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ドコモ山田社長「課題は迅速な対応、iPadにも強い興味」


ドコモ山田社長

 NTTドコモは、2009年度第3四半期決算を発表した。2009年4月〜12月累計における営業収益(連結ベース)は3兆2424億円(前年同期比4.0%減)、営業利益(同)は7027億円(前年同期比5.9%減)となった。同社では29日、報道関係者向け説明会を開催、代表取締役社長の山田隆持氏が説明を行った。山田氏は、米国で発表されたアップルの「iPad」などについても言及した。

収益の内訳

 第3四半期(2009年10月〜12月)のみの業績を見ると、営業収益は1兆966億円で前年同期比は1.3%減、営業利益は2174億円で前年同期比は28%増となった。累計では前年比で4%減少しているが、これは「2008年度は、新販売方式導入で上期に利益が大きく発生したため」(山田氏)であり、その反動で、通期ベースでは前年を下回る結果となった。一方、今期のみで見ると、営業利益が28%増と大幅に伸びている。

 前期の営業利益と比べ、今期は、音声収入が1875億円減少。そのうちバリュープランの影響が1000億円という。一方、パケット収入が592億円の増収、その他増収が766億円となったほか、端末販売では販売数減少で848億円の収入減となる一方、販売費用が996億円減でコストを抑えられた。これらの差し引きにより、今期は前期よりも441億円の減少となった。

決算概況 収益の内訳

パケット利用の拡大目指す

 山田社長は、業績のポイントとして「パケット収入増」「総合ARPU減に対応したコスト削減」「その他増減」という3点を挙げる。このうち、パケット収入については、総合ARPUが5440円となり、前年同期比6.5%減、380円の減少となり、通期予想では410円の減少を見込んでいる。

 山田氏は「ここの収入は最も重要」と指摘し、ヘビー/ミドルユーザー向けにはBeeTVなど新規コンテンツの提供や、ディー・エヌ・エー(DeNA)との新規サイトを2010年度上期に開始することなど、現在及び将来の取り組みを紹介。また、ミドル層とライト層のパケット通信料を増加させることも必要として、下限額を値下げした段階制パケット通信料定額サービス「パケ・ホーダイ ダブル」への加入を進め、iコンシェルや無料デコメ素材配信メルマガなどでコンテンツの利用促進を図り、ARPU増を目指す。パケット通信料定額サービスの契約率は9月末時点で47%に達し、12月末時点では49%となった。今年度末までに55%を目指す。

ARPUの状況 定額制への加入を促進し、パケット通信料の増加を目指す

 iコンシェルについては310万契約に達し、地方にあわせたコンテンツの充実が重要として、「どれだけ地元密着の情報を的確に送れるのか。それができれば加入してもらえる」(山田氏)とした。またオートGPSを利用した広告配信について問われた山田氏は、対応機種がまだ少ないため、まずはiコンシェルの使い勝手を向上させ、契約数の増加に繋げていけば、将来的に的確な広告配信が可能となり、他のモバイル向け広告プラットフォームよりも魅力的な仕組みになり得るとした。

 なお、今期では無料通話分を翌々月まで繰り越せるサービス「2ケ月くりこし」の引当金を見直し、音声ARPUが40円増加している。これは、繰越額が当初の見通しよりも多額になり「繰り越しすぎではないか」と見直しを行ったためという。ドコモでは「当初はどの程度まで繰り越されるかわからなかったが、2年経って、ある程度ノウハウが積もり、繰り越しすぎた分を戻すことにした」と説明している。

 一方、コスト削減については、携帯電話収入減少に対するものとして紹介された。携帯電話販売収入は1283億円の減少となったが、通信設備使用料や減価償却費などのネットワーク関連コストが906億円削減できた。また端末販売では、販売収入から原価や手数料を引いた収支が149億円プラスとなっている。端末販売収入減を全てカバーできているわけではないが、業績への影響を小さくするよう今後も経営努力するという。

端末販売数は下げ止まり

 なお、端末販売数は2009年4月〜12月の累計で1301万台で前年同期比12%減、第3四半期だけでは420万台(前年同期比は6.9%)より累計で6.9%(約177万台)減少した。ただし、山田氏は「端末価格を正価にしたことで、買い控えが起きたが、ずっと買わないということではなく、必ずどこかで買い替える。一時は販売数が落ちたが、やがて戻ってくると思う」と述べ、端末販売数の下落傾向は、業界全体としてある程度の水準で下げ止まると予測した。

 このほかの業績関連項目として紹介された「ケータイ補償お届けサービス」は、契約数増加により収益・費用ともに300億円増加。現在の故障リスクを踏まえた料金設定であれば「ケータイ補償お届けサービス」の利用料と修理費用はほぼ収支が同じ額となるため、業績への影響は軽微と見られている。端末故障に関しては、端末を持つ期間が約30カ月から約36カ月程度まで長期化したことで、修理に出される機会が増加し、前年同期比200億円増加した。

