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KDDI第3四半期決算、スマートフォンシフト加速し通期予想上ぶれ


 KDDIは、2011年4月1日〜2011年12月31日の2011年度第3四半期の業績を発表した。

 累計の連結業績は、営業収益が前年同期比2.9%増の2兆6454億1200万円、営業利益は3.3%増の3842億円2700万円、経常利益が4.3%増の3646億7100万円となり、純利益は4.1%減の1943億円5400万円となった。

 携帯電話事業は、営業収益が前年同期比3.7%増の2兆246億円、営業利益が6.1%減の3377億円で増収減益となった。設備投資額は前年同期比20.6%減の3387億円となり、進捗率は60.2%、第三四半期(3Q)の進捗状況としては鈍い。これは東日本大震災の影響によるものという。

 このほか固定通信事業は、営業収益が前年同期比2.5%増の6765億円、営業利益が533.1%増の433億円と大幅な増益を記録している。



通期の業績予想

 2011年度通期の連結業績見通しは、スマートフォンの販売台数が上方修正されたことに伴い、営業収益が期初予想から900億円上乗せされ、3兆5500億円に修正された。携帯電話事業だけを見れば1100億円の上方修正で2兆7100億円となり、固定通信事業は200億円の下方修正で9050億円となった。



 営業利益見通しについては変更はなく、通期で4050億円となる。ただしその内訳は、携帯電話事業が100億円の下方修正で4200億円、固定通信事業が100億円の上方修正で500億円となっている。通期の純利益は、期初2500億円とされたが、改正法人税法の繰延税金資産の取り崩しによる調整額が発生することから、150億円の下方修正で2350億円となった。

 このほか、連結のフリー・キャッシュフローについても期初見通し3300億円から2150億円に下方修正される。KDDIによれば、スマートフォン販売台数に増加に伴う割賦債権の増加や、M&Aの実施などに伴うものという。設備投資額は100億円減の4500億円に修正された。

 業績のポイントとなる指標の通期予想についても期初の予想から変更がある。期末時点のauの累計契約数は50万プラスの3500万契約に、スマートフォンの販売台数は155万プラスの555万台に、端末販売台数は125万プラスの1335万台とされた。

契約数、MNP、解約率

 auの契約数は3Qまでに3429万8000件となり、このうち通信モジュールについては188万1000件となっている。WiMAXサービスを展開するUQコミュニケーションズは、期末予想200万契約で3Qまでに168万9000件となっている。

 なお、電話番号を変えずに携帯電話会社を乗り換えられる、番号ポータビリティ(MNP)制度を利用した契約数は、3Qに大幅に改善している。16万4000件の転入超過を記録し、NTTドコモやソフトバンクを振り切ってMNP首位に立ち、第2四半期から比較すると転入が約4割増、転出が約4割減となっている。

 さらに、3Qは解約率も創業以来の最低水準となり、0.56%となった。前年同期比は0.68%、2011年2Qも0.67%だった。



ARPU、インセンティブ

 加入者あたりの通信料収入を示すARPUは、第3四半期、前年同期比から510円減少する4470円となった。その内訳は、音声ARPUが前年同期比700円減の1960円、データARPUが190円増の2510円となった。ARPU減少はの理由は、毎月割とシンプルコースの浸透によるものとされた。

 なお、通期のARPUは、期初の4540円(音声2000円、データ2540円)から、4480円に下方修正されている。音声ARPUの見通しに変更はないが、データARPUが下がっており、主に法人のスマートフォン移行の遅れによる影響という。

 回線契約などによって販売店側に販売奨励金やインセンティブとして支払われるauの販売手数料は、平均で1端末あたり2万3000円。3Qの販売台数は329万台で、スマートフォンはこのうち163万台だった。販売手数料の総額は760億円となっている。



スマートフォンシフト

KDDI田中氏

 業績を発表したKDDIの代表取締役社長の田中孝司氏は、3Qの結果について「基盤事業の立て直しに向けて順調な決算」と語った。

 スマートフォンの取り組みにおいて、他社に後塵を拝することになったKDDIは、2011年からスマートフォンへの取り組みを本格化させた。2011年度下期は、商品力や販売力、データオフロード策などを強化し、スマートフォンへシフトすることが課題とされていた。田中氏は今回、「スマートフォンへのシフトはできたと思っている。iPhone 4Sの販売も開始し、新800MHz帯への移行も順調」と話した。

 固定通信事業については、FTTHサービスの売上げが増収を牽引するなど、マルチデバイス、マルチネットワーク、マルチユースの3M戦略に向けた取り組みが好調、auショップを販路とする計画も進んでいるという。

 なお、スマートフォンの販売数は、1〜3Qの累計で354万台となった。3Qに限って言えば、販売に占めるスマートフォンの割合が50%にまで拡大した。こうした中で田中氏は、iPhone 4Sが新規契約の獲得に大きく貢献しているとした。MMD研究所やイードの調査結果を示し、auのiPhone 4SがWebの表示速度や通信エリアなどの面で高い評価を得たと紹介した。



ネットワーク策、通信障害

 田中氏は、2012年4月以降に全国展開される予定のEV-DO Advancedに言及し、混雑した基地局のトラフィックを周辺の基地局に負荷分散できることなどを紹介した。基地局にソフトウェア更新で導入できるため、投資効果が高いという。

 KDDIは、1月25日23時33分〜1月26日3時3分にかけて、東京都西部で通信障害が発生したことを明らかにしている。詳細は記事を参照されたい。田中氏は決算説明の中で状況を説明し、GCリングと呼ばれるリング状の光ファイバー網において、伝送装置のハードウェアが故障したと述べた。

 NTTドコモの通信障害を受け、会見終了後の囲み取材の話題は障害関連に集中した。田中氏はドコモの状況については「わからない」とした上で、KDDIの通信状況については、田中氏自身が週に一度モニタリング状況のレポートを受け取っていると説明した。

 同氏は「昨日もチェックしたがまだ大丈夫。VoIPアプリの制御信号の件ついても把握している。ただ、スマートフォンの影響は制御チャネルだけではない。局所的にもトラブルが無いように、僕らは状況を見ながら増強していく。懸念があるのは、もう少し先のことで、世界一パケットを使うユーザーがいて、今のネットワークでこのまま耐えきれるのか。頭が痛い問題」などと話した。

 さらに、Android端末とiPhoneでは、通信の使い方が異なるとし、「概してAndroidの方がパケットをはく」と述べた。

 このほか田中氏は、KDDIが新成長戦略に掲げる3M戦略について紹介。「そろそろゲームチェンジしてもいい時ではないか?」と語り、従来のモバイル事業中心のビジネスから、固定とモバイルを融合させたFMCと付加価値ARPUで収入を得る「FMC+バリュー型モデル」に変えていく方針を示した。



 




(津田 啓夢)

2012/1/26 19:33