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米Apple、「iOS 5」と「iCloud」を発表


 米Appleは北米時間6月6日(日本時間6月7日未明)、同社が主催するiOSやMac OS Xの開発者向けイベント「WWDC」の基調講演で、iOSの新バージョン「iOS 5」と新サービスの「iCloud」、Mac OS Xの新バージョン「Lion」を発表した。iPhoneの新モデルなど、ハードウェアの新製品については発表されていない。

通知機能などが強化された「iOS 5」

 新バージョンとなるiOS 5は、今回初めてアナウンスされるもので、一般リリースは今秋とされている。iPhone 3GSとiPhone 4、iPad、iPad 2、第3世代と第4世代のiPod touchに対応する。

 Appleは、iOS 5では200以上の新機能が搭載されるとアナウンスしているが、現時点ではそのうちのいくつかが「sneak peek(ちら見せ)」として公開している。

 「Notification Center」は通知機能の強化版となる。従来のiOSでは、SMSやそのほかのアプリによるプッシュ型の通知があったとき、画面中央に通知ウィンドウが表示される形式だったが、この形式が改められ、画面上部に一時的に通知バーが表示されるようになった。さらに画面上部に常時表示されているステータスバーから「Notification Center」と呼ばれる画面を呼び出せるようになった。これはAndroidの通知パネルに類似する機能で、新着通知がリストアップされて表示される。各通知はタップすると各アプリが立ち上がる。さらに、このNotification Centerに株価と天気(いずれも従来iPhoneでは単体アプリとして提供)を表示させる機能も公開されている。

 ロック解除画面でも、こうした新着通知のリストが表示されるようになった。これらの新着通知をスワイプすると、そのまま画面ロックが解除され、新着を通知しているアプリが起動するようにもなっている。

 「iMessage」は、全iOSユーザーに提供される新しいテキストメッセージサービスとなる。テキストだけでなく、写真やビデオ、位置情報、連絡先などのファイルの転送も可能となっている。詳細は発表されていないが、公開されたアイコンやUIは、従来からiPhone向けiOSで提供されていたSMS/MMSアプリと同等となっているので、このアプリに統合されるものと見られる。iPad版では2ペイン表示にも対応している。

 「Newsstand」は、新聞や雑誌の配信システム。定期購読している新聞や雑誌が自動的に更新されるというもの。公開されているUIでは、コンテンツのリストは専用アプリを立ち上げて表示させるのではなく、ホーム画面上のフォルダのような本棚ウィンドウに各新聞や雑誌が表示され、そこからストア画面も呼び出せるようになっている。

 「Reminders」は、いわゆるTo-Doリスト。パソコンやクラウドのTo-Doリストとも連携できる。通常のTo-Doリストでは、時刻で通知タイミングを指定していたが、Remindersでは位置情報を利用し、特定の場所に到着したとき、あるいは出発するときといったタイミングでの通知が可能になっている。

 TwitterもiOS 5には組み込まれる。アカウントを設定することで、SafariやPhotos、YouTube、Mapsといったアプリから直接、ファイルや位置情報を添付してTweetを投稿できるようになっている。

 従来から搭載されている「Camera」(日本語版では「カメラ」)は、側面の音量ボタンをシャッターボタンとして使えるようになった。また、ロック解除画面から直接起動できるようになり、タッチ操作によるフォーカスと露出の固定やグリッドラインの表示、ピンチ操作によるズームなどの新機能も追加される。

 従来から搭載されている写真閲覧アプリ「Photos」(日本語版では「写真」)は、切り抜き機能や自動色調・階調補正、赤目修正機能といった簡易レタッチ機能が追加されている。また、iCloudとの連携機能も搭載される。

 ブラウザの「Safari」も強化される。パソコン版Safariにも搭載されている本文切り抜き機能「Reader」(日本語版では「リーダー」)が搭載され、読みかけのページを「Reading List」として保存できるようになった。Reading ListはiCloudを使って複数のデバイス間で同期する。また、iPad版では複数ページ表示がタブ表示によって管理されるようになる。

 従来のiOSデバイスは必ず同期先となるパソコンが必要だったが、iOS 5ではiCloudを利用することで、パソコンなしで利用できるようになる。

 このほかにも、「Mail」のリッチテキスト対応、「Calendar」の表示形式追加、「Game Center」のプロフィール写真やゲームアプリ購入、無線LAN経由でのパソコンとの同期、マルチタッチジェスチャーによるアプリ切り替え(iPadのみ)、AirPlay経由でのミラーリング表示(iPad 2のみ)、障がい者向け機能強化などが施されている。

