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“位置ゲー”を実地体験、eビジネス推進連合会がバスツアー


位置ゲー体験バスツアー出発前の様子

 eビジネス推進連合会は2日、携帯電話のGPS機能などを利用した“位置情報ゲーム”の実地体験型勉強会「探検!発見!”位置ゲー”体験バスツアー」を開催した。バス車中で「コロニーな生活☆PLUS(以下、コロプラ)」「ケータイ国盗り合戦」をプレイしながら、開発者がその魅力を解説。千葉県・印旛村の盆栽園では、コロプラの来店促進サービス「コロカ」の導入例を実際に見学した。

「大人に人気」の位置ゲー、バス移動中に実体験

 eビジネス推進連合会は、今年2月に発足した業界団体。会内には3つのワーキンググループ(WG)があり、その1つである地域活性分野WGで副座長を務める株式会社コロプラが、今回のバスツアーを企画した。対象は同会の会員企業で、当日は23社から31名、運営側スタッフ含めると約40名が参加。IT企業だけでなく、宿泊施設や旅行代理店の担当者らも名を連ねている。

 バスツアーは都内を出発、印旛村までの往復移動・現地滞在あわせて約5時間の旅程で行われた。車中では、「コロプラ」の運営元である株式会社コロプラの山崎清昭氏(事業開発部マネージャー)、「ケータイ国盗り合戦」を担当する株式会社マピオンの加藤隆志氏(事業開発部 メディア開発G・営業企画Gマネージャー)の両プロデューサーがゲームの概要や実際の操作方法を説明した。


コロプラの山崎清昭氏 「ケータイ国盗り合戦」プロデューサーである株式会社マピオンの加藤隆志氏

 位置情報ゲーム(位置ゲー)の魅力は、場所にとらわれずどこでも楽しめる従来型のモバイルゲームとは異なり、目的地に実際に足を運ぶことではじめて楽しるという逆説的な構造そのもの。コロプラ、ケータイ国盗り合戦ともに地域限定でもらえるデジタルアイテムの仕組みを盛り込んでいる。ツアー中にも、東京駅周辺エリアでしか購入できない「東京駅の絵はがき」、千葉・幕張周辺エリア限定の「Mのマークのキャップ」などがコロプラで入手できた。


首都高速の通行タイミングを利用して、位置ゲーを実際に体験 限定アイテムの取り方などを解説した

 加藤氏からは、ケータイ国盗り合戦のユーザー属性が紹介された。現在の会員数は約56万人で、中心となる層は30代の男性。職業は「会社(一般)」が50.2%、居住地では「関東」が59.4%ともっとも多い。ケータイを積極的に利用していると考えられる「時間に余裕のある学生」ではなく、やや年代が上の「出張や仕事の折に楽しみたいサラリーマン」に受け容れられている模様だ。山崎氏によると、コロプラ利用者の属性もほぼ同様という。

 ケータイ国盗り合戦では、全国を600エリアに分け、その場所で実際に“国盗り”(ブラウザー上のボタン操作)を行った回数がランキング化されている。その規模から「一生遊べる大人の携帯ゲーム」と運営側はアピールしているが、すでに全国制覇を達成しているユーザーが200名以上誕生。3周目のプレイヤーもいるという。全国制覇の最短記録は28日で、加藤氏も「もはやアスリートレベル」と舌を巻いていた。

 全国制覇を達成するためには、少なからず旅行や外出を行う必要あるが、アンケートでは「旅行や出張のついでではなく、国盗り目的で外出したことがある」という回答は56%に到達。利用者の外出動向を左右しつつある傾向も浮かび上がった。地方のイベントと協力し、デジタルアイテムを現地限定で配布するといったタイアップ広告の手法も、ケータイ国盗り合戦ではすでに導入している。

「コロカ」導入で来客増加、地元タクシー会社もビックリ

バスツアーの目的地となった千葉県・印旛村の盆栽園「福島園」

 バスツアーの目的地である「福島園」は、印旛沼ほとりにある盆栽園。裏手は林、周辺に田畑が広がる田園地帯の一角にあり、農家の庭先がそのまま鉢植えの展示場になっている。幹線道路を折れた先の農道沿いの立地ということもあって、地図や事前の準備がなければ、ドライブがてらフラッと寄るには難しい場所だ。

 1980年生まれながらすでに福島園3代目園主を務める福島孝之さんに話を伺ったところ、これまでの来客者層は、長年足を運んでくれている50〜60歳代以上の固定客が中心だった。しかし、2009年9月の「コロカ」導入以降、30代前後の若年層を中心に、毎月200〜300名の客が訪れるようになったという。


農道沿いに立地 周辺は田畑で目標物が少ないため、来場時は地図確認が必須。営業時間にも注意を

 「コロカ」は2009年6月にコロプラで正式導入された来店・販売促進サービス。提携店で所定の商品やサービスを購入すると、プラスチック製のカードがもらえる。このカード自体を収集する楽しみもあるが、裏面に記載されているシリアルコードをWebサイトで入力すると、コロプラ上に「スポンサーお土産」として表示できるのが大きな魅力だ。福島園でも、購入金額に応じて店舗限定のオリジナル「コロカ」を配布している。

福島園でもらえる「コロカ」の見本

 「コロカ」導入によって、最寄り駅からタクシーで福島園を訪れる客が増加するという意外な効果もあった。その規模は「タクシー会社の社長さんが『何事か』と見学に来るほどでした」と福島さんは語る。駅前に待機してもらうタクシーの増台を行った日もあるという。

 「コロカ」を導入した経緯は、福島さん自身がいちユーザーとしてコロプラを楽しんでいたことがきっかけだった。2009年7月にコロプラへ問い合わせメールを送り、翌8月には打ち合わせを実施。9月には「コロカ」配布を開始するという迅速対応も印象深かったと福島さんは話す。


レジ前のスペースには来場者用の交流ノートも 10万円を越える高級盆栽だけでなく、数千円で買える小型盆栽も陳列

 帰りの車中では、佐賀県の東京出張所である同県首都圏営業本部 副本部長の西岡剛志氏が、地方PRの実態を紹介。また、旅行市場に関する調査・研究を行う株式会社リクルート じゃらん リサーチセンターの加藤史子氏からは、日本国内の観光動向などが紹介された。

 同センターの調査によると、宿泊旅行実施率は年々低下。旅行にかける費用が低減傾向にある一方で、一人旅が増加するといった変化が出ている。「レジャーが多様化したことによって、旅行の価値が相対的に下がってしまった。また、時間やお金を投資する“旅行”に対し、何らかの“価値”をリターンとして求める傾向がますます強くなっている」と加藤氏は分析する。より具体的には、都市生活のレベルが向上し、外出しなくても通販でグルメ食品が気軽にお取り寄せできる、快適なリビングを作ったユーザーにとってはホテル設備が見劣りすると言った事例があるという。

 こういった現状を踏まえて、潜在的な旅行ニーズの掘り起こしが必要だと加藤氏は強調。例えば「乳幼児を抱えた母」を宿泊客として想定したケースでは、離乳食サービスだけでなく、母親自身を育児疲れから一時的に解放するためのエステ、一時託児所を充実させることで好評を得たという。

 加藤氏は「全員に喜ばれる旅行は、もはやないのかもしれない。“あなただけ”に喜んでもらえるプラン作りもまた必要だろう」との私見を披露。また、飲酒運転根絶を企図したノンアルコール飲料が、結果的に妊婦や授乳中の母親にもヒットした事例を挙げ、販売ターゲット層をあえて絞り込むマーケティングへの期待感も示している。



(森田 秀一)

2010/9/3 11:41