記事検索
最新ニュースIndex

ソフトバンク決算は増収増益、設備投資2年で1兆円


ソフトバンクの孫氏
ハイライト

 ソフトバンクは、2011年3月期(2010年4月1日〜2011年3月31日)における業績を発表した。

 連結の業績は、売上高が同社初の3兆円を越え、前年度比8.7%増の3兆46億円を記録した。このほか、営業利益は前年度比35.1%増の6291億円6300万円、経常利益は前年度比52.6%増の5204億1400万円、純利益は前年度比96.2%増の1897億1200万円の増収増益となった。

iPhone好調でモバイル事業の好調続く

 ソフトバンクの業績を牽引するのは、好調に推移する移動体通信事業となる。2011年3月期は、売上高が前年度比14.3%増の1兆9445億5100万円、営業利益が前年度比54.2%増の4024億1100万円となった。携帯電話の契約純増数は353万2100件で、純増は主にiPhoneの販売好調によるもの。

 1契約数あたりの平均収入を示すARPUは、4210円となり、前年度より140円増加した。このうちデータARPUは2310円と、前年度から290円増加した。この要因は、主に通信量の多いiPhoneの契約数増加によるもので、さらに、データ通信量の少ない2G携帯電話が2010年3月で終了したこともARPUの上昇を支えることになった。

 端末の販売数は、前年度から110万800台増の1024万2000台。出荷台数は119万9000台増の1001万6000台。販売および出荷は純増数が示す通り、iPhone人気によるもので、このほか通信モジュールについても好調だった。

 なお、販売奨励金(インセンティブ)などに充当される新規顧客獲得手数料は、平均で3万6900円となり、2009年度から3600円減少した。ソフトバンクでは、獲得手数料の減少について、通話機能のない端末などの手数料の安い端末の販売が増加したことによるものとしている。同社は、データ通信端末や通信対応デジタルフォトフレームなどを提供している。

 解約率については、2010年3月期から0.39ポイント低下し、0.98%となった。2G携帯が終了し、大きな解約要因がなくなったことと、割賦販売による端末代金支払いが完了したことなどが影響しているという。ただし、2G携帯サービス終了の影響は買い換え率に影響しており、2009年度から0.31ポイント低下し1.4%となった。

固定通信やインターネット事業は増収

 2011年3月期の固定通信事業は、ソフトバンクモバイルなどのグループ通信会社へのネットワーク提供といった、内部要因に増収となった。売上高は対前年度比2.3%増の3565億6100万円、営業利益は前年度比64.8%の380億600万円を記録した。

 Yahoo!の広告収入などが計上されるインターネット・カルチャー事業は、売上高が前年度比4.7%増の2836億1500万円、営業利益が前年度比10%増の1503億500万円とこちらも増収となった。営業利益の増加には、広告収入の増加に加えてデータセンターを自己保有し、通信費の減少など効率化の成果が出る形となった。

ADSLサービスは減収

 モバイル事業の好調の裏で減収傾向となっているのがブロードバンド・インフラ事業。2011年3月期は、売上高が対前年度比6%減の1900億円5500万円、営業利益が前年度比10.8%減の431億5400万円となった。

 減収となった要因は、ADSLサービスの課金回線数の減少によるもので、営業利益の減少は、「Yahoo!BB 光 with フレッツ」の顧客獲得に伴う販売関連費がふくらんだため。2011年3月期の「Yahoo!BB 光 with フレッツ」の純増数は69万5000件となった。



新周波数の割当にらみ、設備投資額を増加

利益5倍、基地局6倍、契約7割増
2011年度、2012年度の設備投資額は5000億円

 ソフトバンクの代表取締役社長である孫正義氏は、決算説明会の冒頭、東日本大震災について触れて、「通信やインターネットがいかに人々のライフラインになっているのか、あらためて痛感した災害だった」と話し、同社の展開する事業の重要さをあらためて伝えた。