新クラウドサービスの「iCloud」

 新サービスとなる「iCloud」は、写真や音楽など各種ファイルを格納するオンラインサービスで、利用者のデバイスに自動でファイルがプッシュされる仕組みを搭載している。こちらも今秋登場予定としているが、一部機能については、ベータ版としてすでに提供が開始されている。iOS 5利用者には無料で提供され、5GBのオンラインストレージ領域が与えられる(音楽やアプリなど、iTunes上に元から存在するファイルはストレージ容量を消費しない)。

 これはパソコン上のiTunesの代わりにオンラインサービスを同期先とするような感覚に近く、オンラインストレージ上のコンテンツをストリーミングで再生するような機能はアナウンスされていない。

 まず「iTunes in the Cloud」として、いずれかのiTunesで新たに購入した音楽を、複数のiOSデバイスやパソコンで自動同期させる機能が追加される。こちらの機能はベータ版として提供が開始されているというが、筆者が試したところ、日本版iOS機器(iOS 4.3.3/iPhone 4)のiTunesアプリで「購入したもの」という操作は可能となっているものの、実際に購入済みコンテンツのリストを見たり同期する方法については確認できなかった。

 オプションとして、iTunesで購入したのではない、CDからリッピングした音楽などについても自動認識し、もしiTunes上に存在するタイトルならば、256kbpsのAACをダウンロードできるという機能も提供される。こちらは年額24.99ドルの有料サービスで、利用量に制限はない。iTunes上に存在しない、あるいは認識できなかったタイトルは、自分でアップロードすることもできる。

 「Photo Stream」は、写真を同期する機能。たとえばiOS 5搭載のiPhoneで撮影した写真を自動でiCloudにアップロードし、ほかのデバイスはiCloudにアップロードされた新着写真を自動でダウンロードし、常に同期させることができる。逆にカメラからパソコンに取り込んだ写真を、パソコンからiCloudにアップロードし、iOSデバイスに自動ダウンロードさせることもできる。アップルの小型セットトップボックス「Apple TV」でも写真を閲覧できる。

 パソコンに同期された写真は、すべて保管されるが、iOSデバイスに同期された写真は、「Photo Stream」として最新の1000枚までが表示され、必要な写真だけを選んで保存する。iCloud上では、新着写真は最大30日保管される。なお、Photo Streamの紹介ページでは、「Wi-Fiネットワーク経由で写真のコピーを送る」と書かれており、3G経由での同期が可能かどうかは不明。

 さらにiTunesで購入したアプリや電子書籍も、ほかのデバイスで購入したものを自動同期させる機能が追加される。こちらの機能もベータ版として提供が開始されている。すでにiOS機器の設定メニュー内「Store」の項目には、「自動ダウンロード」という設定が追加されていて、App Storeでアップデートを検索するとき、ほかのデバイスでダウンロードした項目を確認できるようになっている。

 このほか、「Documents」として、ユーザーが作成したiWorksファイルをiCloudに格納し、同期させることが可能となる。Appleでは、AppleのアプリはシームレスにiCloudと統合し、ほかの開発者にもiCloudと連携するツールを提供するとしている。

 従来はパソコンのiTunesでしかできなかったiOSデバイスのバックアップも、iCloudで可能になる。Wi-Fi経由で可能、とアナウンスされていて、Apple IDを入力するだけでバックアップからの復元も行なえる。バックアップは毎日行なわれるが、変更部分のみのバックアップとなり、時間はかからないとしている。バックアップできる内容は、購入した音楽、アプリ、電子書籍、写真やビデオ、端末設定、各アプリのデータ、ホーム画面の編成、メッセージ、着信音となっている。

 さらにメールやカレンダー、連絡先もプッシュで同期できるようになる。こちらは発表内容から、すでに現在「MobileMe」として提供中のサービスと同等とみられるが、違いやMobileMeの有料利用者への対応などについてはとくにアナウンスされていない。

 このほかにもWWDCにおいて、AppleはMac OS Xの最新バージョンであるLionの発売をアナウンスしている。こちらは7月発売予定で、価格は2600円。iOSやiCloudとの連携機能が強化されているなどのアナウンスはとくにされていない。




(白根 雅彦)

2011/6/7 07:19