CIAJ、総務省のSIMロック解除に意見「慎重な対処を」


 端末メーカーや通信インフラメーカーなど、ICT関連企業で構成される情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、SIMロック解除について、行政主導の取り組みは避け、慎重な対処を求める意見表明を行った。

 CIAJは、総務省が4月2日に実施した携帯電話端末のSIMロックに関する公開ヒアリングにおいて、産業界を代表して意見を表明。7日、その趣旨をCIAJのWebサイト上に公開した。

 協会では、現時点でSIMロックが解除されても通話とSMSに利用が限られ、そうした端末をユーザーの大半は望んでいないとする。ユーザーが望むものは、メールやiモードなどのWebサービスが利用できる端末で、そうした事業者提供のサービスを手軽かつ安価に利用することを求めるユーザーが大半だとした。

 また、SIMロックを解除して音声通話とSMSのみを他の通信事業者でも利用できる端末にするためには、ソフトウェアの見直しや改良を伴い、開発コストが増大するとしている。このため、端末価格が上昇など、ユーザーにとってむしろデメリットの方が大きいとの見解を示している。

 このほか、「国内端末のSIMロック強制解除に伴う後ろ向きで大きな変更に開発リソースを充てることで、新端末の企画・開発をストップさせたくない」「メーカーは本来、マーケティング分析と製品戦略に基づいてユーザーに新しい付加価値を提供することが使命。ユーザーのデメリットになるものにリソースをかけては事業が衰退する」「メーカーは国内端末に加え、iPhoneやオープン端末など多様化しつつあるユーザーニーズに応えるのが使命。世界市場へ展開できる商品づくりに注力したい」といった意見を表明している。

 CIAJでは、メーカーが今後事業展開していく上で、SIMロックの解除は大きな影響を及ぼすとしている。仮に解除される場合も、技術・保守運用・開発戦略・販売などに課題があるとし、総務省のガイドライン策定に向けて産業界の意見を取りまとめ、対応していく方針だ。

 



(津田 啓夢)

2010/4/8 15:55