ファーウェイが端末戦略説明会、日本市場では差別化重視へ


ファーウェイの沈氏

 ファーウェイ・ジャパンは24日、同社の端末戦略について紹介する、報道関係者向け説明会を開催した。同社端末営業統括部 統括部長の沈燁(チン ヨウ)氏からプレゼンテーションが行われた。

 今回の説明会について、沈氏は「これまでも日本市場で展開してきたが、エンドユーザーには知られていないと痛感した」と述べ、メッセージを発信する機会を増加し、同社ブランドの構築に注力する方針を示した。

 ファーウェイ本体は、1988年、中国の深センに設立された。1990年代後半から海外展開を開始し、現在では150カ国に進出して従業員は11万人以上に達する。インフラ事業では、無線基地局は150万台以上を出荷し、シェアはエリクソンに次いで世界2位となった。ファーウェイ全体では、インフラが事業の中核だったが、現在再編中とのことで、中でも端末事業は、「クラウド-ネットワーク-デバイス」ソリューションの一端を担う重要な部分と位置付けており、2013年までに世界トップ5の端末メーカーを目指す。

ファーウェイの成り立ち急速な成長
端末ラインナップ。それぞれ構成比は1/3程度だが、携帯電話分野の成長が見込まれている端末事業の成長

 その端末事業では、グローバルで2010年度の売上高が45億ドル(約3686億円)に達し、2011年度は60億ドル(約4915億円)を見込む。著しい成長の背景として、同社では「Smart Device, Simple World」というキーワードを掲げて端末を開発。供給する端末は、データ端末やモバイルWi-Fiルーター、ハンドセット(一般的な携帯電話やスマートフォン)、デジタルフォトフレームなどの家庭向け端末といったラインナップを揃え、主にデータ通信を行う端末が主軸となる。スマートフォンは、データ通信を活用するデバイスの1つとされ、たとえば中国で発売した「C8500」というAndroid端末は1週間で3万台販売され、これまでに100万台の出荷を達成した。米国では「M860」という端末が1週間で4万台、3カ月で100万台出荷となった。日本でPocket WiFiとして販売されている製品は、世界各国で提供されている。

 こうした端末供給の上で、同社の強みの1つが通信事業者ごとのカスタマイズ対応だ。1カ月で1000以上のバリエーションを提供したこともあるとのことで、ロゴマークの変更といったシンプルなものから、深いレベルのものまで通信事業者ごとに異なるニーズがあり、そこに対応できる能力は、他社が追随しづらい点と言える。また沈氏は、ゼロインストール(装着時にパソコンへユーティリティソフトのインストールが始まる機能)対応のデータ通信端末、デジタルフォトフレームなどを例に、「当社が提供する製品は、市場に類似品がなかった」と述べ、新規市場へ積極的に取り組む点が同社の強みとする。さらに、インフラ事業が中核であることから通信関連のノウハウが蓄積されており、通信事業者やエンドユーザーのニーズを把握していることを元にしたスピーディな開発体制、自社で製作した試作品と世界各地でニーズにあわせて製品化する開発力、各通信事業者との密接な関係といった点もアドバンテージという。

「日本で品質をクリアすれば世界で売れる」

 成熟市場である日本において、ファーウェイは2005年11月に日本法人を設立した。イー・モバイルへの基地局提供を皮切りに、端末供給を開始すると、現在ではモバイルWi-Fiルーターやデジタルフォトフレーム、スマートフォンなど、携帯4社全てに端末を供給する。

 データ通信市場では、日本国内で多くの端末を提供する同社だが、さらなるシェア拡大については、具体的な数値目標は公表されなかったこともあり、さほど注力する印象は与えていない。その一方で、日本には、欧米やインドなどに続き、研究開発センターが設立されるなど、ファーウェイにとって重要な市場としている。この点について、沈氏は、「日本市場で品質をクリアできれば、世界のどこに持って行っても販売できる。そういったターゲットを設定した上で商品を構成している」と述べる。これは4年前、イー・モバイル向けに提供した商品の1つで問題が起きた、という経験が元になっている。この商品は、日本投入以前、海外市場で既に販売されていたもので、ファーウェイ側は自信を持って提供したが、日本では厳しい評価を受けた。これが「苦い経験だった」とする沈氏だが、品質を改良したところ、その後、海外でも問題なく販売できた。こうした経験が「日本で品質をクリアすれば……」と同社が考えるきっかけになったのだという。