 その一方で、孫氏は「我々のネットワークが十分なものではない」と述べた。ソフトバンクが携帯電話事業を展開して5年、孫氏は2011年度と2012年度、設備投資費として各5000億円、合計1兆円を投じる計画を明らかにした。

 これは、ソフトバンクが切望する700/900MHz帯の周波数割り当てをにらんだ設備投資額とみられる。孫氏は、新たな周波数の割り当てについて、NTTドコモやKDDI(au)が800MHz帯を割り当てられていることを絡め、「まだどうなるかわからず確証はないが、今回こそは真っ先に獲れると考えている」と話した。

 また、「これが獲れなかったら世の中間違っている」などと語気を強め、割り当てられることを信じているなどと語った。なお、2年で1兆円の設備投資は、新周波数帯が獲得できなかった場合、減少する可能性があるという。

 さらに孫氏は、ボーダフォンからモバイル事業を買収してから5年、基地局数を6倍にしたとアピールした。ソフトバンクの基地局数は現在12万2000局あり、Twitterなど通じて寄せられた利用者の要望を受けて今後も増強する姿勢を見せた。同氏は「繋がらないソフトバンクなんて言わせたくない」と話し、設備投資と顧客獲得を強化する方針を示した。孫氏は、「現時点のauやドコモと同等程度には繋がるようになんとしても頑張る」と語っていた。

ウィルコム純増は四半期ベースで4年ぶり

 なお、基地局については、ソフトバンクグループのPHS事業者であるウィルコムの設備との併設を進めており、ビル屋上や電柱など現在、ウィルコムの基地局約2万局にソフトバンクの基地局が併設されているという。併設する基地局は、合計で3万数千カ所にまで拡大していくという。

 このほか、ウィルコム関連では、2011年1月〜3月の第4四半期ベースで4年ぶりの純増となったことをアピール。孫氏は、震災で再建中のウィルコムに逆に助けられたとし、携帯各社の通信網が接続できないなか、ウィルコムが繋がっていたと話した。

孫氏「色が違うだけでどうしてこんなにうれしいんだろう」

 4月28日、アップル製のiPhone 4にホワイトモデルが追加された。昨年6月にiPhone 4が発売されたが、ホワイトモデルについては国内外で延期を繰り返していた。孫氏は、「こだわりの白を出すために1年近く待たされた」としながらも、手にしているホワイトモデルについて「色が違うだけでどうしてこんなにうれしいんだろう」と話した。

 なお、ソフトバンクが提供するiPhoneは、女性ユーザーの比率が拡大しており、50%近くにまで伸びているという。孫氏は、ホワイトモデルの販売開始によって、さらに女性層が拡大すると予測していた。

 さらに、同日発売の「iPad 2」についても、「実質ただで買える。データ通信料も安い。これで買わない人はおかしいのではないか」などと、扇動的ながら得意の演説で新商品をアピールした。



今後の新製品発表会

 ソフトバンクでは、震災に配慮し2011年夏モデルの大規模発表会を自粛することを明らかにしている。今回の震災でもこの姿勢は崩しておらず、今後の発表会の開催有無については「改めて秋に考えたい」などと話した。

アジアに注力するソフトバンク

 このほか孫氏は、注力しているアジア展開についても言及し、日本が停滞ムードの中、アジア各国はGDPが急速に伸びている状況を語った。

 「アジアは成長しまくっている」と語った孫氏は、20年後に世界はアジアの時代になるとし、中国のSNSでソフトバンクが筆頭株主であるrenrenがニューヨーク証券取引所に上場するなどニュースを紹介。ネットで多チャンネルのテレビ番組が楽しめるPPLiveといった出資する各社の名前を出して、大きなポテンシャルを持っているなどと説明した。

 孫氏は、「日本が停滞しても、アジアを含めて国内と思う」と語り、今後もアジアの新興市場へ積極的に投資していく姿勢を見せた。


 



(津田 啓夢)

2011/5/9 20:30