新製品あり、ミニライブありで沸いたソフトバンクオープンDAY


来場者を出迎えた「お父さん」像

 3月28日、ソフトバンクは創業30周年記念として、一般客2,000名を抽選で同社に招待するというイベント「ソフトバンクオープンDAY」を開催した。

 「ソフトバンクオープンDAY」は、Twitterで一般の人から孫社長に対して送られた「孫社長さん! はじめまして。☆提案したい☆ソフトバンク会社見学+おいしい社員食堂DEランチ付ツアー」というメッセージを発端に開催された、異例の一般参加型のイベント。参加者の募集もTwitter上で行われ、1000組2000名の抽選に対し、1万1710組の応募があったという。

スタッフのTシャツには発端となったTwitterメッセージが貼られていたソフトバンク本社のビル外観

 

ソフトバンクの社員食堂でランチを食べる

 「ソフトバンクオープンDAY」ではまず、発端のTwitterメッセージにあったように、参加者に対してソフトバンク本社の社員食堂が開放され、無料でランチを食べられるチケットが渡された。

 ソフトバンクの本社は東京の汐留、いわゆるシオサイトと呼ばれる地域に建つ東京汐留ビルディングにある。今回開放された社員食堂は25階にあり、窓からは浜離宮庭園やレインボーブリッジまでが見渡せる、なかなかの絶景ポイントだ。

食堂から見えるレインボーブリッジ浜離宮はソフトバンク本社のすぐ下にある
社員食堂の風景

 ソフトバンクの社員食堂は、オーソドックスなセルフのカフェテリア形式で、利用者はトレイを持ってカウンターで好きなメニューを受け取り、空いている席で食べる、というスタイルとなっている。メニューは豊富で、和風だけでも魚の焼き物、釜飯、そばうどんなどがあり、和風だけでなく洋風、アジア風、中華風、ラーメンなどがあった。さらに吉野家やCASAなども社員食堂内に出店している。今回は一部を除き基本的に無料での食事提供だったが、通常時はどのメニューも500円程度だという。

洋食などを出すカウンター吉野家などはいつでも食べられるだけあって、本イベントではあまり人気はなかった模様

 基本的にソフトバンクの社員食堂のメニューは日替わりで、たとえば同じ釜飯でも毎日内容が変わるという。「ソフトバンクオープンDAY」でのランチは、唐揚げと豚肉野菜炒め、オムレツにサラダとライス、味噌汁、総菜1皿という内容だった。

SoftBankランチ。1001kcalとこの日のメニューの中でもハイカロリーこの日提供されていたメニューの一部。種類は極めて豊富

 席数はおよそ800程度あるという。今回のイベントには2000名が招待されているが、社員食堂は11時から開放され、来場者が集中することもなかったため、座れないほど混雑する様子は見られなかった。

 社員食堂はかなり広く、デザインもモダンなものに統一されている。席はオーソドックスな4人用のテーブル席や窓際のカウンター席など、さまざまな種類が見られた。また、食堂の一角にはビリヤード台や卓球台なども用意されていた。

座り心地の良いソファが置かれたエリアビリヤード台なども用意され、バーのような雰囲気のエリアもある

 

イベント会場では新規契約の受付も

トークセッション会場

 「ソフトバンクオープンDAY」では、社員食堂の開放だけでなく、ソフトバンク本社近くのイベントスペース「ベルサール汐留」においてイベントステージも開催された。ステージの開始は14時からだったが、それより早くに食事を終えた人たち向けに、ベルサール汐留ではソフトバンクモバイルのiPhoneシニアエヴァンジェリスト 中山五輪男氏によるTwitterのトークセッションなどが行われていた。

 トークセッション会場には物販コーナーも設けられていて、1000円/2000円/5000円均一の特別セールや、iPhone、フォトフレーム、データ端末の新規契約受付、Yahoo! BBの申し込み受付などが行われていた。ソフトバンクモバイルの新規契約に関しては、廃盤となっているノベリティグッズが用意されていた。またYahoo! BBの新規契約には、ソフトバンクホークス選手の直筆サイン入りユニフォームもしくはボールがプレゼントされていた。

端末販売コーナー。Pocket WiFiも扱われていた。契約手続きコーナー。常に誰かが契約手続きをしていた

 

Twitterをテーマとしたステージイベント

 14時からはステージにて「ソフトバンクオープンデイ お楽しみイベント」が開催された。同イベントの詳細な内容は、一般参加者には事前に知らされなかったが、それでも当選者全員分が用意された席はほとんど空きが見られないほどだった。

 イベントステージの会場には、iPhoneからは無手続きで使える無線LAN(Wi-Fi)アクセスポイントが用意されていた。しかし2000人が集うイベントなので、ステージ開始前には通信混雑を防ぐため、動画視聴やUstream中継を行わないように参加者へ要請。実際イベントが始まると、無線LANでもWebページ閲覧が困難になるほど、回線が混雑していた。

