行政刷新会議の仕分け、周波数オークションや電波利用料で方向性


 21日、政府の行政刷新会議による提言型政策仕分けが行われ、同日午前には周波数オークションと電波利用料について議論が行われた。

 電波行政の在り方として議論された周波数の割当では、「3.9Gから周波数オークションを導入すべき」「オークション収入は一般財源とすべき」という方向性が打ち出された。周波数オークションについては、今年3月から総務省で議論が進められてきたが、11月14日に報告書案が発表され、現在パブリックコメントを受け付けている。報告書案では第4世代(4G)向けの3.4GHz~3.6GHzにおいて、2015年頃に実施されるといった想定となっている。21日の会合では、民主党の藤本 祐司参議院議員がとりまとめ役となった。

 資料によると、現在の方針に対して「プラチナバンド(700MHz帯/900MHz帯)、3.9世代から即時導入すべき」「オークション収入を特定財源にする理由はない」などの意見が出され、3.9Gから周波数オークションを導入して、一般財源化すべきとされている。なお、現在、総務省では3.9G向けとされる700MHz帯および900MHz帯の割り当てに向けて準備を進めており、10月には900MHz帯の割当に向けた指針案を公表している。

 今回の仕分けでは、総務省側はWi-Fiオフロードや小ゾーン化など携帯電話事業者の施策は行われているものの、限界に近づきつつあり、早期の割当が必要と説明。これに対して、仙石由人衆院議員(民主党政策調査会長代行)は「早期の割当はその通りだが、透明性の高い入札制が諸外国で採用されている。現在、総務省が割当先を決めているという憶測が流れており不健全だと見ている。だからこそ精力的に作業すればオークション制度は簡単にできる。国会に説明すれば夏まで待たなくとも実施できるのではないか。できない理由を探すよりできる理由を探したほうが国民にとっても分かりやすいのではないか」と指摘した。

 一方、電波利用料については、これまで不法電波の監視、地上デジタル放送導入向けた周波数変更・終了対策などで用いられてきた。その多くは携帯電話からの収入となっているが、提言内容は「将来的な一般財源化を含め、使途を拡大する方向で検討すべき」となった。評価としては、非効率な支出の精査や削減、ほぼ全ての国民が携帯電話を利用する以上は一般財源化すべき、といった意見が挙げられている。また、電波監視や災害対策を施したシステムの構築など、電波に関する用途に対する配慮を行う必要性を指摘する意見があり、そうした本来の目的や電波に関する用途以外の収入は、一般財源化すべきとしている。

(関口 聖)

2011/11/21 22:00