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イー・モバイル、900MHz帯再編で割当を希望


左からイー・モバイルの千本氏、ガン氏、阿部氏

 イー・モバイルは、「次期周波数政策に対する当社意見」として、900MHz帯の新たな割当について、同社の意見を表明した。

 総務省では、2011年7月の地上デジタル放送への完全移行にともない、700MHz帯および900MHz帯について、新たな割当施策が検討されている。イー・モバイルが表明した意見は、900MHz帯において周波数の割当を希望するというというもの。その意見の概要は、現在利用している1.7GHz帯が2〜3年後に逼迫する見込みであること、国際的に利用される見込みの900MHz帯では、端末調達コストや海外からのローミングに対応できること、などとなっている。これらは、同社が今後積極的にスマートフォンを展開したいという意向も関係している。


900MHz帯でスマートフォン、モバイルブロードバンドを拡大

 イー・アクセスおよびイー・モバイル株式会社 代表取締役会長の千本倖生氏は、「900MHzという極めて戦略的に重要な周波数が開放される。900MHz帯で国際調和を図るための移行シナリオが示された意味は大きい。我が社はモバイルブロードバンドの先駆けとして市場を活性化したと自負しているが、電波の割当てが革新的なサービスには重要。ぜひとも競争の状況を導入してもらいたい。イー・モバイルの参入でモバイルの市場が大幅に大きくなった。900MHzは最も戦略的に価値があると考え、割当てを希望する。900MHzを活用して、これからくるスマートフォンをにらみ、モバイルブロードバンドの革新をもっと進めたい」などとして、900MHz帯の割当てを希望するとともに、スマートフォンなど端末の展開も積極的に行っていく方針を明らかにした。

1.7GHz帯は端末調達、ローミングで不利

 イー・アクセスおよびイー・モバイル株式会社 代表取締役社長のエリック・ガン氏は、1.7GHz帯で新規参入してからのイー・モバイルの実績を紹介。データ通信サービスを中心に、通信速度の高速化を図り、各社の利用料金の低価格化に影響を与えたといった点を解説した。

 現在利用している1.7GHz帯は、国際的に3Gで利用されていないとし、海外から日本に訪れる場合のローミングサービスが提供できない点や、端末調達では特別に周波数対応を行う必要があり、「一番苦しいところ」と苦労を滲ませる。一方、900MHz帯であれば端末調達がしやすくなり、「端末、スマートフォン市場はぜひ入っていきたい」と、スマートフォンの積極的な展開にも意欲を見せた。なお、現在の同社サービスの約95%のユーザーが、データ通信サービスのユーザーとなっている。

 ガン氏は、今回の900MHz帯の割当てについて、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルといった他社の周波数利用状況と比較し、「IMTコアバンド(2GHz帯)、プレミアムバンド(1GHz以下の帯域)を持っていない我が社を優先してもらいたい。スマートフォンやM2Mを含めて、市場を拡大していきたい」と意気込みを語った。

 

「新規参入を優先しないと競争にはならない」

 周波数帯の獲得に関連して、オークション制度の導入も話題に上がっているが、質疑応答の中でガン氏は「周波数再編にともなう移行コストを新たな事業者が負担すると聞いており、これは(新しい周波数帯を)早く使いたいならリーズナブルともいえる。しかし、個人的な考えだが、オークションを今の時期に導入するのはおかしいのではないか。既存の事業者はタダで周波数を貰っている。今回のプレミアムバンドでいきなりオークションとなれば、競争政策と逆ではないか。国民から見てもマイナス。イコールフッティングになっていない」とし、少なくとも今回の900MHz帯についてはオークションの導入が時期尚早であるとした。

 千本氏もオークションについて言及し、「オークションという仕組み自体には反対ではない。しかし、今回単純にオークションを導入すれば、支払能力のある事業者が勝つだけ。米国では新規事業者のみを対象とした周波数割当施策がある。厳密にはオークションとは異なってくるかもしれないが、同時にこういうものを用意してもらわないとだめだ。フェアな機会を得るポリシーを持ってもらいたい」と、総務省に要望する形で、安易なオークションの導入には難色を示した。

 再編される700MHz帯と900MHz帯の2つのうち、900MHz帯を中心にしている点については、700MHz帯よりも設備投資効率が高いこと、比較的早期に利用を開始できる点を挙げている。

 なお、イー・モバイルは、900MHz帯の獲得如何に関わらず、スマートフォンの展開を行っていく予定という。しかし、前述のように1.7GHz帯ではスケールメリットを活かした端末調達が難しく、インバウンドローミングも実質不可能なため、同社の描くスマートフォンの展開には900MHz帯が必須といえる。千本氏は、「新規参入に、ある意味で優先的に(周波数を)与えて育てないと、競争にはならない。900MHzはスマートフォンにとっても最も調達しやすい。そういうところに新規参入を割当てるべき、というのが我々の主張」と語り、スマートフォン市場で競争環境を醸成する意味でも900MHz帯の割当てを希望した。

 



(太田 亮三)

2010/10/7 17:51