KDDI、「セカイカメラ」の頓智・とAR事業で連携


頓智・の井口氏

 KDDIおよび頓智・(トンチドット)は、auのAndroid搭載スマートフォンと、au携帯電話におけるAR(拡張現実)技術を用いたサービスについて、共同事業化の検討に向けて連携することで合意したと発表した。

 KDDIは、Androidを搭載したスマートブック「IS01」において、位置情報を利用したアプリ「セカイカメラ」のAndroid 版を提供する。また、au携帯電話向けには2010年6月上旬より、セカイカメラの機能が利用できるアプリ「セカイカメラZOOM」がトライアル提供される。

Android版「セカイカメラ」

 「IS01」にプリセットされるセカイカメラは、カメラを通してディスプレイに表示される現実空間に、「エアタグ」と呼ばれる位置情報と連携したコンテンツが表示され、いわゆる「AR」や「拡張現実」などと呼ばれるものの雰囲気が楽しめる。また、エアタグとともに、写真が撮影できる新機能「Air Shot」や、auオリジナルデザインのエアタグが用意される。

 Air Shotは、ディスプレイに表示された実空間の周りにあるエアタグとともに静止画が撮影できるというもの。たとえば人物を表示して周辺にあるエアタグを吹き出しのように使える。周辺にあるエアタグはドラッグ&ドロップで人物の近くなどに配置できるため、エアタグで顔を隠して撮影し、その画像をブログに公開するといった利用方法が可能になる。

 なお、頓智・側の説明員によれば、Air Shotは今後iPhone版などにも提供していく予定とのこと。

 auオリジナルデザインのエアタグは、マカロンやワッフルといったお菓子や、キラキラしたフレームなど女性向けを意識したデザインとなっている。頓智・のCEOである井口尊仁氏は、タッチ&トライの会場において、今後、エアタグをカスタマイズ提供していくことなどを語った。

 このほかIS01では、セカイカメラのウィジェットなども用意される。エアタグが多い地点にいると、緑色のメーターで満たされていく。常時起動しておくことでセカイカメラを起動することなく、周辺のエアタグが参照できる。


ワッフルやキラキラしたauオリジナルフレーム。iPhone版「セカイカメラ」でも表示されるメッセージを添えてマカロンのエアタグを投稿
Air Shot機能。エアタグで説明員の顔を隠して撮影。画像はデータフォルダに保存されるウィジェット。付近にエアタグがたくさんあると、右側の透明な吹き出しに緑色の液体が貯まっていく

携帯向け「セカイカメラZOOM」

 「セカイカメラZOOM」は、au携帯電話をかざした方向に存在するエアタグを、カメラ映像や擬似的な地平線上に付加して閲覧するアプリ。配信期間は6月上旬~11月末のトライアル提供となり、au one ラボで提供される。利用料は無料。

 KDDIとKDDI研究所は、位置情報を使った研究開発として共同で「実空間透視ケータイ」を展開している。今回の「セカイカメラZOOM」は、この「実空間透視ケータイ」とセカイカメラの連携によるもの。

 利用できる端末はBREW4.0に対応し、アプリの動作検証が確認できたau携帯電話。6軸センサーを搭載したカシオ製機種などは携帯電話かざしている方角を自動認識して、特定の方向にあるエアタグを表示する。6軸センサー非搭載のモデルでは、左右の方向キーを使って携帯電話をかざしている方向を操作してエアタグを表示する。

 実空間透視ケータイの機能として、一定方向にあるエアタグを現在地からの距離で表示する透視モードなどが用意されている。


セカイカメラZOOM透視モードは従来の実空間透視ケータイのインターフェイス
フォートラベルなどのデータと連携。実空間透視ケータイで展開していたもの

水面下で繋がっていたKDDIと頓智・の協力関係

 KDDIと頓智・では、au携帯電話におけるARサービスの事業化を検討するとしている。

 なお、両社の連携については、水面下で長い間進められてきたという(説明員)。開発者同士が相互に関係を深めていたとのことで、セカイカメラも実空間透視ケータイも、エアタグに関する情報の持ち方は共通化されている。こうしたデータベースの持ち方が共通化されているため、auオリジナルタグがiPhone版セカイカメラでも表示可能であるなどプラットフォームにとらわれずにエアタグが楽しめるという。

 KDDIでは、トライアル期間中にエアタグへのアクセス数などをカウントし、デジタルコンテンツへの誘導広告などへの展開を図りたい考えだ。

 



(津田 啓夢)

2010/3/30 11:00