エフセキュア、AndroidやiPhone向けマルウェアの増大を予測


 エフセキュアは、2010年のセキュリティ総括レポートを発表し、その中でモバイルセキュリティの進捗に関しても言及した。

 レポートでは、2010年のインターネット上のセキュリティ関連の大きなできごととして、Wikileaksの台頭による賛成派・反対派の攻防を挙げており、ITセキュリティ史上に残る年になったとしている。

 モバイル関連では、「携帯電話を狙うマルウェアの数は劇的な増加を見せなかった」とする一方、「将来の動向のヒントとなるいくつかの進歩が見られた」とする。モバイルセキュリティの最前線では、Android端末や、ジェイルブレイクしたiPhoneを狙うマルウェアの増大が予測されているという。

 同社によれば、2010年初頭、Androidマーケットにおいていくつかのオンラインバンキングアプリが削除されたが、これらはユーザーの銀行情報を盗むための偽のオンラインバンキングアプリだったという。また4月には、Windows Mobileユーザーが、国際電話をかけて高額な通話料が請求されるトロイの木馬に感染したが、これは無料でダウンロードできるゲームに偽装されていた。

 8月にはAndroidマーケットで「Tap Snake」という悪意のあるアプリが発見された。これは普通のゲームを装い、バックグラウンドでは端末の位置情報を15分おきに送るアプリで、端末を再起動しても動作する仕組みになっていたという。

 エフセキュアのセキュリティ研究所では、「スマートフォン上のオンラインバンキングを標的としたトロイの木馬が出現するのは時間の問題」と予測しており、SymbianとBlackBerryを対象としたものが実際に発見されているという。同社では、「これら一連のサイバー攻撃は好奇心による攻撃ではなく、専門知識を持つスペシャリストによって行われている」としており、今後手段は一層複雑化すると予測している。

 



(太田 亮三)

2011/1/19 13:13