ドコモは微減収増益、スマートフォンでARPU向上を狙う


NTTドコモ 山田隆持社長

 NTTドコモは、2010年度上期連結業績を発表した。2010年度上期連結業績は、営業収益が前年比0.4%減の2兆1382億円、営業利益は9.5%増の5315億円、税引前利益は9.8%増の5270億円、当期純利益は8.8%増の3097億円となった。

 NTTドコモの山田隆持社長は、「微減収増益の決算。今年は、中期ビジョンの実行の年としたが、着実に歩んでいることを示すことができた上期の結果」とし、「純増数は、前年同期に比べて23万増加の81万件。総販売数が3年ぶりに増加し、924万台となった。これには、データカードやスマートフォンの販売好調が影響している。課題となっていたパケットARPUは、前年同期比90円増加し、パケット収入は491億円増加した。また、端末調達コストの削減や、営業費用で539億円減となった」と総括した。端末平均単価は1000円程度下がっているという。

 「ファミ割MAX50などの基本使用料50%割引サービスは契約数が8割に達し、いよいよサチって(飽和して)きた。今後の業績への影響は出てこなくなる。だが、バリュープランの契約率は65%であり、減収への影響や音声ARPU減少への影響はあと1~2年程度あるだろう」とした。

 2010年度第2四半期(7~9月)の総合ARPUは5210円(前年同期は5420円)、そのうちパケットARPUは2540円(同2450円)、音声ARPUは2660円(同2970円)。

 「パケットARPUは、年間110円の上昇という大きな目標を掲げており、そのために下期は110円以上の上昇を目指すことになる。これはしっかりとやっていきたい。パケットARPUをあげるためには多くの方に動画を見ていただきたい。そのためにはパケット定額サービスに入っていただきたい。定額サービスは上期だけで314万の加入をいただいている。定額サービスの加入者は58%にまで拡大した。下期には63%にまで拡大していく」としたほか、「パケットARPU上昇の切り札は、スマートフォン。冬モデルでは7機種を投入する。スマートフォンを購入していただくことがパケットARPUの上昇につながる。iモードでもARPUをあげる努力をするが、これがスマートフォンを使ってみたいという流れにつながる」などとした。

 上期はスマートフォンで60万台を販売。約2割が新規での購入であり、8割が機種変更などだという。

 山田氏は、「3~4年後には、純増数の半分をスマートフォンが占めるようになるだろう。そのなかでは、キャリアとしての付加価値をスマートフォンに乗せていくことが必要。土管屋になることは避けたいなど」とした。

 さらに、28日発売になったスマートフォン「GALAXY S」について触れ、「有機ELは品不足であることは確か。製造元の韓国サムスンには、日本の顧客の反応がいいので、ぜひ日本に向けて安定した出荷をお願いしたいと話している。反応はXperiaと時と同じであり、予約数で5万台を超えている。一部のお客様には、11月にお渡しできることで予約をとっている。Xperiaは月10万台を販売したが、GALAXY Sも年内は、同じ規模で2カ月分を用意した。1月、2月は、さらにプラスアルファで入荷できるようなお願いしている。iPhoneに、この2機種で競合できる。このメインの2機種で純増数をとっていきたい」などとした。

 また、「日本の端末メーカーはスマートフォンに出遅れたのは確か。日本のお客様に対して、ローカライズされたものを投入し、その後、そうした機能を取り除いた形で、グローバル端末として展開しててくことがいいのではないか」などと語った。

 一方で、スマートフォン時代のiモードのあり方についても言及。「iモードは、シニア向けのらくらくホンなどでの利用なども想定されており、スマートフォンが純増数の半分を占めても、まだまだ利用の中心となる。iモードは、当社としても引き続きサービスをブラッシュアップしていきたい。ドコモマーケット(iモード)を強化するといった動きもそのひとつ。ここではiモードにもオープン環境のアプリケーションを入れていく」とした。

 2010年度第2四半期の解約率は0.49%となった。「重要な指標であり、前年並みの解約率を維持した点は評価できる」などとしたほか、FOMAへのマイグレーションは96.6%にまで達し、残り3.4%となった。

 また、iコンシェルが541万契約、i Bodymoは50万契約を突破。spモードは34万契約に達した。ドコモマーケットは353万コンテンツを用意。年度内には700コンテンツに拡大するという。PCデータ通信の通期の販売台数目標は約70万台、データプラン契約数は年度末に150万契約を目指すという。

 一方、2010年度連結業績見通しを修正した。営業収益が4兆2220億円から4兆2090億円に、税引前利益は8430億円から8380億円に修正。営業利益の8400億円、当期純利益の4970億円はそのままとした。また、年間総販売台数は当初計画の1820万台から、1870万台に上方修正した。

プレゼン資料では、国際ローミング対応のモバイルWi-Fiルータが年内発売予定とされている

 同社では、2010年度の取り組みとして、「お客様満足度向上」、「パケット利用拡大に向けた取り組み」、「新たな取り組み」の3点をあげ、「お客様満足度の向上は、最優先課題として取り組んでおり、48時間以内の訪問対応は上期で約3万1000件、ケータイてんけんは約356万件に達した。第3者評価機関からも評価を得ている」としたほか、パケット利用の拡大に向けた取り組みでは、スマートフォン市場の拡大、新たなデバイスの販売拡大、定額制ユーザーの拡大、ミドル、ライトユーザーのパケット利用促進策の実行を掲げ、「PCデータ端末やモバイルWi-Fiルータといった製品が売れている」とした。

 また、新たな取り組みでは、LTEサービスの開始、電子書籍、カーナビサービスをあげ、「LTEのXi(クロッシィ)は、12月下旬のサービス開始に向けて準備は順調に進展。2010年度中には2010年度に東名阪に約1000局の基地局設置を予定している。また電子書籍サービスは、動画サービスに続く重要なサービスと位置づけており
、今日からトライアルサービスを開始している」と語った。

(大河原 克行)

2010/10/28 17:20