イー・アクセス第1四半期決算発表、DC-HSPAは10月開始


イー・アクセス 代表取締役社長のエリック・ガン氏

 イー・アクセスは、2010年度第1四半期(4~6月)の連結業績決算を発表した。売上高は前年同期比10.7%減の191億1700万円、営業利益は9.1%減の44億8500万円、経常利益は124.1%増の40億7600万円、当期純利益は440.1%増の24億9300万円となった。EBITDAは8.6%減の62億5800万円、設備投資額は24.9%減の7億7500万円となっている。

 持分法適用関連会社となっているイー・モバイル単体の業績は、売上高は349億円、営業利益は23億2100万円、経常損失は9900万円、当期純損失は2億1900万円となっている。EBITDAは90億7000万円、設備投資額は82億1100万円となっている。

 イー・アクセスは7月1日にイー・モバイルを完全子会社化し経営統合を実施している。このため、イー・モバイルの業績は第2四半期からイー・アクセスの連結業績に反映される。

【お詫びと訂正 2010/08/04 21:53】
 初出時、イー・アクセス連結業績決算の、経常利益、当期純利益、EBITDA、設備投資額の数字が誤っておりました。お詫びして訂正いたします。

 

最大42MbpsのDC-HSPAは10月開始

業績のハイライト第1四半期連結業績決算の概要

 4日に開催された決算説明会では、イー・アクセス 代表取締役社長のエリック・ガン氏が説明を行った。ガン氏はハイライトとして、連結の当期純利益が前年同期比5倍以上に増加したことや、イー・モバイルの売上高が48.6%増加したこと、モバイルブロードバンドの市場で大きなシェアを獲得している点などを挙げる。また、7月6日にデモンストレーションを披露した、下り最大42MbpsのDC-HSPA方式を利用するデータ通信サービスについて、10月にサービスを開始する予定であることを明らかにした。

 

イー・モバイルの業績を連結した“試算”を公表

 ガン氏は、イー・モバイルの完全子会社化が7月1日付けのため、イー・モバイルの業績は第2四半期から連結業績に反映されるとした上で、イー・アクセスの第1四半期の決算内容にイー・モバイルの業績を加えた“試算”を公表。前年同期についても同様に試算としてイー・モバイルの業績が連結されたものを用意し、第1四半期の実際の数字を用いてイー・モバイル統合による業績イメージを提示してみせた。

 試算によれば、第1四半期の売上高は前年同期比22.6%増の490億1000万円、営業利益は2886.8%増の68億1000万円、経常利益は39億1000万円、当期純利益は21億3000万円となる。EBITDAは101.3%増の152億8000万円、設備投資額は56.3%増の87億5000万円。フリーキャッシュフローは227.8%増の65億3000万円。

 同氏はこれらの試算をもとに、売上高やEBITDA、連結営業利益など、統合後の成長性をアピールした。

7月1日付けでイー・モバイルはイー・アクセスの完全子会社になり、経営統合が行われたイー・モバイルの業績を連結した“試算”。第2四半期以降はこの業績イメージが実現されることになる

 

モバイル・ブロードバンドでシェア1位とアピール

 オペレーションの状況では、高速な通信方式をいちはやく導入してきた実績を挙げ、DC-HSPA方式を利用するサービスを10月に開始する予定とした。また、NTTドコモなどが先行して導入する予定のLTEの速度と比較し、「HSPAとLTEはまったく変わらない」とするとともに、MIMO技術の発展により、「来年から再来年には80Mbpsのサービスも出せるのではないか」とさらなるサービスの拡張にも言及した。

 エリアでは、屋外として人口カバー率が91.5%、地下鉄は97.2%に達していることを示し、「地下鉄は時間がかかり、地下街を含めて他社と差別化できるだろう」とした。

 料金面では、他社と比較して安価に利用できる点を示し、PocketWiFiなどのヒットモデルを紹介。「一番最初はノートパソコンのユーザーだけがターゲットだった。モバイルブロードバンドの市場はノートパソコンしかないと言われていたが、PocketWiFiがヒット、Wi-Fi搭載製品は増えており、さらに市場は拡大するだろう」との見方を示すとともに、累計加入者数が250万件を突破したことや、95%がデータ通信サービスのユーザーであることを紹介。データ通信端末における契約者数のシェアが65.2%、純増数のシェアは49%でいずれも1位であるとした。

 イー・モバイルの指標ではこのほか、ARPUが3400円、月次解約率が1.37%、一人当たりの獲得費用が2万5000円となっている。通期の業績予想はARPUが約3300円、解約率が約1.4%。

 ガン氏は2年契約の期間が終わるユーザーが今後増加することを受け、リテンションプログラムとして新料金プランや安価なアウトレット端末の提供、ダイレクトメールの送付などの施策を予定しているとし、顧客満足度向上のための施策を行っていくとした。販売チャネルでは、法人向けの直販部隊を強化する方針も示されている。また、5月より開始している「新世代Wi-Fiキャンペーン」などを通じて「従量制の料金プランよりも定額制の料金プランをメインにしていきたい」とし、ARPUの向上を図っていくとした。

HSPAとLTEの速度は同等としたエリアのカバー率は、地下エリアで先行しているという
モバイル・ブロードバンド市場でシェア1位ARPU、解約率などの指標

 



(太田 亮三)

2010/8/4 20:02