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ソフトバンク決算は増収増益、中国市場強化で世界首位目指す


ソフトバンクの孫氏

 ソフトバンクは、2010年4月〜12月までの業績を発表した。2010年度第3四半期決算説明会に登壇した代表取締役社長の孫正義氏は、増収増益の結果を受け、ソフトバンクの掲げる「情報革命」に向けた軸足が固まりつつあることを印象づけたほか、中国市場を今後の成長の柱とする方針が示された。

 2010年4月1日〜12月31日までの連結業績(累計)は、売上高が前年同期比10%増の2兆2499億100万円、営業利益は31.6%増の4821億5900万円、経常利益は42.2%増3999億1700万円、四半期純利益は50%増の1422億9900万円で増収増益となった。

 各事業別に見ると、ソフトバンクモバイルが展開する移動体通信事業部門の業績は、前年同期比15.4%増の売上高1兆4586億2000万円、営業利益は46.2%増の3144億8600万円となった。引き続き、ソフトバンクグループにおいてモバイル事業が増収増益の推進力となる結果となった。

 なお、累計の純増契約数は252万3300件で、この数値にはプリペイド契約と通信モジュール契約が含まれており、同期間の通信モジュールの純増数は55万3600件。第3四半期に限ると、通信モジュールは18万9600件の純増となっている。純増の主な要因は好調なセールを続けるiPhoneによるもので、同社の累計契約数のシェアは前年同期から1.2ポイント上昇し20.8%となっている。



ARPU、解約率、インセンティブ

 1契約者あたりの平均収入を示すARPUは、4310円で前年同期から110円増加。ただし、基本料+音声ARPUについては、通話機能のない通信機能付きデジタルフォトフレームなどの契約増や、事業者間接続料金の改定によって170円減の1980円となっている。データARPUは、iPhoneの好調がARPUを押し上げるとともに、データ通信量の少ない2Gサービスの終了により、前年同期から270円増の2330円となった。

 決算説明会で孫氏は、先に発表されているNTTドコモとKDDIのデータARPUの値を紹介し、今回初めてKDDIのデータARPU2320円を超えたとアピールした。ちなみにドコモのデータARPUは2540円。3Qの音声ARPUは、ドコモが2590円、KDDIが2660円。

 解約率は0.91%で前年同期から0.25ポイント改善した。2Gサービス終了による解約率の上昇原因がなくなったことや、割賦販売の代金支払い完了顧客の解約率低下をその要因としている。なお、決算では解約率について他社との比較データは紹介されなかったが、先の例にならうとドコモは0.46%、KDDIが0.68%となる。

 新規顧客獲得手数料、つまり販売代理店に支払う平均のインセンティブは、前年同四半期400円増の3万7800円となった。



そのほかの事業と設備投資

 ADSL事業などのブロードバンド・インフラ事業については、売上高は前年同期比6.4%減の1444億8500万円、営業利益は前年同期比14.3%減の335億2500万円となった。マイラインやおとくラインといった固定通信事業は、売上高が前年同期比1.8%増の2632億7300万円、営業利益が65.9%増の238億8900万円となった。

 Yahoo!JAPANなどのインターネット・カルチャー事業は、売上高が前年同期比5.2%増の2101億6600万円、営業利益が11%増の1106億6900万円となった。

 また、第3四半期の各事業部門別の設備投資費(検収ベース)は、移動体通信事業が1163億2400万円、ブロードバンド・インフラ事業が50億7600万円、固定通信事業が90億9500万円、インターネット・カルチャー事業が27億8300万円。

業績予想を上方修正

 このほか、ソフトバンクでは2010年度(2010年4月〜2011年3月)の通期における、連結の営業利益予想を上方修正すると発表した。前期までは、通期で5000億円と予想していたが、移動体通信事業の好調な実績を踏まえて、連結営業利益の通期予想を1000億円上乗せの6000億円にするとした。

孫氏、業績好調をアピール

 決算説明会の冒頭、ソフトバンクの孫氏は、スポーツにおいて軸がぶれないことが大切であると語り、今回の増収増益により「ソフトバンクグループの軸がだいぶしっかりと足下を支えられるようになってきた」と述べた。

 孫氏は、「デジタル情報革命を通じて人々を幸せにする、という創業以来の変わらない軸は、30年のこれまでの歩みの中では軸は細くなったりよたよたしたり、足下の実力が伴わない状況もあった。おかげさまで、足下を含めた軸は定まってきており、これからさらに大きく拡大していけるステージに徐々になってきた」と話し、通期の予想を1000億円上乗せしたことについても全てにおいて順調に伸びている成果とした。

 また、ボーダフォンを買収によってふくらんだ2兆円規模の負債については、約1兆円を返済し、金融機関へのローンについても、当初計画よりも前倒しで返済が進んでいるとした。こうした結果、2011年度有利子負債が1兆円を下回る計画に変更はないという。

