Android向けアプリ配信マーケット「qiip」、29日スタート


 韓国のSKプラネットは、Android向けのアプリ配信マーケット「qiip」(キップ)を11月29日より開始する。28日、都内で会見が開催された。

 SKプラネットは、韓国の携帯電話会社であるSK Telecom傘下の事業会社。韓国で「T store」と呼ばれるアプリ配信マーケットを提供しているほか、韓国最大のSNS「CYWORLD」(サイワールド)などを展開している。「qiip」は、「T store」のグローバル進出ブランドとなり、「T store」の世界展開の足がかりとして、日本市場向けにアプリ配信マーケットがスタートする。

 韓国では、スマートフォンを中心としたタッチスクリーン型のモバイル端末が普及している。「T store」は、Androidアプリ向けのコンテンツ配信マーケットとして、19万以上のアプリが提供されており、累計の加入者数は1000万人を越える。1日あたり300万人が利用しており、毎月5000個のアプリが登録されているという。

 グローバル版となる「qiip」は、提供される各地域にローカライズされて提供され、「T store」の人気ゲームが日本語化されるほか、個人情報の取り扱いや青少年向けの規制なども提供各地のルールに則して展開される。日本の「qiip」では、サービス開始当初に約2000件のアプリが用意され、半年後には4000件のアプリが配信される。NTTドコモおよびauのAndroid端末に対応する。

 配信されるコンテンツは、無料のものから有料のものまで取りそろえられており、アプリは専門チームがウイルスなどの安全性をチェックした上で公開される。日本のコンテンツ提供者も参加可能で、オープン型の配信マーケットとなるため、個人の開発者のアプリも配信される。提携関係にあるグリー(GREE)やNHNなどからもゲームが提供される。

 課金は、qiipキャッシュと呼ばれる電子マネーで行う。電子マネーのチャージは、クレジット決済のほかに楽天、auかんたん決済、WebMoneyなどをサポートする。日本オフィスのマネージャーであるチェ・ウソン氏によると、NTTドコモのキャリア決済についても早期に取り入れる予定という。

 購入したアプリは、1つのIDで最大5台まで利用可能。複数台でのアプリ利用や、機種変更、キャリアを乗り換えた際などに活用できる。「qiip」のアプリは、Webサイトからダウンロードできるほか、NHNやKDDIの各サイトからの誘導も図られる。GREEは広告ネットワークを通じて誘導する。



SKプラネットとGREEが相互協力、コンテンツ流通促進

SKプラネットのソ氏(左)とグリーの小林氏(右)

 SKプラネットの代表取締役社長のソ・ジンウ氏は、スマートフォンに代表される「スマートデバイス」の登場により、キャリアとコンテンツプロバイダーなどの事業の境界がなくなったと話し、「全ての事業者が競争できる環境になった」と語った。また、急拡大するスマートフォンにより、トラフィックも大きくなる一方で、それが携帯電話事業者の収入につながっていない点を指摘し、増大するデータトラフィックを収益化するモデルが必要とした。SK TelecomがSKプラネットを事業会社化したのも、キャリアの新たな収益源を構築する意図が見える。

 ソ氏はこのほか、「SKプラネットの世界進出のためには日本市場が非常に重要。グローバルで勝つために日本と韓国で成功しなければならない。GREEは、SKプラネットが日本進出する際の最初のパートナーになってくれた。初恋の相手を忘れないように、我々もGREEを忘れない。GREEの事業にも積極的に協力していく」と話した。海外展開を強めるGREEは、韓国市場において、SKプラネットの「T store」でコンテンツを配信していく方針だ。

 ゲストとして登壇したグリーの事業推進本部 国際事業開発部 部長の小林大祐氏は、韓国市場について「スマートフォンにおいて現在、世界最大の市場。人口の40%が利用しており、ゲーム好きが非常に多い。パソコンのネットゲームや課金ゲームも盛んでGREEと親和性が高い。2012年よりSKプラネットの流通網を使って、GREEとOpenFeintのブランドを展開する」と話した。


 

(津田 啓夢)

2011/11/28 18:15