会場での注意事項会場に設置されていた無線LANアクセスポイント
ダンテ・カーヴァーとカイくん。前説はほとんど司会のお姉さん任せ

 イベントではまず、「プレオープニングトーク」としてソフトバンクのCMの「お父さん」こと犬のカイくん、そして「お兄さん」ことダンテ・カーヴァーがステージに上がった。ステージの前説に日本語があまり堪能ではないコンビが登場するという状況ではあったが、CMでもお馴染みのコンビだけに、来場者も盛り上がっていた。

 続いてステージにソフトバンクの孫社長が登場して挨拶をすると、孫社長とフリージャーナリスト/コンサルタントの林信行氏、デザイナーのまつゆう*氏、ビデオジャーナリスト/ソーシャルメディアコンサルタントの神田敏晶氏によるTwitterをテーマとしたトークセッションが行われた。トークセッションではこれら各氏に加え、会場に招待された「今回のイベントの発端となったメッセージを孫社長に送ったTwitterユーザー」や「Twitterで孫社長が3番目にフォローした高校生」などの一般Twitterユーザーを交え、Twitterへの思いが語られた。

トークセッション招待客からiPhone型クッキーをもらった孫社長

 

孫社長がTwitter「やりましょう」の成果をアピール

プレゼンをする孫社長。発表会などに比べると「ぶっちゃけ」的な発言が多かった印象を受けた

 トークセッションのあと、孫社長によるプレゼンテーションが行われた。まず孫社長は、Twitterの発言をまとめられるサービス「Togetter」上に編集された、「やりましょう」と「できました」、「検討します」の公式リストを紹介した。

 孫社長は昨年12月にTwitterを開始して以来、今回のイベントのように、一般ユーザーからの要望メッセージを「やりましょう」や「検討します」として取り上げ、そのうちいくつかはソフトバンクとして対応がなされている。

 そうした「やりましょう」の中の新しい展開として、孫社長は「ソフトバンク電波改善宣言」を発表した。

基地局を倍増させるとの宣言

 宣言の1つめとして孫社長は「基地局の倍増」を発表した。孫社長は「ソフトバンクの利用者で、98%のユーザーが自宅でも使えている。ボーダフォン買収時から基地局は倍増させるという公約は達成でき、経営的な効率を考えたところまで基地局を整備できたと思う。しかしTwitterで利用者と繋がることにより、まだまだ不満があることがわかり、お叱りの言葉もいただいた。ソフトバンクの電波がもっと繋がるように、命をかけると宣言する」と語り、2010年度中を目処に基地局数を倍増するという目標を発表した。

 さらに孫社長は「この件については、経営会議でもっとも時間をかけて議論した。基地局倍増には何千億円という費用がかかる。まだ借金もあるが、これから銀行とも話をする。これまでの3年をかけて倍増させてきた基地局を、この1年さらに倍増させる。技術部隊は無茶だと叫んでいるが、僕は命をかける。精一杯誠意を尽くしてやると約束する」と語り、エリア整備へかける強い決意を表明した。

 また、エリア整備への取り組みの一環として、「みなさんにご協力いただきたい。ソフトバンクの電波が繋がらない場所をTwitterでつぶやいて欲しい」として一般ユーザーへの強力も呼びかけた。一般ユーザーが見つけた電波感度が悪い場所の情報を収集し、それを基地局の設計プランに織り込むという。なお、電波が繋がらない場所に関するメッセージは、孫社長のアカウントではなく、専用のアカウントが作成される予定だという。

フェムトセルを電波感度の悪い一般家庭に無料で提供する
フェムトセルのサンプルを手にする孫社長

 続いて孫社長は、電波改善宣言の2つめとして自宅用の小型基地局(フェムトセル)をユーザーに無料提供することを発表した。これは基地局数を倍増させても感度の悪い、残り1%の家庭のために提供されるもの。リピーター(中継局)ではなく、家庭用のブロードバンド回線に接続することで基地局として動作する、いわゆるフェムトセルとなる。ブロードバンド回線を持たない家庭には、フェムトセル専用のADSLサービスも無料提供されることになるという。

 フェムトセル提供サービスの受付は、5月10日より開始されるが、孫社長によると、総務省からの認証手続きなどがあるため、当初は時間がかかるという。また孫社長は、「ただで提供されるものだけど、すでに問題なく繋がっている人はあまり申し込まないでくださいね」との本音も漏らした。

 宣言の3つめとしては、2つめと同様の小型基地局を店舗や企業に対して無料提供することが発表された。こちらもブロードバンド回線がない環境向けには、フェムトセル専用のADSLサービスも無料で提供されるという。孫社長は「企業や店舗、歯医者でも美容院でもどこでも、人が集まるところならOK」と幅広い環境を想定していることを語った。

 宣言の4つめでは、店舗や企業向けには小型基地局だけでなく、Wi-Fiルーターの無料提供を行うことを発表した。こちらもWi-Fi用のADSLサービスを無料で提供するという。

Wi-Fiルーターを店舗などに提供するWi-Fiルーターのサンプルを手にする孫社長
Ustreamのスタジオについて
ソフトバンク本社内、社員食堂の一角に設けられたUSTREAMスタジオ 汐留