端末販売数の状況 ファミ割MAX50などの契約数は頭打ち。バリュープランは引き続き伸長

 また、通販を手掛けるオークローンマーケティングが子会社になったことで、収益は350億円増、費用300億円程度の増で利益には70億円程度の影響とされている。

 解約率は、2年前に導入した期間拘束型割引サービスが満了時期を迎えたことで、9月頃に一時上昇したものの、2009年度全体としては0.45%になった。純増数は83万5000件、前年比9.8%増となった。純増シェアで見ると26.7%となった。山田氏は「純増シェア1位を目指して取り組むが、何が何でもというわけではない」とも述べ、“純増1位”を獲得するための強引な施策は行わないことを示唆した。

 このほか、札幌で自転車のシェアリングサービス実験を行うこと、お便りフォトサービスなどの取り組み、インドでの事業展開などが紹介された。事業再生ADRを進めるウィルコムについて問われると「PHSから撤退したので将来性をどうこう言える立場にはないが、次世代PHSは高速通信が良いところ。どれだけ全国に広められるかが1つのポイント」とコメントするに留まった。

「iPadに大変強い興味」「iPadは洗練されたパソコン」

山田氏は「iPadに強い興味を持っている」とコメント

 28日(米国時間27日)に発表されたアップルの「iPad」について問われた山田氏は「iPadとiPhoneと違うのかなと思っている。昨日発表されたばかりで勉強しているところだが、iPadはモジュール内蔵の洗練されたパソコンだと思っている。SIMロックフリーの端末ということで、大変強い興味を持っている」と語る。

 携帯電話やスマートフォンではなく、通信モジュール内蔵型パソコンで、位置付けとしては高級なネットブックに近いとの見方も示した。ただし、発表されたばかりで「米国ではインセンティブ(販売奨励金)を出していないと言われるが、まだわからない」と語り、情報を収集している段階とした。

 同日夕方に行われた証券関係者向け決算説明会でもiPadについて問われた山田氏は「前向きに取り組みたい」としたほか、iPadで“micro SIM”と呼ばれるSIMカードが採用されたと伝えられていることについて「ドコモでもmicro SIMの標準化を作業したことはあり、対応するのはそう難しくないと考えている。ただ、具体的には今から着手するということになる」と説明。続けて代表取締役副社長の辻村清行氏が「micro SIMは標準化上、mini UICC(ミニユーアイシーシー)と呼んでいる。少しソフトウェアを変えなければならず、検証の必要があるため、実際に導入するには数カ月時間がかかる。しかしM2M(機器間通信)ではmicro SIMが主流になるだろう。micro SIM自体は、従来のSIMカードより劇的に小さくなっているわけではない」と語り、技術的な課題は小さいとの見通しを示した。

 山田氏は「通信業界をとりまく環境は、iPadの発表もあり、ダイナミックに動いている。これからも迅速にどう対応するかが課題。変化を勝機ととらえて、新たなチャレンジの旗を立てていきたい」と意気込みを見せたほか、Amazonの「Kindle」など海外で話題の電子書籍端末については、「新たな波にどう対応するか検討している。結論として“ドコモが作る”というところにはなっていないが、鋭意検討する。新たな風に対してチャレンジしたい」と述べた。

ラインナップ別の販売動向

 一方、端末ラインナップの販売動向を見ると、STYLEシリーズが60%、PRIMEシリーズが28%、SMARTシリーズが9%、PROシリーズが3%となっている。スマートフォンは最近PROシリーズとして提供されているが、今だ主流には遠い状況。スマートフォンは、現在5機種前後を検討しており、「BlackBerryの後継機が出てくる可能性はある。導入できるものもあれば断念するものもある」(山田氏)として徐々にラインナップ拡充を図る方針だ。

 山田氏は「現在の稼ぎ頭はiモード。だが、それにあぐらをかくことなく、スマートフォンやPC向けデータ通信サービスにも注力する。スマートフォンの魅力はオープンアプリで、iモードにはない機能だと思う。米国では20%がスマートフォンとされており、そういう意味では日本は少し遅れているが、逆に通常の端末におけるインターネット対応が進化しているとも言え、すぐに通常端末とスマートフォンが逆転することはないと思っている」と説明し、スマートフォンの普及はまだ先としながら、備えをしていく姿勢を示した。iモードについても、「ユーザーが何を見ているかといえば、やっぱりiモードが多い。より便利に、より簡単にどんどん改良していきたい」と語っていた。

 



(関口 聖)

2010/1/29 18:57


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