日本での沿革米国や中国での事例
同社の強み今後の戦略

 こうした状況を踏まえ、グローバルでは、価格を重視したモデルに注力する一方、日本では「差別化が重要」(沈氏)としており、日本ならではのモデルの開発にも意欲を示す。沈氏は「日本で最初に投入したデータ端末は、浅いレベルのカスタマイズで、海外モデルと同等だった。しかしPocket WiFiはソフトウェアのユーザーインターフェイスやハードウェアなど、深いレベルまでカスタマイズを行った。日本向けに製品を開発したことになるが、その段階がレベルアップしてきており、製品の企画自体が日本で発生することにもなってきている。そのあたりの取り組みがだんだんスマートフォンというカテゴリーにも入ってくるのではないか。時間はかかるかもしれないが、いずれやっていきたい」と語った。ただし、ワンセグやFeliCaといった具体的な機能のサポートについては明言を避けた。昨年発売された「IDEOS」での経験でも、差別化が今後の課題として明確になったとして、今後に向けて複数の機種の開発を進めるとする。なお、4月にはソフトバンクモバイルから「IDEOS X3」の発売中止が案内されたが、この点については「コメントできる立場ではないが、商品企画での結論として出てきたもの」と述べるに留まった。

 囲み取材に応えた沈氏は、ソフトウェアプラットフォームとして、Androidが中心になると回答。1つのプラットフォームで、さまざまな形状のデバイスが提供でき、同じユーザーインターフェイス、使い勝手が提供できるのはメリットの1つと指摘した。ただ、Androidだけに限定するものではなく、グローバル市場では、地域ごとの取り組みが必要とした。

 このほか、日本国内で、ファーウェイ・ジャパンが直接関知しない形で同社端末が販売されていることについてブランディングへの影響を質問されると、「ファーウェイ全体として、意図した販売方法ではなかった。自分たちなりのブランディングで販売する上で、なんというか、管理すべきかと考えている。今後については引き続き検討する」とコメントした。

 このほかLTE端末について、沈氏は「ファーウェイとしてLTEには多く投資してきた。ぜひ攻めていきたい領域。具体的な時期は申し上げられないが、日本でも早い段階で商品をラインナップしていきたい」と今後の展開を示した。

海外端末を展示

 会場には、同社が供給する日本向け端末のほか、海外で販売されている端末も展示された。

 展示されていたのは、タブレットデバイスの「IDEOS S7 Slim」、Android 2.2搭載のU9000、中国で最も売れたという端末「C8500」、中国やオーストラリアで販売されているAndroid 2.2端末「IDEOS X5」、オリジナルのユーザーインターフェイス「emotion UI」を採用し、中国で最も売れているというチャイナモバイル向け端末「C8500」、QWERTYキー搭載でEUやアジア太平洋の一部で販売されている「U8300」となる。

 Android 2.2搭載の機種は、Android 2.3へのバージョンアップが予定されているとのこと。「X5」については、emotion UIをもとに、3Dで表示するようにしたオリジナルUIを搭載するモデルもあるという。

フォトフレームソフトバンク向け端末ドコモ向け端末au向け端末。ファーウェイのロゴマークも入るという
イー・モバイル向け端末イー・モバイル向け端末海外モデルIDEOS S7 Slim
IDEOS S7 SlimIDEOS S7 SlimIDEOS S7 SlimIDEOS S7 Slim
U9000U9000U9000U9000
U9000IDEOS X5IDEOS X5IDEOS X5
IDEOS X5IDEOS X5IDEOS X5C8500
C8500C8500C8500、オリジナルUIを搭載横スクロールに加え、縦スクロールもできるホームアプリ。斜めに動かしたところ
音楽ウィジェットカレンダーウィジェットU8300U8300
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(関口 聖)

2011/5/24 17:27