UQ開局1周年、UQ田中氏が今後の展開を説明


UQコミュニケーションズの田中氏
関東エリアの基地局マップ赤丸が開局している基地局

 UQコミュニケーションズは、2月26日で同社のモバイルWiMAXサービスがトライアルサービス開始から1年が経過したことに伴って、報道関係者向けの説明会「UQ コミュニケーションサロン」を開催した。

 UQコミュニケションズの代表取締役社長の田中孝司氏は冒頭、2月26日でUQ WiMAXのトライアル開始からちょうど1年が経過したと語り、これまでの歩みを説明。2009年7月1日に本サービスが開始され、10月1日には日額料金プラン「UQ 1Day」や公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fi」がスタート、12月18日には2段階制料金プラン「UQ Step」を開始したことなどを紹介した。

 UQ WiMAXは、当初500局の基地局でスタートした。その後順調に基地局数を増設し、基地局の敷設計画を前倒しして、2010年2月末までに5985局、3月末には7000局の基地局が敷設される見込みだ。2月は関東エリアの水戸、つくば、前橋、高崎の4都市のほか、中部エリアの長野、近畿エリアの大津、中国エリアの松江、九州エリアの佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎で基地局が設置される。これにより47都道府県417市区町村でエリア展開されることになるという。

 対応端末については、WiMAXモジュール内蔵パソコンが8メーカー、27機種用意されている。今後、WiMAX内蔵PCを中心にさらに採用が拡大する見込みという。また現在、家電量販電などを中心に36社とMVNO型サービスの契約を結んでいるとのこと。

 田中氏は、加入者数、販売施策について詳細な言及は避けたが、量販店ではシェア1位となっている店舗もあるという。同社は3カ月ごとに加入者数を公表しており、「次に公表される3月末はかなり期待できるのではないか」(田中氏)と語っていた。

 なお、2月の新規契約加入状況について、定額制プラン「UQ Flat」ユーザーが45%、2段階制プラン「UQ Step」のユーザーが55%と説明した。田中氏は今後、「UQ Flat」の割合が増えていくと予想していた。

 このほか、現在の通信業界について語り、通信事業者を上位レイヤーと下位レイヤーに分けて説明した。上位レイヤーとは、ユーザーに直接見える形で事業展開している通信事業者のことで、下位レイヤーはUQが目指す、ネットワークインフラを提供する事業者を指す。田中氏は、現状は上位レイヤーに高い価値があり、下位レイヤーである「土管屋」はネットワークへの投資費用が重いと話したほか、下位レイヤーは回線数よりも通信インフラに流れる通信量、つまりトラフィックが重要と説明した。

 また、3Gのネットワークだけではモバイルインフラがまかなえていないとし、ソフトバンクモバイルのiPhoneを例に挙げて、3Gインフラでさばききれないトラフィックの代替手段として、無線LANが活用されている現状を述べた。担当者は、WiMAXのバックボーンに光ファイバーを採用していることで、3Gのインフラとは比較にならない高速通信が可能としていた。

 UQは2010年、国際ローミングや、レピーターや屋内用基地局を使った屋内インフラの拡充、法人チャネルへの販路拡大、新たな通信技術の試験などを展開していく方針。米ClearwireとロシアのYotaのWiMAX事業者2社と国際ローミング契約を締結しており、今年こうした事業者とのローミングが本格化する見込み。また、インテルのWiMAX/WI-Fi通信モジュールである「WiMAX/WiFi Link 6250」は、国内WiMAXの2.5GHz帯だけでなく、2.3~5.7GHz帯のWiMAXもカバーできるため、海外でも対応パソコンでWiMAXが利用できるという。

 UQでは、システムチューニングを見直すことで、さらなる高速化に向けた試験を実施しているという。現状は下り15Mbps程度の平均スループットが20Mbps程度になる見込みで、現在仙台市内でテストが実施されている。同社では30Mbps程度で安定するようチューニングしていくという。

 技術関連では、現在標準化が進められている「802.16m」についても秋頃を目途に評価装置を披露する予定。802.16mでは20MHz幅、4×4MIMOによって下り理論値300Mbpsが想定されている。


デモンストレーション

 説明会では、担当者らによるデモンストレーションや端末紹介などが行われた。


新テレビCMお馴染みの猫が引き出しの中に入る、つまりWiMAX“入り”PCを訴求するCMというUSBドングルなどは半額キャンペーンが開始された
組込製品内蔵PC、USBドングルより大きなアンテナが使えるため、感度は内蔵PCの方が良いという内蔵PC
WiMAXルーターさまざまな機器と接続できる基地局。携帯電話の基地局も小さい。サムスン製
NEC製基地局。UQの基地局は、光ファイバやイーサーケーブルなど入力インターフェイスを共通化しており、同一ネットワーク上に複数メーカーの基地局を混在できる屋内用基地局分離型レピーター。屋外に面したところに基地局装置となる一方を設置、屋内に引き込み用の装置を設置する
成田エクスプレス車内の掲示板に設置されているレピーター。屋外のWiMAXをつかんで、車内では公衆無線LANを提供している。同じ装置で屋内にWiMAX網も展開できる(現在試験中)小型のレピーター3セクタタイプの基地局アンテナ。120度×3つの指向性アンテナを採用、右側の三角形の装置はGPS
地方での提供を想定したアンテナ(オムニ)、広域360度をカバーするアンテナ方式の説明電波分布
仙台市内での実験実験の模様チューニングしたWiMAXのデモ。下り20Mbps程度を記録していた
RSSIとCINR通信速度との関係次世代WiMAXについて

 



(津田 啓夢)

2010/2/26 16:48