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KDDI田中社長、“新生au”のスマートパスポート構想を語る


 KDDIは、春モデルの端末ラインナップと新サービスに関する発表会を開催した。各端末や新サービスの内容はそれぞれ別記事にてお伝えしている。本稿では、1月16日に開催された発表会の模様をレポートする。


KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏と、発表会の途中で披露されたauの新しいロゴ

 

MNPが好調。スマホ、auの勢いに自信

 記者向けに開催された発表会では、KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が登壇した。田中氏はまず、2011年の業績を振り返り、「昨年はスマートフォン一色だった。3カ月連続でMNPが1位となり、auのモメンタム(勢い)を回復できたのかなと思っている」と手応えを感じている様子を語る。出荷比率に占めるスマートフォンの割合についても、直近では56%と半数を超えており、「このあとも堅調に伸びる」とし、ユーザーの割合も、15〜49歳のユーザーではすでに34%がスマートフォンユーザーという結果で、しばらくはスマートフォンが販売の中心になるとの見方を示す。

 ここで田中氏は、現在のスマートフォンにまつわる問題提起として、ユーザーが使いこなせているか、アプリの利用を躊躇していないか、ウイルスなどに不安になっていないか、通信料に不満はないか、といった点を挙げる。そして、これらに対する回答として、同社が折に触れて解説してきた「3M(マルチデバイス、マルチユース、マルチネットワーク)戦略」を実現する具体策の第1弾となる「スマートパスポート構想」を発表した。


 

スマートパスポート構想

 スマートパスポート構想とは、月額課金を中心にさまざまなコンテンツを楽しめ、固定回線とのセット契約で割引となる料金サービスも用意し、複数種類の端末でもそれらをひとつのIDで横断的に利用できるようにするというもの。具体的には、「auスマートパス」「auスマートバリュー」「au ID」の3つが基本要素となる。

 田中氏は、月額390円でスマートフォン向けにさまざまなコンテンツサービスを提供する「auスマートパス」について、「コンテンツを楽しむためのサービスで、3M戦略の上でも一番重要なサービス」と位置付け、「上級者も初心者も」と多くのユーザーに向けた内容になっているとした。

 「auスマートバリュー」は、固定回線の契約とスマートフォンの契約をセットとして申し込むことで、au携帯電話の利用料を割り引くというもの。「ネットワークを気にせずに楽しめるというコンセプト」とし、具体的には、最大2年間、毎月1480円が割り引かれるという内容で、パケット通信料に適用して考えると、月額5460円のパケット定額料が月額3980円になる計算。セットになる固定回線はKDDIが提供する光回線などのほか、CATVなど提携した各社の数は115社に上っている。

 「au ID」は、既存の「au one ID」に新サービスを加えて、リニューアルし提供するもの。コンテンツを楽しむ環境や端末の種類を超えて利用できるIDとして提供し、新しいスマートフォンに機種変更する際のコンテンツの移行などでも利用できる。田中氏は、「コンテンツはユーザーのもの。この世界はテレビやタブレット端末にも広げていく。ネットワークも、端末も、コンテンツもフリー(垣根がない)。そんな世界を作っていきたい」と意気込みを語った。


 

夏と秋冬にも「スマートパスポート構想」を拡大

 ここで田中氏からは、新しい取り組みである「スマートパスポート構想」の今後についても語られた。春の発表として紹介された今回の内容は第1弾と位置付けられており、夏にはテレビ向けのサービスを発表する予定。さらに、秋冬には通信方式としてLTEを加えて「完成版にもっていきたい」と今後の全体像を明らかにした。

 また、これら「スマートパスポート構想」は、同氏が社長に就任してから今までの1年間で準備してきた内容とのこと。プレゼンテーションの中では、インターネットのオープンな世界を強く印象づける発言が随所にみられ、「あたらしい自由。」というキャッチコピーとともに、auの新しいロゴも披露した。この新しいロゴは、新CMで大々的に採用されるほか、新サービスに加えて、同日発表された新しいスマートフォンから採用される。


 

