NECカシオ、2010年夏の新端末説明会を開催


 NECカシオモバイルコミュニケーションズは、携帯電話の2010年夏モデルについて、説明会を開催した。これまでNECが開催してきた新端末の説明会に、カシオ日立モバイルコミュニケーションズが合流した形で、6月1日の統合を前に、合同で説明会を実施した。また、一足先に営業を開始し、統合の受け皿となるNECカシオモバイルコミュニケーションズの今後の戦略についても語られた。


 NECカシオモバイルコミュニケーションズ 代表取締役執行役員社長の山崎耕司氏は、NEC、カシオ、日立の携帯電話部門が統合してできる新会社としての同社のメッセージについて、「柔軟性のある想像力」「革新的な創造力」「人間性豊かなコミュニケーション社会」と、大きく3つのキーワードを「新しい会社の大きな思いだ」と表す。

 その事業戦略については、NEC、カシオ、日立といった、すでに確立しているブランドについて、「それぞれが得意な領域を徹底的に活かす。いかに活かすかが鍵で、強みにもなる」と説明。「カシオの電子辞書、日立の家電、NECのクラウドなどといったように、幅広い技術を使える携帯電話メーカーになる」と、例を挙げながら新会社の強みをアピールした。また、クラウド技術については「パーソナルクラウドの時代で、スマートフォンなどがいかにクラウドと連携するのかが鍵で、この会社を強くすることになるだろう」とし、クラウド戦略についても積極的に取り組んでいく姿勢を示している。

 山崎氏は「いままでの事業をコツコツとやっていても、広がっていかない。新しい領域を攻めていかないと、生きていけない。成長も無い」と語り、北米のほか、インド市場なども視野に入れ、グローバルな展開を行っていく姿勢を示した。一方、中期目標についてはすでに発表した数字から変更は無いとして、2012年に出荷台数1200万台超といった目標を「確実に遂行していきたい」とした。

 山崎氏からは、さらに先の目標が「私としての思い」と注釈を付けた上で明らかにされた。同氏は、「2年以内に、びっくりするような商品を出したい」と端末の新規性を追求した展開にも言及したほか、3年以内に国内シェア1位、4年以内に2000万台出荷、8年以内に5000万台出荷、さらにその先には1億台の出荷が目標とし、「目線をここに置いておくということ」と貪欲に事業拡大を追求していく姿勢を示した。

現在の事業を拡大していく中期目標は1200万台超
 組織図
最終目標は出荷1億台としたNECカシオモバイルコミュニケーションズの幹部
NECカシオモバイルコミュニケーションズの幹部。左から、山品常務、小島常務、大石取締役(6月1日~)、山崎社長、紫野常務、田村常務

 

 海外市場の攻め方にについて問われた山崎氏は、「カシオ日立はユニークな商品を持っており、それが北米にマッチした。カシオ日立の耐衝撃などといったものは、普遍的なバリューになると考えており、短期的でなく、生かしていく」と答え、北米市場の足がかりとなるタフネスモデルを軸に広げていく方針を明らかにした。しかし一方で、上位5社程度でほとんどを占める世界市場のシェア争いは「簡単だとは思っていない」との認識で、「地域、使い方に応じて、ユニークな商品を出していく。なんでも出せるわけではない。どう地域に合わせてマッチングしていくか、機種数ではない。楽な道ではない」と語り、厳しい競争の中でも特徴的な端末で市場を攻めていく方針を示した。

 搭載端末が増えつつあるAndroid端末の展開については、NECカシオモバイルコミュニケーションズ 執行役員常務の山品正勝氏が「単なる薄い、軽いだけではない、プラスの付加価値が付いたものを考えている。年度内に出せると思う」と言及し、詳細は明らかにされなかったものの、端末を開発中であることが明らかにされた。

 

ケータイを「Lifeware」へ

 NECカシオの端末ラインナップについては、執行役員常務の山品正勝氏から方針が説明された。同氏は「ケータイをLifewareへ」とするブランドの大きなビジョンを掲げ、カスタマイズや個性にマッチする「パーソナライズ」、情報の収集・発信手段に幅広く対応する「コミュニケーション」の2つを具体的なキーワードとした。

 具体的には、最先端のトレンドとなる技術や、ファッション性の高さ、長く付きあえる使いやすさの3つの方向性を示し、2010年夏モデルで実現した機能や項目をこれらに当てはめながら説明。2010年の夏モデルではパーソナライズを重視して開発したことも明らかにした。

 このほか、取締役執行役員常務の小島 立氏からは、NTTドコモ向けの「N-04B」「N-05B」「N-06B」「N-07B」「N-08B」、ソフトバンクモバイル向けの「840N」「841N」について、それぞれ特徴が解説された。

 NECカシオ 商品戦略部 チーフクリエイティブディレクターの佐藤敏明氏からは、Nブランドの端末について、デザインテーマに関する説明が行われた。従来より掲げてきた「ユニバーサル」「イノベーション」に加えて、2010年夏モデルでは「コンフォータブル」を加えており、ひとりひとりの「快適さ」「心地良さ」といったものをテーマ化。具体的な9つのキーワードとともに、各端末の位置づけを解説した。

 また、カシオ日立モバイルコミュケーションズ 代表取締役社長の大石健樹氏からは、KDDI向けの「EXILIMケータイ CA005」「beskey」について説明が行われ、「これからもカシオ日立の良さを生かして、新会社に貢献したい」と意気込みが語られた。

NECカシオモバイルコミュニケーションズ 執行役員常務の山品正勝氏「ケータイをLifewaerへ」として、進化の方向と今夏の端末を示した
2010年夏モデルのテーマ
デザインテーマとNブランドの各端末の位置
Nブランドの2010年夏モデルカシオ、日立の2010年夏モデル

 

玉木宏が登場、新CMをお披露目

 第2部として、説明会の後半には俳優の玉木宏が登場。「N-04B」の新CMや、新機能の特徴をアピールした。

 玉木宏は、「N-04B」などで搭載している0.6秒起動のカメラについて、突然ステージに現れたダンサーを素早く撮影してみせ、「瞬撮できて、連写できるのもいい」とコメント。また、ハイビジョンムービーを撮影できる機能についても感心している様子だった。

 このほかのモデルについても、過去にamadanaモデルとして発売された「N-04A」は発売日に購入したとのことで、今回の「N-07B」も「機能が充実して、どれも選び難い」と悩んでいる様子を見せていた。

新CMにも出演する玉木宏突然登場したダンサーに対しても、瞬撮・連写機能で撮影に成功
N-04Bは電話をかけている時の見た目も重視されデザインされている衣装はCM中と同じもので登場した

 

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(太田 亮三)

2010/5/25 18:23