シマンテック、Android向けセキュリティアプリを18日発売


ノートン モバイルセキュリティのパッケージ
GALAXY Tabで立ち上げたところ

 シマンテックは、Android向けセキュリティアプリ「ノートン モバイルセキュリティ」を3月18日に発売する。オープンプライスだが、年額2980円になる見込み。Android 2.0、2.1、2.2を搭載する、NTTドコモとソフトバンクモバイルのスマートフォンで利用できる。

 「ノートン モバイルセキュリティ」は、Android端末向けのセキュリティアプリ。シマンテックでは、パソコン以外のデバイスでも同社のプロダクトを展開する「Norton Everywhere」構想を掲げており、その一環としてAndroid向けアプリが提供されることになった。昨年にはβ版が提供されており、今回はタブレット端末にも対応し、正式版として公開される。

 主な機能は、盗難・紛失に対応するため、遠隔操作で利用できる「リモートロック」「リモート検索」「リモートワイプ」「SIMカードロック」のほか、悪意あるアプリを削除するマルウェア対策、Android向けアプリをダウンロードした際の自動スキャン、特定の番号から着信やSMSをブロックするブラックリスト機能、ウイルス更新を最新にできるライブアップデートとなる。

 このうち、リモートロックやリモートワイプなどの遠隔による盗難・紛失対策は、テキストによるコマンドとパスワードをSMSで送信する形となる。ロックする場合は、友人や家族が持っている同じキャリアの携帯電話から「Lock ○○○」(○はパスワード)と記したSMSを送信する。このため、Wi-Fiのみ対応するAndroid端末は、遠隔操作の紛失・盗難対策機能は利用できない。また、特定番号の着信やSMSを拒否するブラックリスト機能もスマートフォンのみとなる。

 当初はAndroidマーケットではなく、家電量販店で販売される。店頭で購入するパッケージにはアクティベーション用のカードと、アプリをダウンロードするURLが封入されており、アプリをダウンロードしてからプロダクトキーを入力すれば利用できるようになる。年間利用のライセンス、という形で利用料を支払うことになるが、更新ライセンスの提供はまだ未定となっている。

 有効期間中に機種変更時する場合、新たなデバイスにプロダクトキーを入力すれば利用可能となり、それまで使っていたデバイスの「モバイルセキュリティ」は無効となる。端末を紛失した場合は、アクティベーション用カードを用意してサポートに連絡する必要がある。

マルウェア対策の画面着信・SMS拒否
ライブアップデート(LiveUpdate)メニューキーを押したところ

キャリアマーケットでの配信やプリセット提供も

マロン氏

 シマンテックでは3日、都内で記者会見を開催した。「Norton Everywhere」構想についてシマンテックプロダクトマーケティングディレクターのコン・マロン氏は、「昨年5月から約9カ月間、モバイル分野で準備してきたが、デスクトップ向けと同じく『情報を守る』というビジョンを掲げている。セキュリティと安全、プライバシーを守るということ」と述べたほか、米国ユーザーに対する調査で、1年間にプリンタやゲームなどIT関連製品に費やす金額(約2000ドル)のうち、モバイル関連はその半分となる約1013ドルながら、それはプライバシーを守るためには使われていないと指摘し、今後、ユーザーの意識を高めて、セキュリティの重要性を訴える考えを示した。

 そうした、モバイルデバイスに対する脅威として、日本でも海賊版アプリにおいてインストール後に情報を流出させる「トロイの木馬」が確認されたことを紹介した。こうした悪意あるアプリケーションの動作は、パソコン向けでは過去の出来事となっていた部分があるものの、セキュリティ製品が充実していないスマートフォンに対して新たな脅威となりつつあるとする。特に、よりオープンなAndroidは、一般の開発者だけではなく、悪意あるアプリを開発するときにも障壁がないため、リスクが高いと指摘した。

 同氏は、他のバージョンのAndroidへの対応については、準備が整い次第製品を提供するとしたものの、たびたび新バージョンが登場するAndroidのキャッチアップにかかる時間については「2.3や3.0への対応の準備は進めている。Androidがバージョンアップすることでユーザーインターフェイスなども変更される可能性があり、そうした環境への対応は努力が必要となり、単純な回答はできない」と述べ、明言を避けた。囲み取材においてあらためて尋ねたところ、グーグルとは密接にコミュニケーションをはかっているとのことで、Androidの度重なるバージョンアップにもスピーディに対応する姿勢を示した。

モバイル市場はシマンテックにとって大きなビジネスチャンスと語った日本での事例も

 

風間氏

 製品概要を紹介したシマンテックの日本/韓国リージョナルプロダクト マーケティングシニアマネージャーの風間彩氏は、同社が行ったユーザーアンケートの結果、日本のユーザーは過去5年間で平均1.4回、携帯電話を紛失したり盗難にあったりした経験があると指摘。パスワードを設定している人は他国よりも多いものの、全体の32%に留まっているとして、セキュリティ製品の重要性をアピールした。

 家電量販店で提供する目的については、セキュリティ対策の必要性の認知度向上をはかることを挙げた。シマンテックとしては今後、Androidマーケットでの提供、OEM提供も視野に入れており、ユーザーが求める流通経路全てで提供する考えだが、まずは携帯電話やスマートフォンではまだ馴染みが薄い、セキュリティ製品のアピールが最優先事項となっている。

日本のユーザーは過去5年間で平均1.4台の携帯電話を紛失端末紛失でプライバシーなどへの影響を懸念
ダンバー氏

 同社コンシューマ営業統括本部のアンドリュー・ダンバー氏は、auの店舗で取り扱われるサムスン製Wi-Fi対応タブレット「SMT-i9100」に体験版がプリセットされることを紹介。「SMT-i9100」では、ショートカットが用意され、タップすると専用サイトにアクセスしてアプリをダウンロードすればインストールできるようになっており、遠隔操作などは利用できないが、ウイルス対策機能として利用できる。これはKDDIとの協力で実現したものという。

 2月にスペインで開催された展示会「Mobile World Congress 2011」での発表後、国内外で数多く問い合わせが寄せられ、多くのOEM提供を近日中に発表できる、としたダンバー氏は、小売店、キャリア、ISP、OEMという4つの流通チャネルで、Android市場での展開を図るとしたほか、こうした多チャンネル展開は、他国に先駆けて日本でまず取り組むとした。シマンテックでは、ドコモマーケットやau oneマーケットといったキャリア固有のスマートフォン向けコンテンツ配信マーケットでも本製品を提供する考え。まずはコンシューマー向け製品で展開し、その後、法人向け製品も手がける。

 



(関口 聖)

2011/3/3 14:46