高橋専務が「auスマートパス」を紹介

KDDI 執行役員専務 新規事業本部長の高橋誠氏

 ここで壇上にはKDDI 執行役員専務 新規事業本部長の高橋誠氏が登壇し、「auスマートパス」を中心に紹介を行った。

 同氏はユーザーがスマートフォンなどで自由に利用できるオープンインターネットを“大海原”とし、「『ユーザー任せ』では無責任ではないか」と課題を提示する。スマートフォンユーザーの65%がアプリのダウンロードをほとんど利用していないとする調査結果や、探しているアプリが見つからない、価格が高いといったユーザーの不満点を紹介した上で、「『オープンで制約のない世界』へのパスポート」というコピーで「auスマートパス」を紹介する。


 

 「auスマートパス」は、月額390円で、「500本以上のアプリが取り放題」「10GBのクラウドストレージ」「クーポンとポイントサービス」「アンチウイルスやauスマートパス専用のサポートセンター」という4つのサービスで構成されている。「auスマートパス」の契約を解除すると、同サービスで提供されているアプリやサービスは利用できなくなる。

 500本以上の厳選されたアプリが取り放題というサービスでは、「モバイル・パワフルプロ野球2012 for auスマートパス」「モンスターハンター Dynamic Hunting」「RIDGE RACER ACCELERATED」といったAndroid向けの新作ゲームが紹介されたほか、市場価格が2500円という「大辞林」や、同じく4800円という「ジーニアス英和/和英辞典」といった高額なコンテンツも、取り放題アプリのラインナップに含まれていることが紹介された。さらに、海外で人気のアプリや「KDDI ∞ Labo」で支援したアプリなども提供される見込み。

 ストレージは、ユーザー1人あたり10GBの容量が割り当てられ、具体的には「au Cloud」としてサービスが提供される。高橋氏は、2011年11月から開始している既存のサービス「Photo Air」の保存先とし利用できるといった具体的な利用方法のほか、新サービスとして提供するスマートフォン用アプリ「Photo Album for au Cloud」と連携し、クラウド上に保存した写真を手軽に共有できるといった使い方を紹介した。また、「au Cloud」はau提供のアプリのみならず、各社から提供される写真系アプリとも連携可能で、連携予定のアプリも紹介。さらに、2月上旬にはAPIも公開する方針を明らかにした。

 クーポンとポイントサービスは、高橋氏が「390円ぐらいの価値はあっという間」とアピールするように、飲食店やファッションなどさまざまな割引クーポンが用意される。また、ポイントサービスもau全体で「auポイントプラグラム」としてリニューアルされ、ポイントを使える場面はauかんたん決済やau one GREEなどにも拡大される。「auスマートパス」を契約していれば、アプリの評価やアンケートへの回答でもポイントが貯まるようになっている。

 「auスマートパス」向けの安心・安全な取り組みとしては、不正アプリ対策機能も搭載した「ウイルスバスター」が提供される。加えて、サービス品質やセキュリティチェックを行う「セキュア検証」、「auスマートパス」に関するあらゆる問い合わせに答えるサポートセンターも開設する。


 

 高橋氏は、さらに、「auスマートパス」の基本コンセプトとして、「ワンプライス、追加料金なしでいろんなデバイスに展開する」という方針を語る。月額390円の同サービスは今後、すでに月額コンテンツとして提供している「LISMO Unlimited」といったサービスも統合し、「ワンプライスで、使い放題のサービス」として拡充していくという。


 

auの公衆無線LANサービス、スマホ以外にも拡大

 発表会では、田中社長から無線LAN関連サービスの拡充についても触れられた。従来の、外出先で利用する公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」に加えて、auのスマートフォンユーザーをメインターゲットに、家庭用の無線LANアダプター「HOME SPOT CUBE」をレンタル制で提供する。スマートフォン向け専用アプリで端末側は簡単に設定でき、家庭のブロードバンド回線に接続して利用する。レンタル料は月額525円。「ISフラット」などスマートフォン向けプランを契約しているユーザーなら月額105円で、2012年5月末までに申し込むとレンタル料は永年無料となる。

 公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」は、新しくなる「au ID」を利用することで、スマートフォンだけでなくタブレット型端末やノートパソコンといった無線LAN対応機器でも利用できるようになる。スポット数は現在約6万スポットで、2011年度末となる3月末までに10万スポットを目標としている。加えて、日本人の渡航先として多い世界の100カ国でも、公衆無線LANサービスの提供を行う。