 孫社長はこのほかTwitter上の「やりましょう」で実行するものとして、ソフトバンク本社とソフトバンク渋谷、そして渋谷のカラオケレストラン「渋谷シダックスビレッジ」にUstream設備を設置することを発表した。

 そのうちソフトバンク本社の「USTREAMスタジオ 汐留」はイベント当日から運用が開始され、本イベントの生中継などに利用されていた。このスタジオは主にトークショーや発表会、企画イベントの情報発信地になることを目的に開設されたもので、無料で機材・設備を利用できるという。

 ソフトバンク渋谷の「USTREAMスタジオ 渋谷」も同様に無料で貸し出されるもので、こちらは5月10日より運用が開始される。渋谷シダックスビレッジ内の「シダックスUSTREAMルーム」は実験的に開設されるもので、こちらはもっと気軽にUstreamを楽しむための設備になるという。シダックスUSTREAMルームは室料のみで利用が可能で、こちらは6月1日より運用が開始される。

 さらに同日、やはり孫社長の「やりましょう」で実行されたものの関連として、ホワイトプラン向けの「ハートフレンド割引」の提供開始に先駆けたキャンペーンが実施されることも発表された。ハートフレンド割引は障害者向けの割引プランで、6月1日よりiPhoneを含めたホワイトプランでも利用できるようになる。今回の発表では、障害者だけでなく特定疾患の登録者などもハートフレンド割引の対象になるほか、6月30日までにハートフレンド割引を申し込むことにより、7月もしくは8月の請求額から1960円が割引になる。

「HTC Desire」を手にする孫社長

 続いて孫社長は、ソフトバンク初のAndroid端末となる「HTC Desire」を発表した。今回のイベントでは、事前に参加者に詳細な内容が知らされておらず、突然の新製品発表に会場は色めき立った。「HTC Desire」の詳細については別記事にてレポートしているのでそちらも合わせて参照されたい。

 孫社長は「HTC Desire」の競合製品と見られるNTTドコモの「Xperia」と比較しつつ、OSのバージョンなど「HTC Desire」の優れている点を紹介する。また、「iPhoneの方が優れている点はあるが、どちらが良いというわけではなく、どちらも素晴らしい」とも語った。

 

Twitter界の著名人、ハマコーと広瀬香美も登場

ハマコーこと浜田幸一氏

 孫社長のプレゼンテーションのあとには、Twitter上でさまざまな名言をつぶやくことで人気を博している元政治家(現在は政治活動家と称する)のハマコーこと浜田幸一氏が登場し、孫社長とのトークセッションが行われることに。

 しかし浜田氏はステージに登場するなり杖を振りかざし、「ついったーっ!」というかけ声とともに来場者を威嚇。Twitterでのつぶやき同様、自由奔放な浜田氏の振る舞いに、会場は大いに盛り上がった。一方で浜田氏は、孫社長には「約束したことは必ず守れ」などと熱い口調で語っていた。また、かねてからiPhoneに興味があったという浜田氏のために、ステージ上で契約手続きが行われ、その場でiPhoneが手渡された。

会場を威嚇するハマコー氏。ノリノリな81歳であるお土産の代わりに歌うハマコー氏
ハマコー氏のiPhoneの手続きをする女性は、実はSMAPのCMにも出演しているスタッフだiPhoneを手にしたハマコー氏

 浜田氏とのトークセッションのあと、孫社長は袴に衣装を替え、歴史好きのアイドル“歴ドル”の美甘子らとともに坂本龍馬をテーマにしたトークセッションを行った。さらに来場者へのプレゼントの抽選会も行われた。

坂本龍馬トークセッション。なぜかダンテ・カーヴァーも袴姿さまざまなプレゼントが用意されたが、来場者が多いだけに本数も多かった
広瀬香美氏
ミニライブを行う広瀬氏

 ステージイベントの最後には、シンガーソングライターの広瀬香美が登場し、ピアノの弾き語りによるミニライブが催された。

 広瀬はTwitter上でのつぶやき以外にも、TwitterやiPhoneをテーマにした楽曲を公開して話題になっている。ライブなどでもTwitterを活用するなど、Twitterを使いこなすアーティストとしても知られている。また、iPhoneのユーザーでもあり、ミニライブのMCでは「iPhoneは芸術作品だと思う。身体の一部にしたいくらい」とiPhoneを楽しんでいることを語った。

 ミニライブではまずiPhoneをテーマにした「愛ぽんちゃんの歌」を披露した。演奏中、広瀬は「孫さんも歌って!」と孫社長に声をかけ、関係者席にいた孫社長はそれに答えてステージに上がってデュエットを行うという粋な展開も見られた。さらに自身のヒット曲から「真冬の帰り道」と「ロマンスの神様」も披露し会場を魅了した。

自らのピアノの伴奏だけで歌う広瀬氏ミニライブの模様
孫社長とのデュエット。「愛ぽんちゃんの歌」はソフトバンクや孫社長への応援歌でもあったりするステージ最後の挨拶。やはりハマコー氏はフリーダムである


(白根 雅彦)

2010/3/29 12:27