日本通信、SIMフリー版「iPhone 4」対応のmicroSIMカード


左がmicroSIMカード

 日本通信は、アップルのSIMロックフリー版「iPhone 4」向けのmicroSIMカード「talking b-microSIM プラチナサービス」を発表した。NTTドコモのFOMAの通信インフラを利用してiPhone 4が利用できる。

 「talking b-microSIM プラチナサービス」は、どの事業者でも利用できるように「SIMロック」がかけられていない「iPhone 4」に装着して、利用できるmicroSIMカード。iPhone 4専用のmicroSIMカードとなり、基本的にほかの製品には対応していない。なお、ソフトバンクモバイルが取り扱う「iPhone 4」は、SIMロックが施されている。

 通信帯域は800MHz帯および2GHz帯に対応し、iPhone 4を通信モデムとして利用してパソコンなどで通信できる「テザリング」(最大300kbps超)もサポートする。日本通信では従来、データ通信サービスの主な用途をメールやWebとし、平均の通信速度を最大300kbps超とアナウンスしてきた。今回の「talking b-microSIM プラチナサービス」では、300kbps以上の通信が可能で、UstreamやYouTube、地図サービス、App Storeからのアプリダウンロードなども快適に行えるとしている。

 ただし、通信速度については目安を含め非公表とする方針。「talking b-microSIM プラチナサービス」では、iPhone 4を快適に利用できる通信環境を用意するため、主要なアプリについて快適に使える通信速度や応答速度などを調査し、アプリ毎に最適な通信速度が割り当てられている。こうした製品の特徴のために、iPhone 4専用のmicroSIMカードとなっている。

 日本通信では、動画や地図サービスなど帯域速度が必要なアプリのテストを行い、2Mbps、1Mbps、500kbpsなどと段階的に通信速度を切り替えて、iPhone 4で処理できる最適なパフォーマンスを調査しているという。過度に帯域速度を上げても端末側が処理できず、無駄に帯域を消費することに繋がる。「talking b-microSIM プラチナサービス」がiPhone 4専用となっているのはこうしたためという。

テザリング

 なお、テザリング機能については同社が4月より提供している「b-mobileSIM U300」の仕様と同等で、300kbps超。iPhone 4をテザリング機能を利用して通信モデムとした場合、端末とパソコンなどとの間はBluetoothやUSBで接続する。

 このほか、通信を大量に使うユーザーに対しては、通信の帯域制限も実施する。発表時点では帯域制限の条件について明言されなかったが、Webサイトで公表していく予定。発表会では、NTTドコモは過去3日間の通信量が300万パケット、ソフトバンクモバイルが1カ月あたり1000万パケットと、各社の制限がかかる条件が紹介され、他の携帯電話事業者と同等の制限が設けられるとした。

料金

 利用料は、定額データ通信サービスとして月額5280円、通話サービスの基本料金が月額980円(1050円分の無料通信分含む)のセットで月額6260円。通話料金は30秒毎に21円かかる。いわゆる「2年縛り」などと呼ばれる、年間契約等の条件は設定されていないが、長期契約割引なども用意されない。

 microSIMカードは8月26日より順次販売される予定。8月6日より受け付けていた「優先リザーブメール」の登録者より順次提供され、9月初旬から中旬頃にかけて一般販売およびパッケージ販売も実施される見込み。当初はWebサイトのみが販路となる。サービス開始当初はクレジットカード決済のみ対応する。



b-microSIM U300

 同社では、iPhone 4をデータ通信専用で利用するための「b-microSIM U300」もあわせて発表された。こちらは1カ月版が2980円、6カ月版が1万4900円、1年版が2万9800円。仕様はSIMカード版となる「b-mobileSIM U300」と同等となるため、プレミアムサービスの通信速度は得られるものではない。

talking b-microSIMでiPhone 4を思い切り快適に

三田氏
福田氏

 日本通信の代表取締役社長CEOの三田聖二氏は、携帯電話の販売方法について、現在の主流はキャリアを選んでから端末を選ぶモデルだが、新しいモデルではユーザーがまず端末を選び、それから通信事業者を選ぶと説明した。同氏は、こうした新たな販売モデルが「消費者の立場から見てフェアなやり方ではないか」と語った。

 また、国内で流通するiPhone 4は、SIMロックがかけられており、通信についてはソフトバンクモバイル網のみに対応している。この状況に三田氏は、「アップルは世界に対応する製品を提供しており、ユーザーは自由を欲しがっている」と述べ、今回のiPhone 4向けmicroSIMカードの提供を契機として、「メーカーは通信会社の下請けではなく、メーカー独自の名前で、自社の販売網で製品を提供できる」と話した。

 さらに、代表取締役専務COOの福田尚久氏は、iPhone 4がNTTドコモの通信網で利用できる点について、「世界でもっとも素晴らしいネットワークで使うとこんなに快適。是非体験して欲しい」と通信品質の高さをアピールした。同氏は、3G網だけで7兆円を投資しているドコモの通信網は「世界でもベストなインフラ」などとした。同氏はこのほか、800MHz帯も利用できるため、より広範なエリアもカバー可能とし、プラチナサービスではさらにYouTubeやUstream、radikoなども利用できると説明した。

 なお、SIMロックフリー版のiPhone 4の販売については、日本通信は直接関わらない予定。ただし、さまざまな事業者から輸入に関する問い合わせが入っている状況で、今後購入しやすい環境が提供される見込みであるとした。三田氏は「両手で数えられないぐらい業者から問い合わせがある」としていた。

 端末のサポートについては、SIMロックフリー版のiPhone 4についてもアップル側が対応する。ただし、アップル販売拠点では現時点でSIMロックフリー版のiPhone 4は販売されていない。アップル側はSIMロックフリー版のiPhone 4の販売について、将来に関することにはコメントできないと話している。福田氏は、メーカーの立場として(同氏はアップル出身)話し「1社(ソフトバンクモバイル)だけで売っていればあるところで飽和する。iPadについては日本以外はSIMロックフリーであり、そういった流れになっていくのではないか」と語った。

 このほか、Androidなどそのほかのスマートフォンへの対応については、汎用的に利用できるmicroSImカードの提供が難しいコメントとした。これは、端末毎のパフォーマンスに合わせて、アプリと通信速度の関係を最適化しているためで、Android端末でも例えばXperia専用といったように特定の端末向けであれば提供できるという。


 



(津田 啓夢)

2010/8/23 14:08