 

スマートフォン5機種を披露

 田中氏からは、春のラインナップとして、「INFOBAR C01」「GALAXY S II WiMAX ISW11SC」「Optimus X IS11LG」「Xperia Acro HD IS12S」「MOTOROLA RAZR IS12M」のスマートフォン5機種も紹介された。試用した感想とともに特徴を解説した田中氏は、「auなら、好きなスマホ、なんだって選び放題」とラインナップに自信を見せ、デザインカバーなどスマートフォン向けアクセサリーを展開する「au +1 collection」の取り組みにも触れた。


 

“かなり踏み込んだ”学割が登場、25歳以下向けも

 田中氏からはさらに、学生を対象にした割引サービス「ともコミ学割」も発表された。これは、学生なら基本使用料の980円が最大3年間0円になるというもの。加えて学生・非学生を問わず25歳以下の場合には、「ISフラット」に申し込んだユーザー向けに割引を行うキャンペーンも実施され、「ともコミ学割」に加えてさらに割引が適用される。


 

 田中氏は最後に、「スマートパスポート構想には、オープンで制約のない世界へのパスポートという思いを込めた。新生auにぜひとも期待を」と呼びかけ、プレゼンテーションを終えた。

 

質疑応答

 質疑応答の時間では、「auスマートパス」の対応プラットフォームについて聞かれた。高橋専務は、「スタートはAndroid。その後はほかのOSやテレビにも広げていきたい」との意向を示し、当初はAndroid向けとして展開することが説明された。また田中社長からは、新しいタブレット端末について「これから出すので楽しみにしてほしい」と、新たなタブレット端末の投入も予告された。

 「auスマートバリュー」で固定回線とセットにすることで割引が受けられる端末は、フィーチャーフォンは対象外で、スマートフォンに限定されるのか、と問われると、田中氏は、「スマホ限定で、どんどんシフトとしていく。そういう意思です」と回答し、スマートフォンを中心とした戦略の一環であるとした。

 固定系とセットにした「auスマートバリュー」の導入で、ARPUへの影響を問われると、田中氏は「FMCのARPUとなる。モバイルと固定をセットで考えていく。社内ではゲームチェンジと考えている」と回答。固定系サービスを融合させた、従来のARPUとは異なる考え方で捕らえていく方針を示した。

 「auスマートパス」で課金される月額390円の料金収入における、コンテンツプロバイダーなどとの配分については、高橋氏は「レベニューシェアをしていくが、たくさん使われたら収益が上がるような仕組みを入れて、提供したらほったらかし、とはならないようにしたい」と説明された。

 最後に田中氏は、「auスマートバリュー」による価格競争の一層の進行を聞かれたが、「価値がプラスアルファされている。FMCにさらにバリューが加わったビジネスモデル。現時点でKDDIが一番いいポジションで、同じモデルでの価格競争はおいそれとは生まれないのではないか」との認識を示し、固定回線サービスと連携して割り引くサービスの独自性に自信を見せた。

 

特別ゲストによるトークセッション

 発表会の最後には、スマートパスポート構想や新しいauのロゴを含めた“新生au”の新CMに出演する、井川遥、伊勢谷友介、剛力彩芽、「巨人の星」の星 飛雄馬が登壇。田中社長も加えてトークセッションを行った。

 井川遥は「いろんな自由があり、希望を感じるCMになっている」と新しいCMについてコメント。伊勢谷友介は「大きめの芝居が多かったので、自然な役で、普通の人になった気分で楽しんだ」と語ると、剛力彩芽は「楽しい現場。三人との共演シーンはまだなので、これからが楽しみ」と今後の展開に期待を寄せていた。モニター越しに登場した星飛雄馬は「父ちゃんが厳しくてまだスマートフォンを持ってないけど……」と自己紹介し、「学生にやさしいauに俺はモーレツに感動している!」と新しい学割もアピールしていた。


左から伊勢谷友介、井川遥、剛力彩芽 星飛雄馬と田中社長を加えてトークセッション
2012年の抱負をそれぞれが語った

プレゼンテーション

 




(太田 亮三)

2012/1/16 20:01