MM総研、国内スマートフォン市場の市場予測レポート


 MM総研は、「国内携帯電話およびスマートフォンの市場規模予測」をまとめて公開した。2010年度の携帯電話販売数は3635万台となる見込み。

 2009年度の販売台数は前年比6.3%減の3545万台。MM総研では、2010年度は前年比2.5%増の3635万台とわずかに回復するとした。端末需要はその後、2015年まで3600~3700万台で推移すると予測されている。

 また、新販売方式の導入が呼び水となり携帯電話の買い換えサイクルが長期化している状況を指摘。サイクルは2007年度が2.11年、2008年度が2.96年、2009年度が3.15年と年を追う毎に長期化しているデータを示し、今後はそれも緩やかになり、2010年度が3.12年、2015年が3.33年と落ち着きを取り戻すとされた。

 こうした携帯電話の市場動向の中にあって、スマートフォンの販売数は好調に推移した。販売台数はiPhoneに支えられ2009年度は217万台、2010年度は前年比77.9%増の386万台になる見通しが示された。

 MM総研では、携帯電話メールやおサイフケータイ、ワンセグなど、いわゆる一般的な携帯電話の機能がスマートフォンに盛り込まれていくことで、今後さらに普及が加速すると予測。2010年度以降のスマートフォン市場は、2011年度が660万台、2012年度が1050万台、2013年度が1539万台、2014年度が1840万台、2015年度が2030万台になるとした。

 なお、携帯電話販売数に占めるスマートフォンの販売台数も拡大し、2015年には全体の54.6%になる見通し。スマートフォンの契約数は2015年度に4760万件に達するという。

スマートフォンに関するアンケート結果

 MM総研では、スマートフォンに関するアンケートの調査結果も公表した。アンケートはWeb(クロス・マーティングのWebモニター)を使ったもの。アンケート期間は6月15日~19日で、携帯電話およびスマートフォンの利用状況については2万2464人、今後に利用意向については3000人から回答得た。回答者はいずれも15才以上の男女となる。

 スマートフォンの認知度は、「なんとなく知っている」が39.3%、「概ね理解している」が28.2%、「言葉を見たり・聞いたりした程度」が25.4%、「知らない・よくわからない」が7.1%となった。

 スマートフォンの利用状況については、現在利用しているユーザーが1336人(5.9%)となり、このうち個人名義のスマートフォン利用者は1260人だった。利用機種は iPhone 3GSが503人、iPhone 3Gが260人、Xperiaが124人となった。

 調査では、スマートフォンを利用していないユーザー(2843人)に対して、今後のスマートフォンの利用意向を訊いた。その結果、「購入したくない」が35.8%、「わからない」が34.3%、「購入を検討したい」が22.8%、「購入したい」が7.1%となった。

 また、スマートフォンを“2台目”ではなく、メイン端末として利用する際に必要な機能については、携帯メール(46.2%)、携帯サイト閲覧機能(33.5%)、防水機能(33.5%)、ワンセグ(31.8%)、1200万画素以上のカメラ(29.4%)、赤外線通信(28.7%)、おサイフケータイ(23.8%)となった。

 MM総研では、スマートフォンの普及は海外メーカーにとっても参入しやすい環境になるとし、日本独自の機能の追加が日本メーカーの差別化のポイントになるとコメントしている。その一方で、こうした日本向け機能の追加が、「国内のスマートフォン市場をガラパゴス化する要因になりかねない」と指摘している。

 アンケートではこのほか、SIMロック解除の利用意向についても調査された。この設問では、SIMロックが解除された場合にサービスに制限があることを説明し、説明前と後で回答の変化が示された。その結果、説明前は「その他・わからない」が37.1%、「利用を検討したい」が29.6%、「利用したくない」が19.4%、「利用したい」が13.9%となった。説明後は、「利用したくない」が49.1%と大きくなり、以下、「利用を検討したい」(15.8%)、「利用したい」(5.8%)が続いた。

 また、制限があることを前提に、月額利用料が500円安くなると仮定した場合の結果も示され、「利用したくない」が48%、「わからない」が27.6%、「利用を検討したい」が18.3%、「利用したい」が6%となった。MM総研では、SIMロック解除後にサービスが制限される状況では、携帯電話市場に与えるインパクトはわずかであるとしている。

 

(津田 啓夢)

2010/8/31 18:48