第1回「ケータイ Watch Meeting」開催、AQUOS PHONEで盛り上がる


 12月13日、都内で第1回の読者参加イベント「ケータイ Watch Meeting」が開催された。

 「ケータイ Watch Meeting」は、本誌を中心に多方面で活躍するライターや、メーカーの商品企画担当者らが登壇し、話題の製品の解説はもとより、直接担当者らに疑問が投げかけられる読者参加型イベント。第1回目となる今回は、NTTドコモ、シャープのAndroid 搭載スマートフォン「AQUOS PHONE」について、こだわりのポイントなどが語られた。

 シャープは、国内の携帯電話メーカーではいちはやくAndroidに着手し、米国にスタッフを派遣するなど積極的にスマートフォンの端末開発を行っている。シャープの通信システム事業本部の河内厳氏は、「米国から出てくる新技術には目を見張るものがある。とくにAndroidの商品を作るにはかかせない」とその理由を説明し、「シャープでは米サンノゼにマーケティング拠点を作り、技術情報やシリコンバレーの表と裏の情報をリアルタイムで入手している。新しい技術をいち早く投入するのが商品性を上げる早道、その成果はこれからさらに出てくると思う」と話した。


河内氏木戸氏

 また河内氏は、Android 4.0(開発コード名:Ice Cream Sandwich)について聞かれると、「ソフトバンクの『104SH』をできるだけ早く提供したい。国内メーカーでは一番最初に、Ice Cream Sandwichが溶けないうちに出したい」などと語っていた。

 “液晶のシャープ”とも呼ばれるシャープは、テレビブランド「AQUOS」を筆頭にモバイル向けにもこだわりの液晶ディスプレイを投入している。「AQUOS PHONE」というブランドについて河内氏は「テレビの場合は映像をきれいに、というところに集約されるが、モバイル環境ではそれだけでは難しい」と話し、屋外でいかに視認性を高めるか、画像処理をしやすくするかといったモバイルならではの工夫が必須であるとした。

 また最近、ディスプレイの大型化に伴って、周りから表示した内容をのぞかれる危険性も増してきた。司会進行を務めた篠崎ゆき氏が「ついついのぞいちゃいますよね」と話すと会場の参加者から思わず笑いがこぼれた。河内氏は「スマートフォンの弊害の1つ。画面が大きくなると、のぞき見防止シールも見にくくなり、タッチの感度も気になる。シャープでは以前からベールビューという形で、のぞき見防止機能を搭載している。細かいことだが、液晶の技術でしっかり解決していきたい」と述べた。


篠崎ゆき氏と本誌湯野法林氏

 シャープといえば「写メール」の初号期を送り出したメーカーでもある。シャープ 通信システム事業本部の木戸貴之氏は2011年冬モデルについて、「今回は光学式の手ぶれ補正を用意した。実は、我々もこんなに効果があるとは思っていなかったというのが正直なところ(笑)。相当ふるえていても補正できる」と語った。今回のイベントでは、この光学手ぶれ補正の効果がわかるデモ機が展示され、参加者の注目を集めていた。光学手ぶれ補正ONとOFFでは、ぱっと見てわかるほど効果に違いがあった。

 シャープの河内氏はデュアルコアCPUについて説明する中で、「デュアルコアCPUはただ載せるだけではうまくいかない」と話した。ブラウザでの表示などには複数の処理が実行され、うまくチューニングしなければ「サクサク感」「ぬるぬる感」には到達しないという。河内氏は「ハードウェアの能力を活かしきることが重要だと思う」と語っていた。

 このほか、ライターの法林岳之氏は「スマートフォンのタッチがストレスになることも。スマートフォンに変えたとたんに、メールの返信率や返信スピードが下がり、コミュニケーションが少なくなるなんてこともある(笑)。そこにテンキー搭載Android端末」と話すと、参加者が大きく頷く場面も見られた。

 シャープの木戸氏も、「爪の長い女性は、キーを親指の横で押す。あの入力方法ではフリック操作は難しい。やはりテンキーが必要だ」と語り、河内氏は「そもそもAndroidを作った米国の人たちはテンキーについて考えていない。細かい使い勝手を見直したことが我々のノウハウになり、強みが生きる商品になった」などと述べた。

 AndroidはオープンなOSではあるが、シャープのAndroidは日本らしい細やかな気配りが感じられるものとなっている。ソフトウェアについて説明した木戸氏は、「Androidなのでアプリがたくさん出てくることはわかっていた。我々はシャープならではの細かい部分にとにかくこだわった。設定メニューであるとかステータスバーであるとか、気づいてもらえないかもしれないが、簡易留守録機能をマナーモードと連携させるなど、携帯電話で当たり前にできたことを取り入れていった」と語った。法林氏は「勘どころがよく、実際うまく使われていると思う。Wi-Fiセットアップや画像の編集など携帯電話のノウハウがかなり採用されている」と話していた。



 メールの送信予約機能やDTCP-IPの対応、そして省電力技術である「エコ技」などにも言及された。河内氏は、Android端末が画面が消えていても通信したり、CPUを動かしたりしていることを説明し、「アプリを停止させるのではなく、画面オフで通信を止める技術を開発した。アプリを起動したまま、CPUの動作も制御できる。技術的にはかなり難易度が高かった」と語った。木戸氏も「通常モードでも電池が持つようになっており、並の通常ではない(笑)」と話した。

 このほか、トークセッションの最後には、本誌編集長の湯野康隆がシャープの担当者らに「WiMAXやLTEもやりますよね?」と聞くと、河内氏は「LTEもWiMAXもすばらしいが、話を聞いてみると電池の問題が出てきている。ハイパフォーマンスでも省エネを狙えるような商品を次のフェーズでも期待して欲しい」と語った。

 なお、この日会場を訪れた参加者は9割近くがスマートフォンユーザーだった。フィーチャーフォンのユーザーは今回のイベントなどに参加することで、スマートフォンへの乗り換えを検討しているようだ。トークセッション後の最新モデルのタッチ&トライコーナーでは、熱心に使用感を確かめる参加者らの姿があった。

会場タッチ&トライ
AV連携デモ光学手ぶれ補正のデモ

 




(津田 啓夢)

2011/12/15 13:26