 孫氏はモバイル事業について、純増契約数が4年連続1位であるとし、ボーダフォン買収から約1000万件の顧客を獲得した成果をアピールした。また、“白戸家のお父さん”でお馴染み、犬のお父さんについてはテレビCMブランディング調査で4年連続1位とした。

 孫氏が語る好調ずくめの状況の中で、同氏は「弱点は電波」と言い切った。昨年3月末の電波改善宣言以来、順調に基地局設備を増強していると説明し、3月末には12万局、9月末には14万局になるとした。孫氏は、14万局で満足するわけではなく、「多くのユーザーに満足いただけるまで改善し続ける」と話した。

 また、基地局関連の成果としては、地下鉄走行中の電波状況の改善について報告。孫氏自身が通称トンネル協会と呼ばれる移動通信基盤整備協会の理事に立候補したことや、東京都副知事と会見したとした。近く大阪市長とも会見する予定とした。孫氏は、協会として対応するため、「ドコモやKDDIも合わせて繋がるようになる」と説明した。

 孫氏が「勝利の方程式」として紹介したのがiPhoneだ。外部調査期間のデータを元に、新規契約の獲得にiPhoneが非常に貢献しているとした。孫氏は「我々もAndroidを取り扱っているが、今日現在、Androidアプリ20万のうち日本円で購入できるものは約6000種類、iPhoneアプリは日本円で買えるものが30万と圧倒的な差がある。顧客満足度調査でも98%が満足と回答するなど恐るべき商品だ」と語り、「当初、多くのメディアでiPhoneが売れないと言われたが、使った利用者が一番わかっている。ほかのスマートフォンも売るが、主軸がiPhoneであることは変わらない」と引き続き主役の座はiPhoneであることを印象づけた。

 質疑応答でも、iPhoneが情報革命の最大の武器であると語ったほか、アップルとは最初から独占契約は行っていないこと、良好な関係を継続していることなども語られた。

 このほかiPadは、グループ社員含めた2万人に配布しているとして、外部の多くの企業からも多くの引き合いがあるとした。ソフトバンクテレコムの営業スタッフについては、iPadの導入によって、社員1人あたりの1カ月の経費が9万5000円浮いたという。経費削減が主な理由で、ペーパーレス化や残業代が削減できるとメリットを説明、残業代が削減できる理由については語らなかった。なお、ソフトバンクでは2月1日より、Google Appsのビジネス向けサービスを開始し、クラウドサービスも拡充している。



中国市場に注力

 こうした日本国内の成果について説明した孫氏は、「真の方程式」として、中国市場への注力を強くアピールした。同氏は、世界人口の2/3がアジア人であるとし、アジアで首位になるということが、世界No.1企業になることであるとした。

 「日本企業でこれだけアジアにインターネット企業を持っているのは、間違いなくソフトバンクだけ。日本以上に大切に思っているのは中国」と語った孫氏は、中国のインターネット人口が急拡大し、日本(1.2億人)や米国(2.8億人)のネット人口を合わせても2015年の中国の8.8億人にはかなわないとした。

 ソフトバンクでは、2000年のAlibaba.comへの投資以降、2003年にはTaobao、2008年にはRenren(旧OPI)へと投資している。孫氏は、中国市場でインターネット人口が増えることで、これらの投資先の価値がさらに高まるとする。現在、国内でもFacebookをはじめとしたSNSに注目が集まっているが、孫氏は、調査資料を元に、SNS利用者は、中国市場が2.3億人で世界最大、米国は1.4億人、日本は5000万人とした。

 なお、ソフトバンクが筆頭株主のRenrenは、中国最大のSNS事業者で、1.1億ユーザーを獲得しているという。その子会社のnuomi.comは中国版グルーポンとして、クーポン共同購入サービスを手がけている。孫氏は「日本でもおせち問題が話題になったが、ビジネス全体からすれば、あれは取るに足らない一時的なミステイク」とした。

 このほか、孫氏は、中国のオンラインテレビサービス「PPTV」を展開するPPLiveへの出資を発表した。株式の35%を取得し、筆頭株主となったほか、世界各国で「PPTV」を展開する際にはソフトバンクと、利益を折半する形で共同展開する契約になっているという。「PPTV」は、月間アクティブユーザーが1億人を超えるオンラインテレビサービス、中国テレビ放送120局の番組が同時に放送されるほか、ハリウッドとも正規に契約し、コンテンツがオンラインんで楽しめる。1日あたりの視聴時間は2.5時間と、20〜40代のテレビ視聴数をすでに超えているという。

 こうした中国企業への投資は多くはソフトバンクが筆頭株主となっているものの、30%強の株式取得にとどめているのも特徴とした。


 



(津田 啓夢)

2011/2/3 20:47