HTC、グローバル発表の6モデルを国内で披露


国内で披露された6機種

 HTC Nipponは、2月に開催された「Mobile World Congress 2011」(MWC)で発表された海外市場向けの端末を、国内で披露する説明会を開催した。用意された新端末は自由に触れなかったが、担当者から各端末の特徴が解説された。

 今回、日本の記者向けに改めて披露されたのは、主力のラインナップに位置付けられる「Desire S」「Wildfire S」「Incredible S」に加え、Facebookとの連携機能を備えた「ChaCha」「Salsa」、タブレット型端末の「Flyer」の合計6機種。いずれも日本市場での展開は、現時点では未定。会場にはKDDIから提供される「EVO WiMAX ISW11HT」も展示されていた。

 登壇したHTC Chief Product Officerの小寺康司氏は、グローバルでスマートフォンの市場が拡大しているという数字を示した上で、HTCとしても2010年は2009年の倍以上となる2500万台の端末を出荷したことを明らかにした。一方、現在は売上よりも重視しているという、ブランド力の向上にも手応えを感じている様子で、「2011年も順調に伸ばせたら」とさらなる認知度の向上を目標に掲げた。

 同社は2011年に入ると米VerizonのLTEに対応したスマートフォン「Thunderbolt」を発売しており、技術面でも先端を行く様子をアピール。加えて、HTC独自のUIであるHTC Senseでは、83カ国の地図を事前にダウンロードできるようにするサービスが発表されるなど、「ユーザーの立場で、体験にいかによくしていくか。ちょっとしたことに労力をはらい、良くしていくか」とHTC Senseのポリシーについても語られた。


2010年は2500万台を販売HTCの小寺康司氏

 

最新の6機種を解説

 MWCで発表された6機種については、「Desire S」のアルミ削り出しボディや1.2GHzのCPU、「Wildfire S」のHTC史上最も小型なボディや前面の金属パーツ、紫色などのカラー展開といった、新しい試みを中心に解説された。デザイナーの自由な発想を反映させたという「Incredible S」では、内部パーツを押し出したような特徴的な背面デザインが、デザイナーへのインタビュー映像とともに説明された。いずれのモデルも機能面では共通部分が多く、インカメラを搭載するなど、利用できるサービスもある程度共通化されているのが特徴だ。

 Facebookとの連携機能を搭載した2機種は、キーボードを搭載する「ChaCha」と、全画面タイプの「Salsa」。Facebookのアイコンが記されたキーを装備しており、Web閲覧中、写真撮影後、音楽再生中など、さまざまな利用シーンをFacebookにアップデートとしてワンタッチで投稿できる。例えば、写真撮影後にFacebookボタンを押すと、ワンタッチでFacebookに画像を投稿できる。今後は、長押しでFacebookに位置情報を投稿するサービスに対応するといった、アップデートも提供される見込み。

「Desire S」のアルミ削り出しボディ
インカメラ搭載「Wildfire S」のHTC史上最も小型なボディ
カラーバリエーションもHTCとしては新しい試み「Incredible S」の、内部パーツを押し出したような特徴的な背面デザイン
Facebookとの連携機能を搭載した2機種利用可能なシーンで光るFacebookボタン
新しいスマートフォン5機種

 

「HTC Senseもタブレットにあわせて進化」

 タブレット型端末の「Flyer」は、背面のアルミボディや1.5GHz駆動のCPU、415gと軽量なボディ、タブレット向けHTC Senseなど、注目ポイントの多い端末。小寺氏は、「なぜはやくタブレット型端末を出さないのかという話もあったが、いかに差別化できるかが重要。急いで出すよりは差別化しようと考えた」と、タブレットを慎重に開発してきた様子を語り、「一番注力したのは使い勝手。スマートフォンを大きくしただけでは意味が無い。HTC Senseもタブレットにあわせて進化させた。いろいろなものを見れて、簡単に探せるかが重要」とソフトウェアの作り込みに注力した点を紹介。特徴的な機能として、付属のスタイラスペンを使用し、さまざまなシーンで画面に直接メモを書きこんで画像として保存できる「HTC Scribe Technology」を解説し、メモと同時にタイムスタンプや音声の録音と連動したり、クラウドサービスにアップロードしたりできる機能を紹介した。

 「Flyer」ではまた、ストリーミングのビデオストアとなる「HTC Watch」を提供するほか、クラウドベースのゲーム配信サービス「OnLive」に対応することも明らかにされている。

タブレット型端末の「Flyer」背面のアルミボディ
1.5GHz駆動のCPUなど見どころも多い「HTC Scribe Technology」では付属のスタイラスペンを使用し、さまざまなシーンで画面に直接メモを書きこめる
クラウドベースのゲーム配信サービス「OnLive」ゲームプレイの様子を紹介する映像

 質疑応答の時間には、タブレット型端末の日本市場での展開について聞かれた。小寺氏は、「キャリアとの話によるが、世界中のどの市場でも投入したいと思っている
」とコメントし、「できるだけ早く、こたえられるようになればと思っている」と前向きな姿勢を示した。

 HTC全体における日本市場の売上は「数%」(小寺氏)とのことで、最も高い比率を占めるのが北米、ついで欧州という。こうしたことから、おサイフケータイ、ワンセグといった日本市場向け機能の搭載は限定的にならざるを得ない状況だが、おサイフケータイについては「(端末は)今年後半からNFCに対応する。その中でFeliCaに対応していく」と、NFCと絡めて対応を検討していく方針を明らかにした。一方、ワンセグについては、韓国などでも需要があることを認めながら、「市場が限られているので、悩んでいる。通信速度が速くなると、IPTVなども出てくる。どちらかというと、ストリーミングに魅力を感じている」と語り、動画サービスに取り組む姿勢の違いに言及した。

会場に展示された端末

手前の列が「Desire S」「Incredible S」
「Wildfire S」「Flyer」
 全画面タイプの「Salsa」(左)と、キーボードを搭載する「ChaCha」(右)

 



(太田 亮三)

2011/3/1 18:57