ドコモ、遠隔で案内する「スマートフォンあんしん遠隔サポート」


 NTTドコモは、初めてスマートフォンやタブレットを使うユーザーに向けて、遠隔で操作方法や設定などをサポートする「スマートフォンあんしん遠隔サポート」を2月下旬~3月より提供する。利用料は月額420円で、他のサポートサービスとの組み合わせによる割引も用意される。5月末まではキャンペーンで無料。

 「スマートフォンあんしん遠隔サポート」は、ユーザーが使っている画面を専用コールセンターのスタッフが遠隔で確認しながらサポートするサービス。「Wi-Fiの設定の仕方は?」「すぐ画面が消えるがどうすれば?」といった、初歩的な質問について、具体的な操作手順を示しながら案内する。ユーザーが目にしている表示内容をコールセンターのスタッフと共有することで、スタッフがまるで対面で案内しているかのような、アフターサービスの提供が可能とされている。

サービス概要利用の流れ

 対応機種は、NECカシオ製の「MEDIAS ES N-05D」で、同機種の発売にあわせて提供が開始される。2012年春夏モデルより順次対応する。既存機種については、技術的な障壁はないものの、対応するかどうかは検討中とのこと。

 利用時には、専用フリーダイヤルに電話をかけて、遠隔サポートアプリを起動する。電話で伝えられた接続番号をアプリに入力すると遠隔サポートが開始、となる。コールセンターと画面を共有している最中は、スマートフォン側の画面の右隅に、接続中であることが表示される。

 5月末まで無料で利用でき、6月以降は月額420円となる。ただし、「ケータイ補償お届けサービス」(利用料は月額294円または399円、機種によって異なる)を契約していれば、「スマートフォンあんしん遠隔サポート」の利用料は294円割り引きされ、月額126円で利用できる。申し込めるのは、対応機種を持つドコモプレミアクラブ/ビジネスプレミアクラブ会員で、FOMAかXiの契約が必要となる。

韓国企業の技術を採用、パソコンで示して操作箇所を案内

画面右下に「遠隔サポート中」と表示

 「スマートフォンあんしん遠隔サポート」には、韓国企業のRSUPPORT(アールサポート)の技術が採用されている。その上で、ドコモ向けにカスタマイズされ、端末に搭載されているが、OSレベルでのカスタマイズが行われ、アプリの追加で導入できるようなものではないとのこと。類似の仕組みと比べ、RSUPPORTの技術は、通信量が少ないことが採用の決め手になったという。

 専用コールセンターへ電話してワンタイムパスワードを発行するほか、サーバー側は対応機種でしか接続できないようになっている。3GだけではなくWi-Fi経由でも利用できるが、端末とサーバー間はSSLで通信する。こうした仕組みでなりすましなどを防いでいる。固定電話でフリーダイヤルへ電話し、手元のスマートフォンを操作する、といった使い方が想定されているが、スマートフォン1台でもスピーカーフォン(ハンズフリー通話)でサポートを受けることはできる。なお、通信が途切れると画面の共有もできなくなる。画面共有のためのパケット通信料はユーザーが負担する形だが、パケット定額サービスの対象となる。一度サポートを受けると、内容によるが少なくとも3万パケット程度の通信量が発生するとのこと。

 画面を共有するという形のため、サポート中に端末内の個人情報にアクセスする可能性があり、スタッフがそうした情報を目にする機会が発生する可能性がある。この点については、サポートサービス利用開始時に案内されるほか、もしユーザーが見られたくない場合は、一時的にスタッフ側の画面を黒く表示して、アドレス帳やパスワード入力画面を見られないようにすることもできる。

サポートスタッフ側のパソコンで、ユーザーに操作する部分を案内示された部分がスマートフォン上にも表示される

スマートフォン普及で問い合わせ激増

 同社では24日、「スマートフォンあんしん遠隔サポート」と「MEDIAS ES」の説明会を開催した。

 今回のサービスは、ドコモにおいてユーザーの満足度、ユーザーのロイヤリティ(忠誠心、愛着)を高める施策と位置付けられており、ターゲットは初めてスマートフォンやタブレットに触れるようなユーザーだ。サポート内容は、現在の窓口で提供されているものと同程度で、サードパーティ提供のアプリについては対象外。メーカー提供のアプリなどは、簡単な問い合わせ内容であれば対応するが、踏み込んだ細かい内容についてはメーカー側のサポート窓口が担当することになる。

ドコモの三嶋氏
24日の会見ではサポート担当者による実演が披露された

 プレゼンテーションを行った、マーケティング部 ロイヤリティプログラム担当部長の三嶋 俊一郎氏は、2年ほど前からこうした施策の検討を進めてきたとのことで、もともとは、「ケータイ補償お届けサービス」とセットで提供するサービスとして開発を進めたとする。突発的な事態に対応できるよう、できるだけ安価なサービスとして提供すべく、月額制での提供にし、また無料ではなく、有料のサービスとなった背景には、有人のサポートなど、月々のコストが相応にかかることを挙げた。

 三島氏は、2011年にスマートフォンが爆発的に広がり、本格的な普及期に入ったと指摘。同社のユーザー層でも、これまで興味を持っていなかった30~40台の女性、50代、高校生にまで浸透しはじめているとする。その一方で、パソコンのような特性を持つスマートフォンに対しては、文字入力や無線LANの設定、節電方法など使い方がわかりにくく、コールセンターへの問い合わせが急激に増加。昨年6月時点でドコモに寄せられた操作に関する問い合わせはスマートフォン・フィーチャーフォン(従来型の携帯電話)をあわせて14万件程度だったが、12月には約25万件に増加し、約1.8倍にまで膨れあがった。

 ドコモの電話窓口の対応人員は現在400名程度とのことで、現在提供しているスマートフォンのサポート担当者の一部も新サービスの人員として配属される。これにより「スマートフォンあんしん遠隔サポート」の担当者は、当初、30名程度になる。。今夏モデル以降は、続々と「スマートフォンあんしん遠隔サポート」に対応する予定で、それにあわせて窓口担当者も増加するという。24日の会見では、サポート担当者による実演が披露され、わかりやすく丁寧に案内していた。

 ドコモでは2014年3月末までに500万契約の達成を目指す。




(関口 聖)

2012/1/24 15:07