iPhoneなどでもタッチできる、新「ぐるなびタッチ」6月開始


 ぐるなびは、おサイフケータイ非対応のスマートフォンでもタッチできる、新クーポンサービス「ぐるなびタッチ」を6月にも開始する。20日、都内で発表会が開催された。

 ぐるなびでは、2007年9月より、店舗でおサイフケータイをかざすと、来店特典などが入手できる「ぐるなびタッチ」サービスを展開している。今回、同サービスを刷新し、クーポン認証機能などが搭載され、6月より新たに展開される。

 新「ぐるなびタッチ」では、認証機能の搭載により来店数が確認できるようになる。これにより店舗側が来店回数の多いよりロイヤリティの高いユーザーに、より手厚いサービスを提供するといった利用が可能になる。

 ぐるなびの飲食店情報からモバイルクーポンを入手する際、利用者の端末を識別してクーポンが発行される。店舗において「ぐるなびタッチ」の読み取り機に端末をかざすと、ぐるなびのデータベース側で端末の識別情報と店舗情報をひもづけられ、それに応じたクーポンが画面に表示される。店舗側はその顧客が何度目の来店かがわかるため、来店回数などに応じてクーポンが提供できる。

 また、従来のように、パソコンなどでWebサイトのクーポンを印刷して来店する場合にも、利用者のパソコンを識別し、固有のIDを持ったクーポンが発行される。店舗側は固有のIDを入力することで、ぐるなびの店舗側画面でクーポンの利用状況が確認できるというわけだ。

 さらに、飲み会の幹事などが飲食店の予約時にも特典が受けられる。予約完了後、店舗を訪れた際に「ぐるなびタッチ」に携帯電話やスマートフォンをかざすと、ポイントなどの特典が受けられる。これにより、店舗側は予約した団体客のキャンセル減少などに繋げられる。



おサイフケータイ非対応でも利用可能

 新「ぐるなびタッチ」では、ビー・ユー・ジー(BUG)の音声認識技術「スマート・サウンド・タッチ」(SST)を採用したFeliCaリーダーが導入される。このFeliCaリーダーは、おサイフケータイ対応の携帯電話やスマートフォンのみならず、iPhoneなどに代表されるおサイフケータイ非対応のスマートフォンでも認識できる点が特徴となっている。

 FeliCa非対応の端末にSSTアプリをセットし、端末を読取機にかざすと、読取機が音声信号発信機となりビーッと短い音声を発信する。この音声信号をアプリ側が認識し、データ量の小さい情報が送信できる。新「ぐるなびタッチ」では、店舗側の読取機から店舗の固有IDが送信され、アプリ固有の識別番号がひもづけられて、来店回数などがカウントされる。

 ぐるなびの代表取締役社長である久保 征一郎氏によれば、居酒屋などの騒がしい店舗でもあっても音声認識は可能という。また、音声認識後にクーポン情報を画面で確認するため、万が一認識されなければ店舗側でも判断できる。ぐるなびでは、タッチにこだわることで、見せるだけの紙のクーポンに負けない簡単さを求めた。

 なお、新「ぐるなびタッチ」は、SSTを利用した大規模採用事例の第1弾となる。ぐるなびでは、6月までに3000~4000店舗へ新「ぐるなびタッチ」を展開し、さらに導入拡大を図っていく。旧「ぐるなびタッチ」は5000台程度導入されていたという。



クーポン認証でリピーターに手厚いサービスを

滝氏
久保氏

 ぐるなびの創業者で代表取締役会長の滝 久雄氏は、今回の発表が1カ月前に予定されていたが、東日本大震災によって発表を遅らせたとし、見舞いの言葉を述べた。ぐるなび導入店舗では、地震と津波によって約5000店舗が影響を受けており、またその後の原発問題による計画停電に伴って東京都でさらに約5000店舗が影響受けていると説明した。

 ぐるなびでは、被災地へ支援物資を持ち込んだほか、各地から食材を調達できるため、ぐるなび加盟店に対して暫定的な食材供給なども実施しているという。滝氏は、IT技術を活用したぐるなびのサービスではあるが、1000人規模の営業体制を誇るオフラインの動力を活かし、1人20件ずつ、被災地や周辺の加盟店を訪ねているという。

 滝氏は、クーポンサービスについて、「クーポンを利用する側からすればあったほうがいい。経営側からすれば、クーポンの認証ができれば、より深い、きめ細やかなサービスが提供できる」とアピールする一方で、認証のないクーポンのばらまきについては警鐘を鳴らす。

 滝氏は、割引クーポンを乱発することで、外食産業自体が価格競争となり、産業自体の体力が弱体化する点や、経営者にとっても一時的な集客増は見込めても、クーポンなしでは客が呼び込めない状況を作ることを指摘し、「割引クーポンは非常にリスキーな商品」と述べた。

 また、名前こそ出さなかったものの大手企業が展開している割引クーポンマガジンを暗に批判し、「クーポンマガジンは金券でありリスクが高い。値引きの集客力は麻薬のようなもので、次から次へとクーポンに頼ることになる。価格競争になれば店舗は疲弊する」と話した。

 こうした滝氏のクーポンへの懸念を後押しする形で、都内で数店舗のバーを経営する加盟店の社長は、「飲食店を25年やってきて、常連さんたちに支えられてきた。そいういう人たちがいる中でクーポンの乱発は本当に顧客満足に繋がるのか。一時的に売上は上がるが、日本のレストラン文化やホスピタリティが崩れてしまう。私は、2回目、3回目に来店してくれた人にクーポンを出したい。早くぐるなびがやらなければダメ」と語った。


新サービスの利用シーンをぐるなび社員が寸劇で紹介した

 




(津田 啓夢)

2011/4/20 17:58