ドコモ、名古屋・岐阜で大ゾーン基地局を運用開始


 NTTドコモは、大規模災害時に多くの基地局が利用できなくなることへの備えとして導入する「大ゾーン方式」の基地局を名古屋市と岐阜市の2カ所に設置した。全国初の設置となる。

 「大ゾーン方式」は、その名の通り、1つの基地局でカバーするエリアを従来より拡大した基地局のこと。主に都市部で設置され、広域停電などで通常の基地局の多くが利用できなくなった場合、広範囲で通信が途絶えてしまうような事態を避けるため運用される。津波による被害を受けた地域を中心に、東日本大震災で初めて運用され、今後の災害対策の一環として、全国100カ所で導入されることになっているが、まずは東南海地震への対策を優先するため、名古屋市、岐阜市に設置されることになった。

 通常、都市部にある基地局がカバーする範囲は半径数百m程度で、ある方向のみ、あるいは2方向をカバーする形が多い。一方、大ゾーン基地局は、通常の10倍の半径という半径約7kmを360度に向けてカバーする。耐震性の高いビル、鉄塔に設置され、無停電化が施されるとともに、伝送路も2つ設けられ、信頼度向上が図られている。音声通話の同時接続数は1000~2000程度のとのこと。

 今回設置されたものは、8月下旬に免許を受け、既に利用可能な状態になる。動作させる基準は明示されていないが、大規模災害発生時に、広い範囲で携帯電話が使えないなどの状況になれば、被災状況を踏まえてドコモ内の現地災害対策本部長の判断により、運用が開始されるとのこと。

 ドコモでは2011年度内で全国103カ所で展開する予定で、首都圏直下型地震や東南海地震への備えとして東京5カ所、東海10カ所の設置が優先され、10月中に設置される予定。

 




(関口 聖)

2011/9/29 17:09