無線電波で電池レス通信、ルネサスが近距離無線技術を開発


 ルネサス エレクトロニクスは、電池レスでBlutoothや無線LAN対応機器にデータを送信できる近距離無線技術を開発した。

 発表された新技術は、Bluetoothや無線LAN対応機器の送受信でやりとりされる電波の信号とノイズの比(S/N比)を変更することで、送信されたセンサー情報をBluetoothや無線LAN機器で受信できる近距離無線技術。通信距離は1m弱。送信側と受信側、1:1での通信を実現する技術で、データ転送量はごくわずかとしている。

 この技術は、無線LANや携帯電話など、エネルギー強度の高い無線電波を自動的に探索して電気エネルギーに変換できる。つまり、身の回りの環境にある無線電波のエネルギーを集め、それを電気エネルギーに変えて電池レスでの通信を実現する。通常、Bluetoothや無線LANは送信部で10数mWの電力を消費するが、新技術は数μWと電力消費が非常に小さいという特徴がある。

 ルネサスでは、性能評価チップとアンテナを搭載した評価ボードを開発。送信時の電力わずか数μWで温度や湿度の物理情報の送信に成功した。ルネサスでは、この技術を使えば、Bluetoothや無線LANに対応したスマートフォンにソフトウェアをインストールするだけで電池レスの送信機から情報が通知できるとしている。

 たとえば、電池レスの電卓をパソコンに近づけると、計算結果をパソコン側にコピー&ペーストしたり、ヘルスケア機器の歩数計送信などに活用できるという。将来的には、赤ん坊のおでこなどに絆創膏などの形で温度センサーと共に実装すれば、スマートフォンなどでの体温監視などにも利用できるとしている。

 

(津田 啓夢)

2011/6/14 15:41