MM総研が携帯・PHSの法人市場調査、スマートフォン動向も明らかに


 MM総研は、gooリサーチの会員モニターを対象にした調査レポート「法人ユーザーの携帯電話の導入配布状況・ニーズに関する調査(2010年度版)」を発表した。従業員100人以上の企業、学校、医療福祉法人の総務部門、計612社を対象にしたもので、比較用データとして従業員10人~100人の中小企業200社にも調査している。調査機関は9月10日~15日。

 同調査では、企業規模ごとに従業員へ携帯電話・PHSを配布している割合や、今後の法人名義回線の利用意向、キャリア別の利用動向がまとめられているほか、FMCサービスの利用状況、スマートフォンの導入状況などについても調査している。

 まず従業員に対する配布率を見ると、80%以上の企業は全体の6%、60~70%が7%、30~50%が17%、10~20%が23%、10%未満が18%となり、配布していない企業が29%となった。配布していない企業(176社)が将来どうするかという調査項目では、1年後の予想配布率は10%、3年後は12%となった。現在配布していない中小企業でも1年後には8%、3年後には9%という結果になり、現在導入していない企業でもある程度の需要があることが示されており、別の設問で法人名義回線を増やす理由として、法人向け料金の低価格化(52%)が最も多い理由となっているほか、セキュリティ強化(37%)やFMCサービスによる業務効率化(34%)が挙げられている。

 どのキャリアがどの程度利用されているか、シェアを見るとNTTドコモが49%、auが22%、ソフトバンクが20%、イー・モバイルが1%、ウィルコムが8%となった。ただ、この数値にはデータ通信カードが含まれていない。導入規模によってシェアはやや異なり、最もサンプル数が多い100台~500台という配布規模では、ドコモが51%、auが20%、ソフトバンクが23%、イー・モバイルが1%、ウィルコムが5%となった。大規模事例となる、配布3000台以上では、ドコモが52%、auが16%、ソフトバンクが15%、イー・モバイルが1%、ウィルコムが16%となっており、MM総研では、大規模事例におけるウィルコムのシェアが高いとしている。

 このほか、スマートフォンの導入状況については、「本格的に導入済み」が4%、「テスト、または部分導入済み」が6%となり、全体の10%がスマートフォンの利用を開始しているとした。一方、「まだ考えていない」が28%、「必要なし」が47%で、法人におけるスマートフォンのニーズは現状、限られているものの、MM総研では「導入決定だが準備中」が2%、「検討中」が13%で、前向きに捉えている層が計15%存在していることから、急速に浸透する兆しが出始めていると指摘。ただし本格的に導入した企業はまだ限られていることから、先行するケースにおいて「業務に直結する有効な用途、ソリューションを固め、普及を加速していくことが必要」としている。

 

(関口 聖)

2010/10/14 17:41