Googleプレスイベント、Google TVとスマートフォンの連携デモ


 Googleは、6月8日、「The Science of Search」(検索の科学)と題するプレスイベントを開催した。この中でAndroidを基盤としたテレビ向けプラットフォーム「Google TV」のデモなどが披露された。

 「Google TV」は、5月に米国で開催された開発者イベント「Google I/O」にて明らかにされたテレビ向けプラットフォーム。テレビ放送とWebサービスの境界を無くし、たとえば、テレビを使ってWeb検索すると、有料番組や関連Webサイト、YouTubeの動画などが横断的に検索できる。Androidを基盤に採用し、Webブラウザ「Chrome」などが搭載されている。

 AdobeやBestBuy、DISH Network、Intel、ソニーなどが支持を表明しており、ソニーは米国において「Google TV」対応テレビを投入する予定。Logitechは、セットトップボックスを提供する予定で、非対応のテレビでも「Google TV」が利用できるようになるという。

 今回のデモは現在開発中ということもあって、撮影が制限された。インターフェイスはスマートフォン版のAndroidを踏襲したものだったが、サービス開始には専用のインターフェイスが用意される予定。Flashをサポートしており、デモではFlash版のパックマンなどのゲームが紹介された。

 モバイル関連では、Androidアプリを利用したスマートフォンとの連携機能などが披露された。帰宅途中にスマートフォンで閲覧していたWebサイトを、自宅到着後にテレビ側で表示させる機能や、スマートフォン側で音声検索した結果をテレビ側に表示させる機能が紹介された。担当者はスマートフォンよりも大きな画面で快適に閲覧できるなどと語っていた。

モバイル版Google


井上陸氏Yu-Kuan Lin氏

 アジア太平洋地域のメディアが東京に介したイベントは、Googleらしいグローバル性を強く感じるものだった。会場では日本語よりも英語や中国語、韓国語などが飛び交っており、タイやバングラディッシュ、台湾からの報道関係者の姿も見られた。

 午後のセッションでは、「Mobile Search Roundtable」と題して、携帯電話向けの検索サービスについてプレゼンテーションが行われた。

 Googleの東京オフィスのプロダクトマネージャーである井上陸氏は、この2年間でモバイル版Googleのトラフィックは5倍に伸びていると語った。こうした中でGoogleではどのようなモバイル機器でも対応できる検索プラットフォーム作りを心がけているという。

 井上氏は、モバイルのGoogle検索機能のうち、デスクトップ版と検索履歴が統合されていることや、Googleサジェスト機能に対応していることを紹介した。Googleサジェスト機能とは、たとえば「あ」と入力すればAmazon.co.jp、「か」と入力すれば価格.comといったように検索候補を表示する機能のこと。小さなキーボードやソフトウェアキーボードを採用するモバイル機器などでは、キー入力に慣れないユーザーも多く、こうした機能が効果的であるとした。

 井上氏は位置情報を使ったサービスも紹介した。Google検索では、位置情報の登録を許可しておくことで、検索時に現在地を中心に検索結果が表示される。セッションでは、会場から「pizza」と検索して、付近のピザ屋の検索や評判を調べるデモが行われた。

 台北オフィスのプロダクトマネージャーであるYu-Kuan Lin氏は、一般的な携帯電話とスマートフォンのユーザーでは、検索数が大きく違うと話し、スマートフォンユーザーは一般携帯電話の15倍検索すると話した。スマートフォンユーザー1人と、一般携帯ユーザー750人分のGoogle検索数が等しいと述べ、「驚くべきことだ」とした。

 同氏は、まず、数週間後に音声検索にマンダリン語(北京語)が追加されると語り、デモを披露した。また、日本に訪れた海外からの旅行者という設定で、スクリーンに映し出された厳島神社の鳥居をスマートフォンで撮影し、画像検索してその鳥居が何であるか調べた。これは「Google Goggles」というアプリを利用したもので、Lin氏は「視覚で検索できるようになる」とアピールした。

 また、「Google I/O」で発表された「Chrome to Phone」と呼ばれる拡張機能も紹介した。パソコンのChromeブラウザで閲覧していた内容をワンボタンでスマートフォンに送るというもので、Google Mapsで検索した内容をスマートフォンに送ったり、YouTubeで観ていた動画をスマートフォンに送ったりといったデモが披露された。同氏は、「モバイルは五感の延長にある。デスクトップとモバイルのシームレスなインテグレーションによって検索はさらに拡大する」とした。



リアルタイム翻訳機能について

Alan Eustace氏

 このほか、午前中の基調講演には、Googleの開発調査部門の上級副社長であるAlan Eustace氏が登壇した。同氏は、Googleが進めてきた世界中の情報をい集め、それを世界中に広げていくという検索の歴史を説明した。

 この中で同氏は、音声検索機能について、「まもなく、私とあなたの間に携帯電話を置いて、言語が自動的に英語に変換されるという世界がやってくる。5年以内に提供する」などと語った。Eustace氏はリアルタイム翻訳システム「Universal Communicator」の提供時期についてコメントできないとしたが、「すでにもっとも大きな問題は解決している。かなり早い段階でデモ品質のものが見られるようになると思う」と語った。

 また、Googleのフェローである検索の研究者 Amit Singhal氏も、「機械翻訳は難しいが、検索技術と組み合わせることでクロスランゲージ市場を構築していきたい」と話した。

Amit Singhal氏Google初期のDB

 

(津田 啓夢)

2010/6/8 18:45