携帯マルチメディア放送、mmbiに認定書交付


認定書を受け取り、原口総務大臣(左)と握手するmmbiの二木社長(右)

 9日夕刻、総務省において、携帯端末向けマルチメディア放送のインフラ事業(受託事業者)への参入が認められた株式会社マルチメディア放送(mmbi)に対し、開設計画の認定書が交付された。

 今回交付されたのは、「207.5MHz以上222MHz以下の周波数を使用する特定基地局の開設計画」の認定書。総務省では、携帯電話などに対する新たな放送サービス「携帯端末向けマルチメディア放送」を実現するため、放送設備を保有する受託事業者1社を選定すると案内。NTTドコモや民放が出資するmmbiと、KDDI・クアルコムが出資するメディアフロージャパンが免許1枠を巡り争った結果、9月8日に行われた電波監理審議会(電監審)でドコモ系列のmmbiのほうが「(基準への)適合度合いが高い」とされた。

 電監審からの答申を受け、9日、原口一博総務大臣からmmbi代表取締役社長の二木治成氏へ認定書が交付された。認定書を手渡した後、原口大臣は二木氏に対し、電監審の審議が手間取ったことなどに触れ、「期待していますので」と述べると、二木氏は「いち早く、ぜひ成立させたい」とスピーディな事業の立ち上げに意気込みを見せた。

 交付式の後、報道陣の囲み取材に応えた二木氏は、「ぜひ成功させなければいけないと思っている。開設計画もそのためにどうするか考えてきた」などと語り、あらためて意気込みを示した。「2012年4月にサービス開始予定で、今後1年半はサービスを立ち上げるには短いが、世の中の進化は早い。1年半立つと状況が変わっていることも考えられる。そのためには早期のエリア拡充、端末の普及、参入しやすい委託料金をアピールし続けてきた」と語った。

 報道陣が「KDDIの小野寺社長は、mmbiが免許を獲得した際には、(委託事業者には)参入しないと言っていたが」と問うと、二木氏は、「委託事業は一緒に参加していただければ」と述べ、協力を得たいとの意向を示した。今回は受託事業者の選定となり、今後、番組やコンテンツを提供する委託事業者の在り方について議論が進むと見られるが、二木氏は「さまざまな形で委託ビジネスが参入できることが考えられる。我々はぜひ自由度を持たせていただき、より多くの人たちが参入できるようにしたい」と語っていた。

 一方、比較審査でmmbiに敗れたメディアフロージャパンの親会社であるKDDIでは、「まだ総務省から当事者向けの説明が行われていない。当社が疑問に思っている部分をクリアにしたい」とコメント。同社では、メディアフロージャパンが免許を獲得することを前提に、ソフト側を担当するメディアフロー放送サービス企画を設立していた。その際には、小野寺氏から、ISDB-Tmmが免許を獲得した場合、技術仕様などが明らかにされない限り参入は難しいとしながらも、1社割当である以上、現実的な対応を取る意向も示していた。今後ISDB-Tmm側の仕様開示が進めば、KDDI側が委託事業者として参入する可能性はあると見られる。

 



(関口 聖)

2010/9/9 19:05