KDDI、個人の節電活動をサポートする新サービス


 KDDIは、家庭での節電に関する取り組みをサポートする新サービス「KDDI 節電ひろば」を6月16日より提供する。基本的にauユーザー向けのサービスとなる。

 「KDDI 節電ひろば」は、家庭での節電活動をサポートする新サービス。節電への理解を深めるための情報発信を主眼においたポータルサイト(携帯/スマートフォン/パソコン向け)とスマートフォン向けアプリ、活動を継続するための節電チャレンジプロジェクトで構成される。

 「消費電力の見える化」「節電の継続(インセンティブ)」という2つが大きな柱で、ポータルサイトとアプリで「見える化」を実現し、「節電チャレンジプロジェクト」では節電活動に応じてauポイントを付与することで、ユーザーのやる気に繋げる。

 

ポータルサイトとアプリ

 ポータルサイトでは、節電にからめたさまざまなコンテンツが用意される。「節電なう」と題するコンテンツは、その時々の電力使用量などから節電方法を提案するというもの。「節電レッスン」は、電力に関する基礎知識、節電方法、節電グッズを提供する。また「節電家計簿」は節電内容を記録できる。このほか、節電の影響で体調に悪影響を及ぼす可能性もあるため、ヘルスケア情報も提供される。

 Androidアプリ版は、当初IS03、IS04、IS05で利用でき、今後順次拡大する。「節電家計簿」「節電電卓」といった機能が利用できるほか、その内容をTwitterへ投稿できる。

スマートフォンで見たサイトタブレットで見たサイト
アプリ節電家計簿に入力した内容をグラフ表示

 

節電チャレンジプロジェクト

分電盤に付ける電流センサー(右上)、親機(中央)、単3電池3本で約1年駆動する子機(左上)

 一方、7月からは「節電チャレンジプロジェクト」も実施される。これは、「リアルタイムチェック1年コース」(200世帯が参加、うち100世帯は公募)、7月~9月に行う「月イチチェック3カ月コース」(1万人が参加)の2つで構成される。どちらも節電量に応じてauポイントが付与されるというもので、継続的な節電活動を引き出すのが狙い。

 「リアルタイムチェック1年コース」では、分電盤に電流センサーを設置して、1時間ごとにリアルタイム使用量を確認できるようにする。利用状況にあわせて節電に関するアドバイスも受けられる。電流センサーで分電盤のケーブルを挟むと、挟んだ部分にある磁石を使って電流を測定し、子機から特定小電力無線(950MHz帯)経由で親機に情報が送信され、親機からブロードバンド回線経由でサーバーに送出される。親機に繋がる回線は、KDDI以外の回線でも利用できる。Android向けの閲覧アプリも用意され、毎時の電力使用量が表示されるほか、ウィジェットでは10分ごとの状況が確認できる。東京電力のサービス「TEPORE(テポーレ)」を利用して、毎月の電力使用量を表示し、前年同月と比べることもできる。

 同コースは、7月に登録するとauポイント200円分が付与されるほか、8月と9月は、センサー情報を元に、ピークシフト(電力需要の大きい9時~20時の消費を下げる活動)の度合いに応じたポイント、TEPORE情報を元にしたポイントが付与される。

リアルタイムチェック1年コースの仕組みリアルタイムチェック1年コースのポイント付与の流れ

 センサー情報を元にしたポイントは、前年同月より15%以上削減で1日あたり20ポイント、10%以上~15%未満で15ポイント、5%以上~10%未満で10ポイント、5%未満は0ポイントで、月間最大500ポイント付与される。毎日20%であれば最大600~630ポイントに達する可能性もあり、KDDIでは、最大ポイント付与数を500ポイントにするか、あるいは拡大するか検討する。またTEPORE情報を元にしたポイントは月間で測定され、15%以上削減で500ポイント、10%以上~15%未満で200ポイント、5%以上~15%未満で100ポイント、5%未満で0ポイントの付与となる。

 一方「月イチチェック3カ月コース」は、東京電力の「TEPORE」情報を元にしたポイントと、節電活動を宣言して達成することで得られる「節電ポイント」が付与される。「TEPORE」情報を元にした場合、前年同月比のポイントは、「リアルタイムチェック1年コース」と同じレートで最大500ポイント付与される。また、世帯の人数や居住形態(マンションや戸建など)からグループ分けして、自分が属するグループの平均電力使用量と比べ、平均を下回る(電力を削減している)と、ポイントが付与される。グループ分けによるポイントレートは、15%以上で300ポイント、10%以上~15%未満で150ポイント、5%以上~10%未満で100ポイントとなる。宣言ポイントは、毎週の最初に日に「今週はこの節電活動を行う」と複数の案に対して宣言しておき、1つでも実行すれば1週につき50ポイント(月間4週で200ポイント)が付与される。

月イチチェック3カ月コースの概要月イチチェック3カ月コースのポイント付与の流れ

 

CSRの一環として提供

KDDIの森田氏

 今回の「節電ひろば」は、運営費や電流センサーなどのコストで年間1億円弱かかると見られているが、KDDIとしてはあくまでCSR(Coporate Social Responsibility、企業の社会的活動)の一環として位置付け、収益化ははからない。

 国が5月13日に発表した資料によれば、東京電力管内における今夏の想定電力需要は6000万kWながら、供給力の見通しは5380万kWに留まり、10%以上の電力抑制が求められる。このため家庭でも15%の節電が必要とされる。電力の用途を見ると、産業用が1700万kW、業務用が2500万kW、家庭用が1800kWで、家庭での節電効果は電力需要全体にも大きな影響がある。そこでKDDIでも、家庭での節電を重視したサービスを今回提供することになった。

 同社では、「やりがいのある節電」「やる気の続く節電」「やりやすい節電」の3つを掲げ、節電効果の視覚化、auポイントの付与で、継続できる節電の実現を目指す。

今夏の電力状況ジャンル別の消費電力
家庭の電力消費KDDIでは3つのポイントを重視

 今回は、東京電力管内をターゲットにした機能が提供されるが、その他の地域については、今夏については提供が難しいとして、中期的な目標とされている。法人向けについても、今回の取り組みで得られたノウハウから活用できるものがあるか、検証したい考え。

 「今は節電に注目が集まっているが、以前からの取り組みであるCO2削減にもこれらの取り組みが役立つ」(KDDI新規ビジネス推進本部 ビジネス統括部長 森田 康裕氏)として、今後もこうしたサービスの開発・提供に取り組む方針を示し、「節電・エコプラットフォーム」として、分電盤だけではなく家電や電気自動車の情報を利用したり、テレビや家電そのもので表示したりできるようにする。また、各種ポイントや国内クレジットとの連携も検討するという。

 

(関口 聖)

2011/6/13 17:08