの企業を支援するかは、同機構内部で判断する。資本金は200億円で、政府と金融機関が100億円ずつ出資している。

 企業が債務超過に陥った場合、当事者間と調整する私的整理や、会社更正法による法的整理といった手法を採ることが考えられるが、仮に企業再生支援機構の支援が受けられれば、「私的整理/法的整理と比べ、やや私的整理に近いかもしれないが、決定的に異なるのは、支援がもし決まると、即日で融資が受けられるということ」(企業再生支援機構広報)というメリットがあるという。

 



(関口 聖)

2010/1/15 12:02