ジンガ、日本向けソーシャルゲーム「ファームビレッジ」発表会


ファームビレッジ

 ジンガジャパンは、ソーシャルゲーム「ファームビレッジ」の提供を開始した。携帯電話向けのmixiアプリとして提供され、基本プレイは無料のアイテム課金制。

 今回提供される「ファームビレッジ」は、世界でアクティブユーザーが月5400万人という、ソーシャルゲームとして世界一の規模を誇る「FarmVille」(ファームビル)の日本版。ファームビレッジは日本向けに開発されており、携帯電話(フィーチャーフォン)向けのソーシャルゲームとして展開される。プレイヤーは農場主となり、好みに応じてデコレーションできるほか、友人を招待して一緒に遊んだり協力したりできる。


「リアルな友達と遊ぶことが目的」

ジンガジャパン 代表取締役のロバート・ゴールドバーグ氏

 1日には都内で記者向けに発表会が開催され、ジンガジャパン 代表取締役のロバート・ゴールドバーグ氏が日本市場での展開を語った。また、ソフトバンクモバイル代表取締役社長の孫正義氏、ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏も登壇し、挨拶を述べた。

 ゴールドバーグ氏は、3年前にはソーシャルゲームというカテゴリが市場になかったとした上で、「毎日、何億もの人が楽しんでいる」と急成長した様子を紹介。米Zyngaのソーシャルゲームのユーザー数は、MAU(Monthly Active User)で月間で2億1000万人、FarmVille単体でも5400万人に上り、他のソーシャルゲーム企業のユーザー数をはるかに上回っているとした。2007年に創業した同社は、現在では従業員数1400人で、3大陸、6カ国、13カ所にオフィスを構えているという。

 ゴールドバーグ氏は同社の使命を「世界をゲームでつなげる」とし、「Eメールやメッセンジャーが果たしていた機能に代わる」と意気込む。また、ゲーム性よりもソーシャル性を重視する方針を示しており、「遊んでいて楽しく、競争しなくてもいい。協力しあってプレイできる」と同社のソーシャルゲームの方向性を示す。加えて、「リアルな友達と遊ぶことが目的」と言うように、あくまで実際の知り合いや友人、家族とプレイすることが対象としている。これに関連したエピソードとして、実際にMafia Warsではゲーム上でプロポーズした例もあるという。

 同氏は「ソーシャルとリアルが組み合わさって、メインストリームになっている」と語り、毎月、世界のインターネット人口の約10%がZyngaをプレイしているとアピール。日本市場においても、「シリコンバレーのよいところと日本のよいところを繋げる」と意気込みを見せ、日本発のオリジナルタイトルの投入にも意欲的な姿勢を示した。

世界で展開するZyngaソーシャル性第一を掲げる
リアルな友達や家族とプレイすることが目的という協力してプレイできる
ソーシャルゲームはネット上のサービスのメインストリームになっているとした「FarmVille」は世界で最大、過去一番の人気とアピール

 

「Zyngaを得たものがトラフィック、ユーザーを得る」

ソフトバンクモバイルの孫社長

 挨拶に登壇したソフトバンクモバイルの孫氏は、「世界のFacebookのトラフィックの3分の1はZyngaがたたき出している。ソーシャルゲームに特化し、単なるオフラインゲームとも、パソコン向けのオンラインゲームとも違う、全く新しいジャンル。飽きずに、日常会話のように時間を過ごせる」とZyngaのソーシャルゲームを説明。ユーザー数の多さなどその影響力から「アメリカのヤフー、グーグル、マイクロソフト、アップル……みんなZyngaにだけは特別な関係を求めている。Zyngaを得たものがトラフィック、ユーザーを得る」と解説し、「もちろん、日本ではソフトバンクががんばる。携帯に加えて、スマートフォンの世界で、Zyngaがもっと華やかになる時代がくる。期待していただきたい」と積極的に展開していく姿勢を明らかにした。

 ミクシィの笠原氏は、「Zyngaはソーシャル性を大事にしており、友人・知人とのコミュニケーションを核にアプリを設計している。メールやメッセンジャーの次を目指すという方向性も、弊社のコンセプトと合致している」と、近い方向性を持った企業同士であると説明。「次々とアプリが出てくると聞いており、一ファンとしても楽しみ」と期待を寄せるとともに、「スマートフォン向けサービスの強化も図っていきたい」と今後の展開にも触れた。

 ジンガジャパン ジェネラルマネージャーの山田進太郎氏からは今回提供が開始された「ファームビレッジ」の内容が解説された。特徴は農園の自由な拡張、好みのデコレーション、友人のつながりの3点であるとし、実際にサービスインし、すでに多くのユーザーがプレイしている様子を語った。同氏は、ジンガジャパンの前身となるウノウの60人のスタッフに加えて、アメリカから10名が参加し、技術交流が行われていることも明らかにされた。

ミクシィの笠原社長ジンガジャパン ジェネラルマネージャーの山田進太郎氏
FarmVilleをベースに新たに開発したという日本版のファームビレッジマイミクと協力プレイが可能
農園は拡大やデコレーションが可能
知り合いとの交流がポイントになるとした野菜をモチーフにしたファームビレッジの“かぶりモノ”でアピールする一幕も

 

ゲーム性、ソーシャル性で打ち勝つ

 質疑応答の時間では、既存の同種のサービスに対する優位性が問われた。山田氏は「過去、アメリカでも(先行他社が存在する)同じような状況だった。ゲーム性、ソーシャル性が強ければ、十分に打ち勝っていくだろう」と自信を見せた。

 また、提供されるプラットフォームについて山田氏は、「ファームビレッジは携帯電話専用に一から開発したもの。スマートフォンに対応していくかもしれないが、正確なところは決まっていない」と回答し、ひとまずは携帯電話(フィーチャーフォン)向けに提供していく方針を明らかにした。

 



(太田 亮三)

2010/12/1 18:36