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シャープ、「IGZO」技術によるモバイル向け液晶を開発・量産へ


 シャープは、「IGZO(アイ・ジー・ゼット・オー)」と呼ばれる酸化物半導体を採用した中小型液晶パネルを開発し、年内にも亀山第2工場で生産を開始を目指すと発表した。

 シャープと半導体エネルギー研究所は、共同で、液晶パネル部の新材料である酸化物半導体「IGZO」を用いた薄膜トランジスタ開発した、年内にも量産し、実用化に乗り出す。IGZOは、一般的なTFT液晶に用いられるアモルファスシリコンに変わる部材となる。

 スマートフォンやタブレット用の中小型液晶ディスプレイは需要が急拡大しており、ガートナーの調査によると、スマートフォン向けパネルで2010年から2011年にかけて1.6倍、タブレット向けで4倍に伸びており、さらに2015年にはスマートフォン向けで4倍、タブレット向けで17倍にも伸びると予想されている。

 IGZOは、インジウム、ガリウムで構成される酸化物による薄膜トランジスタのこと。薄膜トランジスタとは、複数の部材で構成される液晶ディスプレイのパネル部のパーツにあたり、IGZOは電子移動度がアモルファスの20〜50倍程度と移動しやすい特性がある。なお、シャープのCGシリコン技術は電子移動度がさらに100倍と大きい。CGシリコンは300ppi以上の精細な液晶、IGZOはそれ以下での需要を見込んでいる。IGZOの原材料にはレアアースが含まれるが、調達には問題ないとしている。

 従来よりも移動しやすい特性があるため、薄膜トランジスタを小さくでき、小さくなる分だけパネルを通る光の量が多くなる。このため、より少ないバックライトの光量でもこれまで同様に精細な表示が可能で、低消費電力に繋がるとしている。シャープの実験によると、10インチ、フルワイドXGAサイズ液晶で比較した場合、消費電力は1/3削減できたという。

 さらに、既存のアモルファスシリコンの生産工程に若干の改良を加えることで、IGZO液晶の生産ラインに生まれ変わることも特徴となっている。大きな投資をすることなく新技術の液晶パネルが開発できるため、コスト競争力の面でもメリットがあるとしている。

 シャープではまず、亀山第2工場のアモルファス液晶ラインを改良し、IGZOによる中小型液晶を生産する。シャープの中小型の液晶は現在、奈良県天理、三重県多岐の4工場で生産されており、ほぼフル稼動の状態で生産されている。大型液晶パネルを生産している亀山第2工場で中小型の生産ラインができることで、第2工場は大中小の液晶生産に対応し、より柔軟な需要に応えられるようになる。2011年中に量産が開始される予定。需要動向を見て他の工場での展開も検討するとしている。

 21日、都内で新液晶の説明会が大阪本社との中継で開催された。液晶テレビとの生産の配分や、投資関連、IGZOのモバイル機器以外への展開などの質問が飛んだが、いずれも将来的な戦略や、採用企業側の戦略との兼ね合いから明言を避ける形となった。シャープのディスプレイデバイス事業本部 副本部長である迫周司氏は、「他社の同等の液晶と比較した場合、十分にコスト競争力があると思う。(IGZO液晶は)値段よりも従来のアモルファスではできなかったことができる、ということが大きい」などと話した。


 

(津田 啓夢)

2011/4/21 17:46