MediaFLO陣営、携帯次世代放送の認定結果に「極めて残念」


 KDDI傘下で、携帯端末向けマルチメディア放送への参入を目指して活動してきたメディアフロージャパン企画は、総務省の認定結果に対するコメントを発表した。

 携帯端末向けマルチメディア放送は、地上デジタル放送への完全移行後に空く“アナログテレビ跡地”の周波数帯を用いる、新たな形態の放送サービス。放送設備を保有する“受託事業者”の免許1枠を巡り、KDDI系列のメディアフロージャパン企画と、NTTドコモ系列のマルチメディア放送(mmbi)がしのぎを削っていたが、総務省から諮問された電波監理審議会は9月8日、「mmbiの方が適当」と答申。この答申を受けた原口一博総務大臣から、9月9日、mmbiへ認定書が交付された。

 メディアフロージャパン企画では、「受信品質の重要性を訴え、開設計画へ与える影響を指摘したものの、定量的な検証がなされなかった」「財務基盤や『あまねく受信努力』などその他の項目に対する評価は、メディアフロージャパンの実績が適切に評価されていない」として、総務省の下した判断を「極めて残念と言わざるを得ない」としている。

 同社が採用する、クアルコム開発のMediaFLO方式と、mmbi採用のISDB-Tmm方式を比較し、ISDB-Tmmのフィールド実験状況などが公開されていないことを踏まえ、今後、速やかに開示されることを求めるとともに、日本の国際競争力強化や産業創出、ユーザーの利便性向上といった面において「真に妥当な結果と言えるのかは現時点ではわからない」としながらもISDB-Tmm方式の情報公開後に、マルチメディア放送の普及・発展を祈念する、としている。

 10日には、KDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏が12月1日付けで、社長職を退くと発表。会見の場で、小野寺氏は携帯マルチメディア放送の認定結果について問われると、「安ければいいのか」と電波監理審議会が委託向け料金を重要視したことなどについて疑問を呈したものの、以前示唆した行政訴訟については、「選択肢の1つであることは事実。勝てる見込みならば考えてもいいが、形式的にせよ、あれだけ公開でやった(のだから)」と述べ、その可能性が低いとした。

 KDDIは、ISDB-Tmm方式の推進団体であるISDB-Tマルチメディアフォーラムにも加盟しているが、「情報収集のために加盟していたが、今後も参加する」(KDDI広報)とのこと。受託事業参入のために設立されたメディアフロージャパン企画という組織の今後については、現時点では未定とのこと。

 



(関口 聖)

2010/9/10 19:39