NEC、ユビキタス端末へ応用可能な有機ラジカル電池開発


 NECは、「有機ラジカル電池」の実用化に向けて、出力を従来比1.4倍に向上させた試作電池を開発した。

 有機ラジカル電池は、プラスチックの一種である有機ラジカル化合物を電極活物質に使った電池のこと。有機ラジカル化合物と炭素繊維からなる複合正極に、電解液を浸透させることで、ゲル状のフレキシブルな電極を実現し、ラジカル部位の酸化還元反応によって充放電される。一度に大きな電流が放電できる特長がある。

 新開発の有機ラジカル電池(試作)は、薄さ0.7mm、大きさは500円玉サイズで、容量5mAhとなる。電極の負極(マイナス)部分は従来の金属リチウム薄膜から、リチウムイオン電池と同様に炭素材料に変更された。これにより、充放電を繰り返しても電池容量を十分に保てるほか、約1/10のコストを実現する。

 正極(プラス)部分に用いる固体の有機ラジカル材料は、ゲル状にしてから炭素材料と複合。より高い導電性を持つナノ複合電極を開発した。容量5mAhタイプで、従来比1.4倍の7kW/Lを実現した。

 NECでは有機ラジカル電池について、高輝度LEDフラッシュの連続発光が可能になるほか、高機能ICカード、ウェアラブル端末、フレキシブル電子ペーパーなどへの応用が可能としている。

 

(津田 啓夢)

2010/11/5 14:16